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相場の始まりに必ず現れる「揉み合い」の考え方

From 「投資の学校」浅野敏郎

 
直近の投稿から長い時間が経過してしまい、申し訳ございません。

やっと少し相場が動き始め、以前よりは少しチャンスが出てきたように思います。
ただ、しっかりしたトレンドというよりも、乱高下に近い、ただボラティリティだけが高くなる、といった取り組みにくい値動きが多いようです。

今までの私の投稿は、実際に取引をする場面を想定して、いろいろな見方や対策などを5年近くに渡ってお伝えしてきたわけですが、大体は説明できたと個人的には思っておりますので、本日の原稿を最後に、次からは具体的な売買アイデアなどを発表してみたいと考えています。

ということで、今回のテーマですが、
例えば今年の9月の日経平均は、前半が上昇、後半から現在にかけて下落したことに加えて、値幅が3000円近いなど極端な往来相場になっています。

確かに後から見れば、9月の上昇も下落も、それ自体がトレンドに見えなくもありません。特に日足以下のチャートでは、トレンドにしか見えないといっても過言ではないのですが、今のところ言えるのは「揉み合い」というのが正直な見解です。

ではなぜ「揉み合い」と捉えるのか?という観点を述べてみたいと思います。
———————————————–
おはようございます。

今週も早や金曜日がやって参りました。
そして、随分とご無沙汰してしまい申し訳ございません。

冒頭ではなかなか言えませんでしたが、9月はなぜか原稿の作成タイミングである水曜日と木曜日に多くのタスクが集中してしまい、作成に必要な時間が捻出できませんでした。

その間、中国の恒大グループのデフォルト懸念が台頭して、世界の金融市場が一時緊張する場面がありました。その後の伝え聞きでは、一度は利払いを済ませて難を逃れたことから緊張も一時的に緩んだようですが、その後の利払いは確か猶予期間に入るなど、問題は依然として抱えたままです。

中国政府が救済に動くかどうかで、ことの重大さも変わってくると思いますが、額はさほど大きくはないもののグローバルバンクが数行絡んでいる模様との話もあり、タイミング的にはリーマンショック前に発生し、そのきっかけとなった住宅ローン問題の匂いがしなくもありません。

暫くの間、世界的な金融緩和の渦の中で、信用収縮とは無縁な我々でしたが、久しぶりにそのベクトルを持つニュースだけに、予断は許さないと感じています。

そもそも揉み合いとは何だったか

復習的なことを申し上げるようですが、定義としてとらえると、
上昇相場が高値・安値を共に切り上げる値動き
下落相場が高値・安値を共に切り下げる値動き
ということになり、ならば、
揉み合いとは、高値安値を共に切り上げたり切り下げたりしていない値動き

ということになります。

揉み合いというと、レンジ相場が代表的に扱われますが、直近の値動きの間で推移する相場はどれも、例え一瞬であってもその間は「揉み合い」だと言えます。

例えば、添付のチャートは日経225の2020年末から現在に至る週足ですが、

2020年終盤にかけて上昇してきた相場が、2021年の2月に高値を付けた後、8月末まで「ジリ下げ」となっています。その間の値動きは、当たり前ですが2020年終盤の大幅上昇の内側で推移しており、この間は「揉み合い」であると言えるわけです。

そして9月の乱高下についても、
この「ジリ安」相場の高値安値の範囲で発生した乱高下だった以上は、やはりこれも「揉み合い」という見方が順当に見えます。

厳密にみると、8月16日週の安値と9月13日週の高値は、ジリ安相場のそれらを若干、越えてはいるのですが、2021年2月以来の揉み合いは依然として継続しているという見方にはご納得いただけると思います。

9月相場の乱高下を4時間足でみると

しかし、僅か一か月間の、しかも前半の上昇局面を4時間足で見てみると、れっきとした上昇相場としてみることができます。

同じ相場なのになぜこのようにも違う風景に見えるかというと、比較している値幅がそもそも違うからです。

週足の可視範囲は、大体20,000円台から30,000円台であったものが、4時間足では大体、27,000円台から31,000円台となっており、より細かい値動きを見た結果が上昇相場を示していただけに過ぎないのです。

つまり、上昇相場や下落相場を議論する際には、議論している足の期間は何足かということや、どの値動きに対して上昇または下落相場と言っているのかを明確にする必要があります。

もしこの4時間足を上昇相場というのであれば、チャート序盤の下落波動から見て上昇…ということになり、
週足が揉み合いというのであれば、2021年2月まで上昇してきた値動きに対して発生した調整の値動きという認識合わせが必要なのです。

それは当然、実際のトレードにも結果という形で差異となります。
直近までの動きを週足で見ているとするなら、

丸で囲んだ足が高値を抜けたタイミングである24000円ではエントリーし、現在でも維持している可能性がある一方、


4時間足では、上昇局面は既に終わって、29300円では最低でもショートになっているのが理想で、現在は維持か利益確定かで悩んでいる状況・・・といったところでしょうか。

 
違う期間の足を見比べて「どちらを信じれば良いか」という議論は頻繁に見受けますが、

これからトレードするなら、今後どうなるかが重要な事であり、今重要なことは唯一、直近の下値を割り込むと足の期間に関わらず全体が下落になり得るという事だけなのですね。

逆に上昇相場を議論するには、9月高値を越えない限り基本的に「揉み合い」であるということです。
もし、この揉み合いの中の細かい値動きを狙うのであれば、少なくとも、日足以下で見て行くしか方法はなく、4時間足では6日未明の高値28318.5か、6日午後の安値27016を越えない限りはやはり「揉み合い」としか言えず、上に抜ければ大きな揉み合い中の小反発が狙える一方で、下に抜ければ前述のとおり、値幅を出しかねない下落の再開が色濃くなる…ということになるでしょう。

 
 
浅野敏郎

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