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コロナウイルス不安拡大で、米国株は再び下落

From:戸松信博
自宅デスクより、、、

おはようございます。
戸松信博です。

コロナウイルス不安拡大しており、米国株は再び週末に大幅下落しました。

日経平均は週間600円超の下げ、(短期)下落転換になっています。

(1)グローバル相場見通し:
コロナウイルス不安拡大、米国株は再び週末に大幅下落


【週間騰落率】

ドル(対主要通貨加重平均) -0.47% (97.39)
株 (S&P500指数)     -2.12% (3,225.52)
商品 (CRB総合指数)    -3.110% (170.31)
金(ニューヨーク先物)   +1.02% ($1,587.90)
原油(WTI)         -4.85% ($51.56)
債券(米10年債利回り)   -18bpts (1.51%)

□ニューヨークダウ・ナスダック推移

先週もコロナウイルスで急落した先々週と良く似た相場状況となり、米国株は大幅続落です。
米国でも複数の感染が連続的に確認され、「Virus Fears」という言葉が相場解説の中心となっています。決算発表も続いているのですが、ウイルスへの警戒が日増しに大きくなってきています。

最大で50日移動平均線より上に+7%ほど上昇し、加熱一杯となっていたナスダックは、
27日(月)に大きく下がり、その時点で乖離幅は+2.4%にまで縮小しました。やはり7%という
数字は、前回指摘したように天井を表したようです。

その後28日(火)~30日(水)までナスダックは3日続伸し、再び50日線を4%超える位置
まで上昇しました。しかし31日は再び出来高を増して大きく下落し、週末では乖離幅を+2.4%に縮めています。

それでも好調なナスダックは50日移動平均線をまだキープしていますが、S&P500指数と
ダウは他国の株価指標と同様に50日移動平均線を割り込みました。週間の下落率は
ダウ▲2.53%、S&P500▲2.12%、ナスダック▲1.76%でいずれも2週続落です。

 

個別の決算では、アマゾン(AMZN)が予想を超える利益で着地し、週間+7.9%で株価を2,000ドル台に乗せて上場来高値を更新、時価総額1兆ドルに復帰しました。アップル(AAPL)も好決算でしたが週末に向けて下げに転じました。マイクロソフト(MSFT)も好決算でこちらは週間+3.1%高、テスラ(TSLA)も同様に週間+15.2%の大幅高でした。

 

一方、フェイスブック(FB)は予想を超えて着地したものの、伸び率鈍化で株価は7.4%の下落です。そして半導体の主要銘柄が相次いで決算を発表し、内容は良かったもの、失望されたもの、とまちまちでしたが、いずれにしても下げに終わったのが多くなっています。

フィラデルフィア半導体株指数は週間7%の下落で、春節休場期間の下げを織り込むように
大幅安で終わった香港市場よりもきつい下げ幅となりました。

引き続き商品価格が大幅下落、債券利回りも大きく続落です。香港以外の新興国株も大きく下落し、上昇したのは金価格のほか、東証リート指数やダウ公益株指数など、ディフェンシブなごく僅かのものに限られました。

(2)再び逆イールドに

□米国の金利推移

世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を行うも、貿易や旅行による移動まで制限する勧告は
出してはいないように、いまのところコロナウイルスが世界経済を大きく狂わせるようなリスクまではないと見ています。

しかし、各国や民間企業が予防措置として人やモノの移動を制限し、香港やマカオでは本土からの旅行者が激減、航空便数も大きく減っているところです。

程度の差はあれこうした疫病は普段から意識していないだけで存在しており、毎年インフルエンザで25万~50万人、日本だけでも約1万人の死亡者が出ています。世界には70億人も居るのです。
感染すれば2人に一人は死ぬエボラウイルスや、10人に一人以上亡くなった SARS ならパニックとなるのも分かります。

ただ、今のところコロナウイルスの致死率は2%(おそらくこのあと感染者数が拡大していけば
致死率はさらに下がっていく見込み)、さらに健常者が死に至る例はごく稀で、地域も限定的ながら、映像で伝わる防護服や、マスクの売り切れ状況などは、リスク相応以上の過剰な反応と感じます。

感染を防ぐため徹底するに越したことはないのですが、ここまで活動が制限されるとは予想以上でした。これで少なくともアジアを中心に第1四半期の経済や企業業績を押し下げることになるでしょう。

先週まで商品市況に大きな経済減速を予想する下げが出ていました。原油や銅など、中国の需要量は圧倒的で影響大です。先週からは世界経済への影響が米国株式市場でも懸念されてきたようです。

リスクオフを表す債券利回りは急落を続けており、再び長期と短期の利回りが逆転する逆イールドが発生しました。夏に貿易戦争による世界経済減速懸念が出た時以来のことです。

しかしそれ以上に、大きく上げ過ぎてきた相場は、どこかで下げの理由を見つけて調整しなければ
ならないという運命にあったのだと思います。半導体株指数が、個別企業の決算の良し悪しに関わらず先週、どの指数よりも大きく下げたのは、これまであまりにも上がり過ぎてきたからです。

そして原油がそれ以上に下げていますが、昨年の主な資産価格で最も大きく上昇したのは原油でした。前回書きましたように、直前まで米国株のPERは最大限に加熱していたのであって、チャートの移動平均線からの乖離率も2010年以降で最大級となっていました。

そうした状況で人やモノの動きが制限される事態となり、再び世界景気懸念という下げの理由が持ち上がってきたところで、まだ調整は続くと思います。

ただし、何度も書いていますが、過去の例に漏れず、いつまでもこの状況が続く訳はありません。
恐らく春の終わりから夏へ向けて経済活動も正常化し、その匂いを嗅ぎ取った瞬間から株価は
一歩先に反発するとみて、この調整を乗り切っていきたいと思います。

特に一段とパニック的に下がったところでの中国株(香港や米国上場の)は、極めて大きな
買いチャンス(リーマンショック時や2016年1月の中国・資源暴落時など5年に1度級の)になると見ています。相場は上げも下げも過剰なものであり、いずれ落ち着くでしょう。

(3)日経平均は週間600円超の下げ、(短期)下落転換に

日経平均 23,205.18円 週間-622円 *過去最高値まであと+68%要

□日経平均

相場判定(長期):上昇トレンド継続中(2019/11/02~)
相場判定(短期):下落転換(2020/01/27~)

注目セクター : リート

日本市場は1月10日ごろから2年ぶりの高値シグナルがではじめ、20日に終値としてバブル後の
最高値を更新するも出来高を大きく減らし、そして先々週は商いを増やして下げる日を二度見せながら
今年初の週間下落となっていました。昨年9月から始まった上昇相場が天を打って下げに転じてきた様子です。

そして想定したように新型肺炎の拡大が潜伏期間を経て日増しに鮮明となるなか、27日(月)は484円安と
大きく下げました。東証一部の売買代金も前営業日より3割も増え、これは5営業日で3度目となる商い増を
伴った下げで、ここで「(短期)下落転換」と判断できます。

ただ、日替わりで米国が感染拡大でも下げ渋る日も出ていましたので、一時的なパニックであるだけかも
しれないとさらに様子を見ていましたが、再び30日(木)に出来高を大きく増やして402円安と下がり、

2万3,000円の大台を一時割り込みました。やはり28日で下落転換したとの見方で間違いないと思います。]
これで9月5日から続いた上昇トレンドは一旦終了しました。

10-12月期の決算発表が進んでいますが、同期間の株価が先行して上げていたほど、思ったより
業績回復していない印象です。勢いのあった富士通は上方修正で大幅上昇しましたが、全体には
下方修正する銘柄の方がより多く存在し、それらはリスクオフに傾く相場と相まって大きく売り叩かれています。

特に大きく上げていた半導体や電子部品で大きな下げが目立ちます。半導体製造装置のSCREENは
下方修正で週間26%安となりました。アドバンテスト、ディスコ、SUMCOなども7%前後下げており、
電子部品では下方修正したアルプスアルパインとフォスター電機が10%を超える下げで、村田製作所、
太陽誘電、TDKも7%前後下がりました。新型肝炎の影響懸念される訪日関連では、コーセーが下方修正し、9%安です。

一方、防護服やマスク関連は異様な相場となっており、長期右肩下がり業績の川本産業がなんと1
0日連続ストップ高で年初来+749%、中京医薬品も8連続ストップ高で年初来+499%、大幅高を連発の
重松製作所も+275%で、今年の上昇率ベスト3となっています。ほかにもダイワボウ、シキボウ、ユニチカ、
大東紡など、マスクの材料となる布地を作る繊維株が大幅高になっています。

しかし東証33業種における繊維業の株価指数は下げており、TOPIXにも見劣るくらいです。
つまり主要な取引でなく、局所的なごく狭いところで異常な相場が発生しているのであって、
ストップ高制度のある日本独特の投機現象でもあります。

本来「買うに買えない、売るに売れない」値幅制限など無い方がよほど投資家保護になります。
値段を止めてもらっても誰も売買できないのです。投資家保護の観点から米国や香港に
ストップ高・ストップ安制度はありません(あるのは上海と東京くらい)。

これが米国なら初日に50~80%高などで売り買い交錯するうちに十分値が均され、一日で
こうした投機は終了してしまうでしょう。値が付かず、十分な売買をこなせないから、
吊り上げが発生し、異常な値になってしまうのです。

(4)今週の戦略

週末のダウは603ドルの大幅安、シカゴ日経先物は大証終値比420円安い22,710円で終え、
今週も一段下げではじまりそうです。

もしかすると、今回の下落トレンドは長く深いものになる恐れもあると思っています。
その前の上昇があまりに長く大きかったためです。また調整色を強めている商品と債券利回りに比べ、
米国株の下げは極めて小さく、下げ余地を多く残しているからです。

ただ、月曜の寄り付きは大幅安(シカゴ日経先物で420円安)がほぼ確定していますが、米国株も
ダウが603ドル下げた直後ですから、短期的な一旦の自力反発もありそうです。

―戸松信博

 

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  • コメント ( 2 )

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  1. 谷口 勇

    大変勉強になりました。次回もお楽しみに待つています。

    • 信博戸松

      戸松です。コメントありがとうございます。これからもお役に立てる情報を届けていきます。

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