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相場はギャンブルではない

From 矢口新

例えば、投機家2人が、売り手と買い手に分かれて勝負するとする。
この場合、気力や忍耐力に上回ったほうが勝つことになる。

具体的に言うと、ポジションを長く保有したほうが勝つのだ。
相手がポジションを持ち続けられないように、さまざまな材料を提供して揺さぶりをかける。
相手も同様に揺さぶりをかけてくるだろう。

どちらかが自信ありげにポジションを膨らませば、
相対であるもう一人も膨らまさざるを得ない。

一方の買いに対して、他方が売り向かわねば、
ビッドが上がって売り手が損するからだ。

このとき、ポジションが増えることも厭わない、
儲けるまでは絶対に動かないと決め込めば、損が出ることはない。

言い換えれば、不安になったほうが先にポジションを閉じことで、負けてしまうのだ。
閉じたいのが自分であれば、相手の言い値で閉じるしかない。

この場合の投機家の相手は同じ投機家だった。
では、次に石油元売り会社のドル買いに売り向かった投機家の場合を考えてみよう。

投機家は、相手を打ち負かそうと石油会社が買ったドルを投げるのを待ち続ける。

ところが、このとき石油会社の買ったドルは、
すでに石油メジャーや産油国に支払われており、
石油会社はもうドルのロングポジションなど持っていない。

翌日も石油会社のドル買いに対し、
この投機家は自分のショートポジションを膨らませて売り向かったとする。

しかしどんなに待っても、石油会社からドルの投げ売りは出てこない。
当り前だ。

投げるロングポジションなど初めからないからだ。
この場合、投機家の相手は目の前の石油会社ではない。石油会社が背にした実体経済なのだ。

ここが相場とギャンブルの違いだ。

倍々と賭け続ければ、買い続ければ、ナンピンすれば勝てるというような相手ではないのだ
(※丁半、赤黒など二者択一に賭けるものでは、負けても同一方向に倍額を賭け続けられれば、勝てなくとも負けることがない)。

では、投機家同士の戦いだと、ポジションを長く持った方が勝つのに、
実体経済が相手だとポジションを長く持った投機家が負けるのだろうか?

私は常々、ポジションの保有期間の長さが価格変動の本質だと言っている。

長く保有するほど価格に影響を与える続けるのだ。
保有期間とは買ってから売るまで、または売ってから買い戻すまでだ。
石油会社はドルを買ったが売り戻さない。すなわち「永遠に保有している」状態なのだ。

もしかすると、「保有」という表現は誤解を生むかもしれない。

より正確には、実需が買ったドルは、ドルの経済圏のなかに吸い込まれ、
市場には買われた後のショートポジションだけを残すのだ。

こういった実需がらみの買い切り、売り切りを私は「永遠のポジション」と呼んでいる。

  • コメント ( 1 )

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  1. Toshi

    一般の個人投資家には見られない目線でのお話しで、大変勉強になります。
    実は毎日の相場でも機関投資家が入っていて、同じように私たちを翻弄しているのかもしれないと思いました。

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