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【2025年1月20日】江守哲のコモディティコメント

こんにちは、江守哲です。

17日の金相場は、利食い売りに押され、4日ぶりに反落した。週間では0.5%高となった。為替市場では対ユーロでドル買いが優勢。
ドル建てで取引されるコモディティの割高感につながり、金相場を圧迫した。
ただし、FRBによる年内利下げ期待が再燃していることで、 米長期金利の上昇が一服。金利を生まない資産である金を買う流れが継続し、金の下値は 限定的だった。

先週発表された昨年12月の米消費者物価指数(CPI)でコア指数の伸びが減速するなど、このところインフレに鈍化傾向が見られることや、FRB関係者からハ ト派的な発言が見られることが、年内の利下げ期待をあおっている。
また、トランプ次期米大統領の就任式を20日に控え、同氏が掲げる関税引き上 げなどの政策の行方に不透明感が広がり、安全資産として金が買われたとの見方もあった。

金相場は反落した。前日は高値を試したものの伸びきれなかった。こうなると、リプルトップのようなチャート形状になっていることもあり、目先は手仕舞い売りが出る可能性があるため要注意であろう。
買われすぎになっていることも売りを誘いやすいといえる。まずはトランプ氏の政策とドルの動きを見極めたいところである。
ただし、いずれドルは崩れていくだろう。トランプ氏がそれを見越している可能性さえある。
いずれにしても、金は外せない資産であることは言うまでもない。

17日のロンドン金属取引所(LME)のアルミ相場は上昇した。
中国の堅調な経済指標がファンド筋の買いを誘い、米国の貿易関税の可能性を巡る不確実性を相殺。一時昨年11月20日以来の高値となる2692ドルを付けた。
中国の昨年の経済成長率は5%と、政府目標はクリアしたが、製造業と輸出にけん引された不均衡な成長だった。
トランプ次期米大統領が20日の就任後に関税を強化する可能性があり、今年の中国経済の見通しは依然として不透明であり。

金属トレーダーによると、アルミ相場の上昇傾向を受け、コンピュータープログラムで動くCTAが買いを入れたもよう。
EUがロシア産アルミの禁輸措置を実施した場合に供給が逼迫するとの懸念も相場を支えた。
アルミ市場は制裁や貿易政策の変更、ボーキサイトやアルミナの供給途絶など、さまざまな課題に直面している。

この日はアルミが急伸している。この数日のアルミの動きは強烈である。2550ドルを上向けてからの上昇はきわめて短期間で起きている。
ショートカバーも相当入っているだろう。すでに買われすぎのゾーンにあるが、それも上げているところに地合いの変化を感じる。
持続性があるかを見極めたい。

一方、銅相場は反落した。100日線の9303ドルを試したものの、これを超えられずに下げている。
引けでは288日線の9200ドルも下回っており、目先は調整リスクが高まる可能性がある。

17日の原油相場は、中東情勢に伴う供給混乱への懸念が和らぎ続落した。週間では1.71%高。
イスラエル政府は17日、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意を巡り話し合う治安閣議 を開いた。
全体閣議で合意を承認する見通しで、イスラエル首相府は声明で、承認されれば「計画に従って19日に人質解放が実施される」との見解を表明した。
これを受け、中 東情勢を背景とした供給不安が幾分後退し、原油は売りが優勢となった。

ただし、産油国ロシアに対する米国の一連の制裁や、トランプ次期大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏によるロシアの大手石油企業への制裁強化の意向表明を背景に供給面での警戒感も広がっており、下げ幅は限られた。

中国の2024年のGDPは物価変動の影響 を除いた実質ベースで前年比5.0%増加した。
伸び率は前年を0.2ポイント下回った ものの、政府目標の「5%前後」は達成した。
一方、同日公表された別の統計によると、 燃料需要の低迷などを背景に、24年の同国製油処理能力は20年超ぶりに低下した。
市場はエネルギー消費大国である同国の先行きの需要を引き続き注視している。

市場は、20日のトランプ次期米大統領の就任による影響を見極めようとしている。
トランプ氏が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏はロシア産石油について、より 厳格な制裁を導入する用意があると述べた。

イスラエルとイスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザでの停戦に合意し、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶攻撃が停止するとの見方が強まり、石油相場の重石となった。

17日のNY天然ガス先物は4営業日ぶりに反落。
前日に付けた2年ぶり高値から約7%の大幅下落となった。
1月下旬から2月上旬にかけて天候が穏やかになるとの予報で、暖房用ガス需要の減少が見込まれる。前日は2022年12月30日以来の高値で引けた。

原油相場は続落した。高値から下げており、目先は天井を確認したかのような動きにある。すでに買われすぎになっていることもあり、調整余地があることも理解しておくべきだろう。中東情勢がやや緩和する可能性が出てきたことが売り材料視されやすいが、これもまだまだ不透明である。さらにトランプ氏が再登板することで、原油市場がどうなるのかにも目を配る必要がある。米国の増産が市場に与える影響も見極める必要がある。ドルの動きからも目を離せないといえる。

17日のコーンは反発。2023年12月以来、約1年ぶりの高値を付けた。
アルゼンチンでの天候懸念や米中の貿易関係について慎重ながら楽観的な見方が広がったことが相場を押し上げもよう。
週間では2.9%高となった。
2025年の作付面積の増加見通しに加え、目先の米国産コーンの供給見込みが引き締まるとの観測を反映し、期近は期先とのスプレッド取引で上昇した。

トランプ次期米大統領はこの日、中国の習近平国家主席と電話会談し、貿易問題について協議したことを明らかにした。
大豆の最大の輸入国である中国との貿易摩擦の懸念が和らいだ。

アルゼンチンでは週末、降雨が予想されている。改めて乾燥天候に戻る見込みだが、同国産の作物へのストレスは一時的に和らぐとみられている。
世界第3位の輸出大国であるアルゼンチンの天候を巡る不透明感が今月の相場の押し上げ要因となった。

大豆は4日ぶり反発。アルゼンチンの天候を巡る不安や、米中の貿易関係に慎重ながらも楽観的な見方が広がったことが買いにつながったもよう。
週間では0.85%高となった。
トランプ次期米大統領は17日、中国の習近平国家主席と貿易関係に関して電話会談したと明らかにした。
会談の報を受けて、相場は一段高となった。トランプ氏が米大統領選で勝利して以降、世界最大の大豆輸入国である中国との貿易摩擦を巡る懸念が高まっていた。

アルゼンチンでは週末にも雨が降るとの予報が出ており、改めて乾燥気候となる前に、同国産作物へのストレスは一時的に和らぐとみられている。
世界第3位の輸出大国であるアルゼンチンの天候を巡る不透明感が今月の相場を押し上げていた。

小麦は反発。アルゼンチンの天候への懸念や米中貿易関係への楽観がトウモロコシや大豆の相場を押し上げたことが支援した。
週間では8セント(1.5%)上昇した。 ただし、国際的な小麦輸出の低迷が相場の重石となった。
ドル高は一服したものの、安価な黒海地域産小麦やアルゼンチン産小麦の供給が依然として米国産小麦にとって足かせとなっている。

20日はキング牧師生誕記念日に伴い休場となる。この日はトランプ次期米大統領就任式が実施される。

NYココアは反発。最大生産国コートジボワールにおいて、予想を下回る生産量や価格上昇にもかかわらず需要が旺盛なことなどから、供給が厳しくなっているもよう。

NY綿花は反発。ショートカバーが入ったほか、トランプ次期米大統領の就任式を前にポジション調整が入ったもよう。

NYコーヒーは反発。最大生産国ブラジルの今年の供給について、収穫サイクルの隔 年のオフイヤーであることから鈍化が見込まれるもよう。
さらに昨年の乾燥した天候が2025〜26年度産の収穫量を減少させる可能性があるという。

NY砂糖は反落。週間では5.2%下落した。
インドが砂糖の輸出規制を近く緩和する可能性があるとの報道が、今週相場を圧迫したという。ただし、現時点で公式な発表はない。

コーン・大豆相場は、20日に就任するトランプ次期米大統領が主張する関税強化への警戒感が広がる中、上値の重い展開となりそうだ。
主要輸出先に対する追加関税の発動は、米国の農家にとって大きな脅威となる。
10日発表の1月の米需給報告での生産高見通しの下方修正などが押し上げ材料となり、コーンも大豆も今週は週間で上昇した。
市場では、米農務省の最新のコーンの週間輸出統計の堅調さにも注目している。一部の購入は新政権を見越した動きと考えられる。

トランプ氏の経済政策を巡る不透明感は依然として根強い。米国産の大豆は中国、コーンはメキシコが最大の輸出先である。
両国に対する関税強化は貿易戦争を引き起こす恐れがあり、相場の押し下げリスクとなる可能性がある。
トランプ氏は選挙戦で、中国製品に60%以上、それ以外の国や地域に10〜20%の関税を課すと宣言。
昨年11月には、中国製品にまず10%の追加関税、メキシコとカナダに対しても25%の関税を課す大統領令に就任初日に署名すると表明した。

ただし、どの程度まで引き上げられるのか、あるいは脅しにとどまるのか、予測は困難である。
先週にはカナダ政府が米国からの輸入品の最大1050億ドル相当に対し、報復関税を導入する可能性があると報じられた。
関税問題は農産物市場でも大きな材料になることだけは確かである。

当面は南米での作付けや収穫に影響を及ぼす天候が注視される。
ブラジルでは大豆の豊作が見込まれており、今月から市場に供給される。
アルゼンチンでは乾燥天候が懸念されていたが、週末に予想されている雨が降れば、作物へのストレスが和らぐ可能性がある。
これらの天候の状況が市場に与える影響にも目を配る必要があろう。

コーンは大きく反発し、直近高値を更新した。一段と強い動きになっており、強気相場に移行したかのようにみえる。
今後のトランプ政権政策次第では急落する可能性もあるだけに要注意である。

大豆も反発した。100日線の1021セントを回復しており、地合いが好転する可能性がある。
もっとも、トランプ政権の政策に大きく影響を受けやすいだけに、今後の動きは不安定になる可能性もあるだろう。

小麦は小幅反発したが、まだまだ方向感は見えない。20日線の542セントがポイントである。

なお、投資判断はご自身の責任で行ってください。

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