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【2024年9月30日】江守哲のコモディティコメント

こんにちは、江守哲です。

27日の金相場は、米個人消費支出(PCE)物価指数の消化が進むと、前日までの買いの勢いが一 服し、久しぶりに下げた。FRBは前週に開催したFOMCで大幅利上げを決定。年内残り2回の会合でも利下げを見込んでおり、金利の付かない金相場は前日まで連続で最高値を更新していた。8月の米PCE物価指数は、市 場予想をわずかに下回る前年同月比2.2%上昇と、インフレ鈍化の持続が示された。ただし、市場では大きなサプライズはなかったとの見方から利益確定売りが出た。

また、ドルがユーロに対し上昇に転じたことで、ドル建てで取引される 金の割高感が意識されたことも相場の下押し要因となった。金相場は7〜9月期に約14%高と、上昇率は2016年1〜3月期以来の大きさとなっている。年初来では約28%上昇し、14年ぶりの大幅高となっている。中東での和平交渉が決裂する恐れがあるほか、労働市場の悪化が続く可能性がある。また、FRBによる0.5%の追加利下げや、中国の追加景気刺激策の可能性があり、これらが金相場を支えるとの見方がある。

金相場はこの日は下げたが、高値圏を維持している。今後も上下動がありそうだが、金市場はすでに歴史的な転換期にあるようである。単純に米金利やドルの動きだけではもはや説明ができない買いが入ってきているように見える。各国中銀が腰を入れて買ってきている可能性がある。特に注目しているのがBRICS通貨の裏付けに金が買われている可能性である。そうなると、金は相応の量で買われることになりそうである。政治が裏付けになっているのであれば、上がるしかないだろう。

27日のロンドン金属取引所(LME)の銅相場は下落した。国際銅研究会(ICSG)は世界の銅市場について、2024年は46万9000トン、25年は19万4000トンの供給過剰になるとの見通しを示したことが材料視された可能性がある。銅相場は中国の景気刺激策を材料に大幅上昇した流れを引き継ぎ、堅調に推移するとの見方がある。ただし、中国市場は10月1〜7日が国慶節で休場となるため新規の手掛かりに乏しく、米経済指標などを受けたドルの動きに左右される可能性がある。銅相場は、中国の金融緩和と財政支出に関する発表を好感して大きく上昇した。中国人民銀行は24日、7日物金利と預金準備率の引き下げを発表。この大規模な金融緩和に市場は反応し、銅相場は急伸した。

さらに26日には、中国指導部が今年の5%前後の経済成長率目標を達成するために「必要な財政支出」を行うと明言したことで、銅相場は心理的節目の1万ドルの水準を突破した。しかし、この日は節目を割り込んで引けている。今週も中国発のニュースに敏感に反応するとみられ、30日に発表される9月の製造業購買担当者景況指数(PMI)に注目が集まるだろう。ただし、10月1日から国慶節に入れば、中国関連の新規材料は限られる見通しである。まずは目先の動きを確認したい。

27日の原油相場は、中国の大規模な金融緩和を背景にエネルギー需要見通しに期待が広がる中で買われ、3日ぶりに反発した。週 間では5.20%安。中国人民銀行は27日付で、大規模な金融緩和の一環として、0.2%の利下げとともに、銀行の預金準備率も0.5%引き下げた。追加景気支援により同国の景気が支えられ、エネルギー需要が上向くとの観測が強まった。また、前日の原油相場が2週間ぶりの安値水準となった反動から、安値を狙った買いが入った。

ロイターは26日、関係筋の話として、OPEC加盟国とロシ アなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」はこれまでの方針通り、12月から日 量18万バレルの増産を実施する見通しと報道した。フィナンシャル・タイムズ (FT)は26日、サウジアラビアが1バレル=100ドルの非公式な価格目標を放棄し、12月からの増産に向けた準備を進めていると報道していた。OPECの増産方 針が改めて再確認されたことで、エネルギー需給緩和懸念が強まり、上値は重かった。

ロシア・エネルギー省のソロキン次官は26日、世界の石油需要が2050年までに「相当」伸びる可能性があるとの見方を示したうえで、同国には追加供給の用意があると語った。ソロキン氏は、需要がなければロシアは市場を石油であふれさせることを望まないと明言。石油の採取が今後より困難になり、生産コストが上昇するのは確実だと付け加えた。

ロシア紙ベドモスチの今月の報道によると、エネルギー省は30年の同国原油生産量を5億4000万トン(日量1080万バレル)と予想している。これは23年の5億3100万トンを上回る水準。ソロキン氏はエネルギー関連のイベントで「5億4000万トンという数字は免責事項付きの基本シナリオだ。OPECプcラスとの協力や市場の需要などを考慮したものだ」と語った。

ソロキン氏によると、エネルギー省は世界の石油需要が30年までに、少なくとも日量500万〜700万バレル増加すると予想している。現在の消費量を4.5〜5.5%上回る水準で、同氏は50年まで最低5%の成長を見込んだ。

27日の天然ガス相場は約5%高。メキシコ湾岸地域のガス生産者が減産し、ハリケーンが米南東部を襲う中、14週ぶりの高値を付けた。

原油相場はこの日は上昇したものの、まだまだ上値は重い。この日は中国の政策を買い材料視する買いが入ったようだが、材料の持続性には疑問も残る。需給面で根本的な部分が解消されなければ、結局上値は打たれるだろう。もっとも、目先は売られすぎになっている。そのため、目先は買い戻しが優先される可能性もある。ただし、その場合でも20日線の69.36ドルを超えられないようだと、結局は打たれるだろう。産油国も減産継続で疲弊している。減産枠組みの崩壊のリスクもあろう。

27日のコーンは反発。7月下旬以来、約2カ月ぶりの高値水準となった。大豆や大豆ミール高が波及した面や、30日に公表される米農務省の統計を前にショートカバーの買いや、ポジション調整の動きがみられた。ハリケーン「ヘリーン」上陸を受け、米メキシコ湾岸地域の作物やインフラに被害が及ぶことへの懸念が広がり、大豆相場が2カ月ぶりの高値水準を付けたこともコーン相場に波及した。

米宇宙技術会社マクサーは気象日報で、ヘリーン上陸に伴う広域にわたる降雨により、米中西部南端やデルタ北部では、トウモロコシの収穫作業が向こう数日間にわたり遅れる見通しだと述べた。ただし、コーンベルトの他の地域では、週末にかけて収穫作業が進展すると見込んでいる。米農務省が30日に公表する四半期在庫報告前に関する市場予想平均は、9月1日時点でのコーン在庫は4年ぶりの高水準が見込まれている。

大豆は反発。7月下旬以来。約2カ月ぶりの高値水準を付けた。ハリケーン「ヘリーン」上陸を受け、米メキシコ湾岸地域の作物やインフラに被害が及ぶことへの懸念が広がり、大豆ミール相場が上昇したことや、週明け30日発表の四半期在庫報告などを前にしたショートカバーの買いが相場を支援した。

複数の気象予報機関は、ハリケーンの影響により、米中西部南端やデルタ北部では、大豆の収穫作業が向こう数日間にわたり遅れる見通しと指摘した。ただし、コーンベルトの他の地域では、週末にかけて収穫作業が進展すると見込まれている。 世界最大の大豆供給国ブラジルの北部における降雨状況を巡り、引き続き不透明感が漂っていることも相場を支えた。同国では、乾燥天候により作付け開始が遅れている。

小麦は続落。前日の取引がテクニカル面で弱気を示す形で引けたことに伴う売りや、黒海地域産小麦との競争が響いた。30日に予定されている米農務省の四半期在庫と年間の穀物概要報告発表を前に、ポジション調整の売りが出た。米農務省報告では、9月1日時点の小麦在庫は19億7300万ブッシェルと、4年ぶりの高水準となる見通し。米国の2024〜25年度の小麦生産見通しも引き下げられると予想されている。

ロシアでは、深刻な干ばつに見舞われ、冬作物の作付けが非常に困難な状態になっている。アナリストや農業調査会社幹部が27日、明らかにした。農業調査会社ソブエコンはこの週、ロシアの小麦の作付進捗率が11年ぶりの低水準に落ち込んでいるとし、2025年の穀物収穫見通しが懸念されると述べた。

ロシア農業市場研究所(IKAR)のドミトリー・リルコ所長は、農業関連投資家との会合で、「冬作物の状況を注意深く監視しているが、きわめて厳しいとみている」などと述べ、特にボルゴグラードとサラトフは厳しい状況であると明かした。両地域は、それぞれ国内4位と6位の穀物産地。

また、別の農業関連企業幹部も、来年の小麦収穫について、「問題が発生するだろう」との見方を示した。その上で、「非常に深刻な状況だ。土壌は完全に乾燥している。作付けは昨年より低下している」とした。

9月は、ロシア南部やボルガ川地域が深刻な干ばつに見舞われたように、シベリアの複数穀物産地でも大雨で非常事態宣言を発令した。深刻な干ばつは、さらに2週間続く見通し。

ロシアの穀物収穫量は、22年に過去最高の1億5800万トンに達したが、昨年は1億4800万トンに減少。今年は1億3200万トンにとどまる見通し。IKARは、今年のロシアの小麦見通しを8180万トンとし、従来予想の8220万トンから下方修正。穀物は1億2450万トンとし、従来予想の1億2500万tから引き下げた。

NYココアは5日続伸。最大生産国コートジボワールでの好天がメインクロップの見通しを改善し、現在のところは上値を抑えている。

NY綿花は続落。米ジョージア州でのハリケーンによる穀物への被害が懸念されたものの、 需要低迷が圧迫した。

NYコーヒーは5日ぶり反落。この週は7.3%上昇した。天気予報によれば、ブラジルの主要なコーヒー生産地域では今後6〜10日間、乾燥が続く見通し。コーヒー樹にさらなるストレスを与えるとみられている。一部トレーダーは、世界最大の消費国である米国での港湾ストライキでコンテナ輸送が影響を受ける可能性を懸念しているとしている。

NY砂糖は続落。最近の価格急騰を受けて生産国は販売の動きを強めているほか、インドが来シーズンに約200万トン輸出できるほど生産する可能性があるという。全体としては、砂糖価格は依然として上昇傾向にある。ブラジルは2024〜25年度、200万トン減の計3900万トンの砂糖を生産する見込み。調査会社BMIによると、深刻な干ばつと、それに関連する山火事が原因だという。

コーン・大豆相場では、米東海岸とメキシコ湾岸で港湾労働者がストライキ入りするとの観測が影を落としている。賃上げなどの労働条件に関する労使協議は一致点が見いだせないままである。ストが実施されれば、米国産穀物の輸出停滞は避けられず、相場は軟調に推移する可能性もあるという。

報道によると、30日に失効する労働協約の締結で妥結できなければ、来月1日にもスト入りする公算が大きい。対象地域はボストンからヒューストンと広範にわたり、米国から船舶で輸出する農産物のうち1割程度が影響を受けるとの試算もある。スト回避に向けて農業団体などが連邦政府に対応を要請しているが、米大統領選を控える中、影響力のある労組と対峙したくないとの思惑から政府による介入がうまくいかないとの見方がくすぶっている。

一方、中国の景気刺激策は、対中穀物輸出が拡大につながるとの期待から、強材料となる可能性がある。ハリケーン「ヘリーン」上陸による被害発生の懸念も相場の押し上げ要因になるとみられている。

大豆については南米の豊作見通しや、ブラジルでの雨予報が上値を抑える可能性がある。小麦はウクライナの収穫見通しを巡る懸念が相場の上昇要因として注目される。

コーンは高値を更新している。ただし、材料待ちになろう。四半期在庫報告の結果を市場の反応を待ちたい。そのうえで、100日線の430セントを超えるかを見極めたい。大豆も堅調に推移している。同様に四半期在庫待ちだろうが、100日線の1080セントを超えるような上昇になれば面白い展開になりそうである。ただし、すでに買われすぎになっている点には要注意である。小麦は下げている。材料不足になっており、上値を追う力がなくなってきているように見えるため要注意である。

なお、投資判断はご自身の責任で行ってください。

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