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日銀、ETFとRETFの市場売却を決定

こんばんは、矢口新です。

当初、別のトピックを用意していたが、
特筆しておくべきことが起きたので、
この話題に変更した。

日銀は19日の金融政策決定会合で、
政策金利を0.5%に据え置いた。
予測通りだった。

一方、
保有するETFとRETFを
市場で売却すると決めた。
日銀が保有するETFは
2025年3月末時点で簿価37.1兆円、
時価約70兆円と巨額なので、
いつどのように処分を始めるのか
市場で注目が集まっていた。
売却は年間3300億円程度、
時価で6200億円程度のペースで行う。

37.1兆円を3300億円で割ると、
112.4となる。
70兆円を6200億円で割ると112.9となる。
時価は常に変動するので
実際の売却額は不定だが、
おおよそ112年以上かけて売却することになる。

ちなみに、
米連銀が保有の国債やMBSを売却した時は、
月間最大600億ドル(約9兆円)程度を売却、
総額4兆ドル超(600兆円)を数年単位で縮小した。
これが金融政策だろう。

日本は不思議の国だ。
あるいは、
112年以上もかけなければ正常化が終わらないほど、
異次元緩和は金融政策を
歪めたのだという意思表示なのかもしれない。

当初、日経新聞には簿価37兆円、
時価約70兆円の売却とだけ出ていた。
ウェブで調べていたらブルームバーグには
年間3300億円程度、
時価で6200億円程度のペースと出ていた。

日経225先物が
19日12時30分から45分ほどで
1000円以上下落し、
その後反発したのは、
巨額な売りの恐れから、
少額を徐々に時間をかけてという
安心感に転じたためだと思われる。
私などは、後始末は事実上後世に
という発想にかえって不安を抱いたのだが。

日本取引所グループは、
投資部門別売買動向を毎週、
毎月と、まとめて出している。
2005年1月から2025年8月までの
兆円単位の売りと買いとをまとめると、

売りは多い順に、
個人投資家54.5兆円、
生損保12.0兆円、
信託(年金)11.5兆円、
都銀等10.0兆円、
投資信託3.7兆円、
他金融3.0兆円だ。

一方、買いは多い順に、
事業法人49.6兆円、
外国人37.6兆円、
日銀37.1兆円、
他法人6.8兆円だ。

日銀の買いは
2023年の2103億円が最後で、
以降は買っていない。
今後は売りに回る。

この数値の注意事項は、
東証、大証、名証などでの
市場取引であるということだ。
つまり、IPOや場外取引は含まれない。
個人投資家の売りが膨大なのは、
IPOで買ったものを市場で
売るケースがあることと、
2005年以前に購入した株を、
その後に売っているためだ。
株式の相続売りなどはそうした売りとなる。

金融機関の売りは、
過去に買っていた株式の含み益を
超低金利時代に実現益に換えてきた決算対策、
持ち合い株や政策株を減らせとの当局からの圧力、
資本を食う形となるリスク資産の削減などからだ。

年金の売りは、株価の値上がり、
債券の値下がりでのリバランスによる調整売りだ。

買いの事業法人と外国人は事情が異なる。
日本株の持ち株比率を見ると、
事業法人はバブル期の30%強から今日の20%割れまで減ってきた。
外国人は同時期に数パーセントから30数パーセントに増えてきた。

両者が入れ替わったのは2003年頃で、
約22%の頃だ。
市場で買っているのに持ち株比率が下がるのは、
事業法人の買いは自社株だからだ。
事業法人も政策株は売っているので、
持ち株比率が下がるのだ。

いずれにせよ、
日本株は自社株買いという
調達資金の返却が上昇の主力だ。
外国人はカネ余りと
自国株高の余力で買っているので、
いつまで続くか分からない。
日本人の所得や税金・社会保険負担、
インフレなどを鑑みれば、
個人が大幅な買い手となる見込みも薄い。

私は日本株が安定して上げていくとは見ていない。

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