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【2025年3月17日】江守哲のコモディティコメント

こんにちは、江守哲です。

14日の金相場は、一時史上初めて1オンス=3000ドルを突破し、最高値の3004.86ドルを記録した。
しかし、その後は利益確定の売りが入り、最終的に0.1%安の2986.26ドルで取引を終えた。
トランプ大統領の関税政策による経済の不透明感が、安全資産としての金の需要を押し上げた。
年初来で金価格は約14%上昇。株式市場の急落を受けたリスク回避の動きや、中央銀行の金需要増加が押し上げにつながっている。
特に中国は2月に金準備を4カ月連続で増加させている。

また、FRBの金融緩和期待もある。利下げ観測が金利を生まない金の支援材料になりやすい。
市場では、金価格の高騰は投資家のリスク回避姿勢の表れであり、今後の経済・金融政策の動向次第でさらに変動する可能性があるとみられている。

金相場はこの日も過去最高値を更新した。節目の3000ドルは下回っているが、手仕舞い売りも出づらくなっているように見える。
こうなると、押し目待ちの買いが下値で並んでいるだろうが、それが見えていれば下がらないのが相場である。
もっとも、目先の動きはあくまで目先の動きでしかない。
いまの金相場はそのような小さい話ではなくなってきている。世界中が金への関心を高めている。
今後も上下に変動するだろうが、結局は長期的な視点を持てるかどうかが重要である。

14日のLME銅相場は横ばい。一時5カ月ぶりの高値を付けたが、中国の低調な融資データと米国の関税懸念が買い意欲を抑えた。
2月の中国新規銀行融資は、前月の過去最高水準から予想以上に減少。

今週の銅相場は、トランプ政権の関税政策を巡る不透明感から軟調な展開が予想される。
ただし、銅の輸入関税発動を見越した米国向け輸出が続き、在庫減少が価格を下支えする見込み。
先週は、関税政策による世界経済の成長懸念で相場は下落して始まったものの、在庫減少やウクライナ停戦期待で持ち直し、週間では上昇して取引を終えた。

今週の注目イベントは、18〜19日のFOMC会合。関税政策による米経済への影響が意識される中、パウエルFRB議長の発言がドル相場に影響を与える可能性がある。
また、ロシア・ウクライナ停戦協議の進展も注目される。
17日には中国の鉱工業生産、新築住宅価格が発表される。この内容にも注目しておきたい。

銅相場は直近高値を更新する動きになっており、次のターゲットは節目の1万ドルや昨年9月の高値10158ドルである。
これらを上抜けるほどの値動きになるかを見極める。すでに買われすぎになっているだけに、注意は必要であろう。

アルミは反落している。調整基調に入りそうな値動きだが、まずは20日線の2660ドルで下げ止まるかを見極めたい。
亜鉛は直近高値を更新する動きにあり、強気相場に入っている。鉛も同様だが、288日線の2082ドルで打たれているのが気になる。

14日の原油相場が約1%上昇し、反発した。ロシアとウクライナの早期停戦への期待が薄れ、ロシアのエネルギー供給増加観測が後退したことが背景にある。
プーチン大統領は13日、ウクライナとの停戦に関する米国の提案を原則支持する姿勢を示したが、多くの説明や条件を求め、即時受諾はしないとみられる。
市場では、停戦が先送りされれば、ロシア産原油への制裁が長期化すると市場は見込むとの指摘がある。

トランプ米大統領は14日、ロシアに対し停戦案の受諾を改めて促し、自身のSNSで「米国をロシアとの『混乱』から引き離す」と投稿。
トランプ政権はロシアの金融機関とのエネルギー関連取引に関する許認可の期限が今週切れると発表しており、中国の国営企業も制裁リスクを背景にロシア原油輸入を制限していると情報筋が語った。

米エネルギーサービス会社ベーカー・ヒューズが発表した週間データ(14日までの週)によると、米国内の石油・天然ガス掘削リグ稼働数は前週から変わらずの592基だった。
前年同期比では37基(約6%)減少した。内訳は、石油リグが前週比1基増の487基、ガスリグが1基減の100基だった。

ロシアのプーチン大統領とサウジアラビアのムハンマド皇太子は電話会談を行い、OPECプラスの合意順守の重要性を確認したほか、ウクライナ和平に向けた動きについて協議した。
ロシア大統領府が13日夜に声明を公表した。声明によると、プーチン氏は2月に行われた米ロ高官会談でのサウジの仲介努力に対し、ムハンマド氏に感謝の意を示した。
サウジ国営通信によると、ムハンマド氏はプーチン氏に対し、サウジは引き続き対話促進とウクライナ和平への政治的解決を支援する意向を伝えた。

バークレイズは14日、2025年のブレント原油価格予想を1バレル=74ドルに引き下げた。
従来予想から9ドルの下方修正で、経済の先行き不透明感による需要低迷を理由に挙げた。
同社のアナリストは、2025年の需要見通しを日量51万バレル下方修正したと説明。
また、米国の原油生産については、2025年第4四半期末までに前年同期比で日量20万バレル増加すると予想している。

中国の国営石油各社が3月に入り、ロシア産石油の輸入を敬遠し始めた。
シノペックとノリンコの子会社である振華石油は購入を停止し、ペトロチャイナとCNOOCは購入量を削減。
背景には米国の対ロ制裁があり、リスクを避けるための対応とみられる。
ロシアの供給業者に近い商社幹部は、新たに制裁対象となった企業の生産する石油は避けられていると指摘。
「いったん停止し、回避策を検討している」と明かした。

北京の国営石油会社関係者によると、コンプライアンス体制の見直しや米ロ協議の行方を見極めるため、ロシアとの契約を一時停止した。
交渉次第では購入を再開する可能性もあるという。
ペトロチャイナは3月の海上経由の購入量を減らしたものの、シベリアからのパイプライン経由では引き続き日量80万〜90万バレルのロシア産原油を購入している。
CNOOCも3月積みの購入量を減らしたという。

14日のNY天然ガス相場は反落。週間では6.7%下落。
今後2週間の気温が例年より高いとの予想や暖房需要の見通しが下方修正されたこと、さらに暖冬による需要減が相場の重石となり、この週は大幅な下落となった。

原油相場は反発した。これで再び上値を試せるかを見極めたい。市場はウクライナ停戦の動向に注目しているようだが、ロシアからの供給が増えるようだと、原油相場の反転は困難になりそうである。
ただでさえ、OPECプラスの増産リスクがあるだけに、ロシア増産・供給増になれば世界の石油需給が一段と緩和する可能性が高まり、結果的に原油相場の上値を抑えることになりそうである。
いずれにしても、原油市場は緩和状態である。突発的なことがなければ、上値は限られるだろう。

14日のコーンは反落。市場では、貿易摩擦による流通の混乱や南米産の潤沢な供給を巡る懸念が相場の重石となった。
今週は売り圧力が強まり、米国の鉄鋼・アルミ輸入品への関税発動に対し、EUとカナダが一部の米国産品に報復関税を課したことが影響した。
EUの報復措置として、米国産コーンに25%の関税が課され、大豆にも今後関税が適用される見通しとなり、米農産品の輸出混乱への懸念が増している。

一方、コーンの主要供給国であるアルゼンチンの生産高見通しが下方修正されたことが、相場の支援要因となった。
米農務省は日報で、2024〜25年度渡しの米国産コーン21万8604トンの売却を確認したが、仕向け地は不明としている。

大豆は一進一退の展開の後、続伸した。市場では、トランプ米大統領の「関税戦争」や南米の生産見通しが相場の材料となった。
世界最大の大豆供給国であるブラジルの豊作見通しが相場の重石となる一方、アルゼンチンでは降雨が作物にとって好条件となっているものの、ロザリオ穀物取引所が同国の大豆とトウモロコシの収穫予想を引き下げたことが注目された。
また、農業調査会社サフラス・エ・メルカドは14日、2024〜25年度のブラジルの大豆生産見通しを1億7245万トンとし、従来予想の1億7488万トンから下方修正した。

小麦は反落。貿易戦争の懸念が下押ししたが、ロシアの小麦輸出減少予想が相場を支えた。
米国が鉄鋼・アルミニウム輸入に関税を発動し、EUとカナダが報復関税を発表。
これにより穀物市場は圧迫された。ロシア農業市場研究所(IKAR)は13日、2024~25年度の同国産小麦輸出見通しを4250万トンから4,100万トンに引き下げたと発表。

NYココアは続落。ディーラー筋によると、ICEの保有在庫が1月初め以来の最高水準に急増しており、市場の圧迫要因となっている。

NY綿花は反発。綿花主要産地の悪天候の予報や作付面積減少見通し、堅調な需要に押し上 げられた。

NYコーヒーは3日続落。週間では1.9%下落した。
ラボバンクは、今後数週間でICEのアラビカ種・ロブスタ種の在庫が増加すると予想。これにより価格に下押し圧力がかかる可能性があると指摘している。

NY砂糖は最大生産国ブラジルの降雨量に対する懸念が続き、インドの砂糖生産予測の悪化が相場を支えた。
インド製糖協会は、9月までの今シーズンの国内生産量が2640万トンになる見通しと発表。従来予想の2720万トンから2.94%の減少。

今週のコーン・大豆は、トランプ政権の関税政策による貿易摩擦の影響で上値の重い展開が予想されている。
米国は鉄鋼・アルミに25%の追加関税を発動し、中国・EUが報復関税を表明。中国は米国産コーンや小麦に15%、大豆に10%の関税を上乗せした。
これにより米国産穀物の輸入価格上昇が避けられず、需給環境が悪化する可能性がある。

自由貿易体制の混乱で世界経済の冷え込みが懸念され、穀物需要の下押し圧力となるリスクも指摘される。
コーンの最大輸入国メキシコは強硬措置を取っていないが、米国との交渉の不透明感から先行き不安が残る。
大豆市場では南米の供給が潤沢であることが引き続き弱材料とみられている。

米農務省が11日に発表した3月の農産物需給報告は市場に大きな影響を与えなかったが、今月末の作付け意向面積報告に注目が集まる。
関税による肥料価格の上昇が指摘されるものの、コーンの作付面積が大幅に減少するとは考えにくいとの見方がある。

コーンは先週末に反落した。まずは200日線の455セントを維持できるかを見極めることになろう。
いよいよ米国の作付け気に入っていくだけに、今後の作付けに関する動向には要注意である。
大豆は続伸している。このまま反発基調に入るかを見極める。基調転換には、少なくとも100日線の1028セントを超えることが不可欠であろう。
小麦は反落した。依然として上値が重い。50日線の570セントを超えないと基調転換にはならないだろう。超えたあとも100日線・20日線が控えている。

なお、投資判断はご自身のリスクと責任でお願いいたします。

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