【2025年9月22日】江守哲のコモディティコメント
こんにちは、江守哲です。
【貴金属市場の市況解説】
金:3683.725(+39.72)<+1.09%>
銀:43.08(+1.28)<+3.06%>
プラチナ:1404.292(+20.26)<+1.46%>
パラジウム:1149.105(-1.34)<-0.12%>
19日の金相場は上昇し、週間では0.8%の上昇となり、5週連続のプラスとなった。
FRBが今年初の利下げを決定したことを受け、市場の注目は今後の金融政策の見通しに集まっている。
FRBは9月17日に政策金利を0.25%引き下げることを決定したが、根強いインフレへの懸念も示しており、今後の利下げペースには不透明感が出ている。
利下げ決定後、金相場は過去最高値の3707.40ドルを付けた後、一時的に下落に転じた。
【貴金属のトレード戦略の考え方】
金相場は崩れずに高値圏を維持している。ドル高基調ではあるが、反応は鈍い。
このように考えると、やはり金相場は強いといえそうである。あまり難しいことを考えず、とにかく保有しておくことを考えるべきなのだろう。
今週は縦横イベントが多い。来週もその傾向が続く。市場の反応は気になるところだろうが、保有し続けることを優先したいところである。
一方、銀相場は息を吹き返している。この日は急伸し、高値を更新した。投機的な動きに見えるが、ついていくようにしたい。
【非鉄市場の市況解説】
アルミ:2676(-29)<-1.07%>
銅:9996.5(+50.5)<+0.51%>
ニッケル:15270(-65)<-0.42%>
亜鉛:2898.5(-14.5)<-0.5%>
鉛:2003(-1)<-0.05%>
COMEX銅:4.569(+0.028)<+0.62%>
<LME在庫(前日比)>
アルミ:513900トン(±0トン)
銅:147650トン(-1225トン)
ニッケル:228444トン(-6トン)
亜鉛:47825トン(-1000トン)
鉛:220300トン(-2375トン)
19日のロンドン金属取引所(LME)の銅相場は上昇した。
金属消費大国である中国で、大型連休を前に買い手が在庫を積み増すなど、需要改善の兆しが見られた。
この上昇は、FRBが17日に利下げを決定したことで、投資家が利益確定の売りを進めた結果、15日の15カ月ぶり高値から2%超下落していた相場を押し戻す動きとなった。
中国の銅輸入需要を示す洋山銅プレミアムも19日に1.8%上昇し、1トン当たり57ドルとなった。
シティは、銅価格が第4四半期に1トン当たり9500〜1万0500ドルの範囲で推移すると予測している。
その後、ドル安観測と生産拡大でも相殺できない需要増により、2026年には1万2000ドルに達する可能性があると見ている。
また、シティは、来年の精錬銅消費量が2.9%増の2750万トンとなり、世界市場が今年の6万3000トンの供給過剰から30万8000トンの供給不足に転じると予測している。
【非鉄金属のトレード戦略の考え方】
今週の銅相場は、底堅く推移する見通しである。FRBが利下げを決定し、年内にあと2回の利下げが想定されたことから、今後もドル安の地合いが続くとみられている。
また、金属消費トップの中国で、10月の国慶節に伴う大型連休を前に、実需の在庫積み増しによる需要回復の兆しが見られることも相場を下支えする。
先週は、週初に1年3カ月ぶり高値となる1トン=1万0192.50ドルを付けた後、中国需要の低迷やFOMCの結果が予想通りだったことによる利益確定売りで値を下げた。
今週はドル安の地合いが重なり、買いが進む可能性が指摘されている。
しかし、今週の主要中央銀行による政策金利決定イベントが終了し、材料出尽くし感があるため、方向感に乏しい展開になる可能性もある。
今週の注目指標には、23日発表のS&Pグローバルの米総合購買担当者景況感指数(PMI)や、26日の米個人消費支出(PCE)物価指数などが挙げられる。
これらを材料に、ドルがどのような展開を見せるのか、それによっては銅相場も影響を受けることになりそうである。
銅相場はかろうじて反発している。20日線の9948ドルでサポートして反発しており、目先は相場の崩れは回避されたといえる。
しかし、まだ楽観はできない。今日も上昇するようだと、上昇期待が高まる可能性もあろう。
一方でアルミは反落した。この動きをみえると、上値が切り下がっていることもあり、天井を付けた感もある。
買われすぎの調整が進んでいるともいえるため、まずは20日線の2643ドルまでの調整のリスクを念頭に置いておきたい。
【エネルギー市場の市況解説】
WTI原油:62.68(-0.89)<-1.4%>
ブレント原油:66.68(-0.76)<-1.13%>
RBOBガソリン:1.9707(-0.0407)<-2.02%>
ヒーティングオイル:2.2989(-0.0411)<-1.76%>
天然ガス:2.888(-0.051)<-1.74%>
19日のNY原油相場は3日続落。大量供給と需要減少への懸念が、FRBの利下げによる消費拡大予想を上回ったことが背景にある。
原油供給が引き続き堅調であり、石油輸出国機構(OPEC)が減産幅を縮小しているもよう。また、ロシアに対する制裁が原油輸出に影響を与えていないという。
FRBは17日に政策金利を0.25%引き下げ、米国の雇用市場軟化に対応するため、さらなる利下げが続くことを示唆した。
しかし、FRBが今後0.25%の利下げを実施しても、ドル安が一段と加速し、原油価格が上昇する公算は小さいとの見方がある。
シティグループのアナリストは19日、ブレント原油の価格が年末までに1バレル=60ドルまで下落するとの予想を示した。
この見通しは、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成する「OPECプラス」の増産や中国の備蓄が背景にある。
シティは、2026年4月から12月までの平均価格を62ドルと予測した。
シティは、OPECプラスの8カ国が10月に自主減産分の日量160万バレルを増産すると発表したことを受け、世界の石油需給見通しを修正した。
これにより、世界の石油在庫は2025年に日量110万バレル、2026年には同210万バレル積み上がり、供給がさらに緩むと予想している。
世界の石油在庫は、2026年末までに109億バレルとなり、今後の需要の103日分に相当する水準になると指摘した。
シティは、30%の確率で、世界的な需要減少や非OPEC産油国の供給増加、OPECプラス加盟国の減産順守率低下などを背景に、ブレント価格が60ドルを下回り、50ドルまで落ち込む可能性があるとの弱気シナリオも示した。
一方で、地政学的混乱が強まった場合は、10%の確率で価格が75ドルを超えるとの強気シナリオも提示した。
大型原油タンカー(VLCC)の海上輸送運賃が、2022年11月以来の高水準に急騰している。
年初来で150%近く上昇しており、中東からの原油輸出増加やアジア向け原油供給の増加によるタンカーの需給逼迫が背景にある。
中東から中国に向かうVLCCのスポット運賃指数は108に達し、最低でも660万ドル(約9億7600万円)に相当すると試算されている。
中東からの輸出増加: 調査会社ケプラーのデータによれば、9月の中東の原油輸出は2023年4月以来初めて日量1800万バレルを上回る見通し。
アジアの旺盛な需要は、中東産より割安な大西洋周辺国からの供給も引き寄せているという。
インドの製油業者は米国産原油の購入を増やし、中国の独立系製油業者もブラジル産や西アフリカ産の購入を拡大している。
タンカー仲介企業セントーサ・シップブローカーズによると、価格差を利用した米メキシコ湾岸産原油の東アジア向け輸送が増加し、この非常に長い航路がタンカーの需給を逼迫させているもよう。
米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが19日に公表した、同日までの1週間の米国内の石油掘削リグ稼働数は、前週比2基増の418基だった。
一方、天然ガス掘削リグの稼働数は前週から変わらずの118基だった。
NY天然ガス相場は3日続落し、8月27日以来の安値をつけた。
下落の背景には、十分な量のガスが貯蔵されていることと、来週は穏やかな天候が続き、需要が当初予想を下回るとの見通しがある。
週間では約2%下落し、先週の約4%下落に続く軟調な動きとなった。
【エネルギーのトレード戦略の考え方】
原油相場は続落し、20日線の63.51ドルを割り込んでおり、再び地合いが悪化している。再び重要なポイントである62ドルまでの調整になる可能性がある。
もっとも、前回の調整場面ではこの水準を大きく下回ることなく反発した。下値の限界が見えているともいえるため、安値を売り込むには注意が必要であろう。
天然ガス相場は続落した。このまま2.837ドルに位置する超長期トレンドを割り込むと直近安値を試す可能性が高まる。
目先の動きは次の展開を見極めるうえで重要であろう。
【農産物市場の市況解説】
コーン:424(+0.25)<+0.06%>
大豆:1025.5(-12)<-1.16%>
小麦:522.5(-1.75)<-0.33%>
大豆ミール:284(-0.7)<-0.25%>
大豆油:50.62(-0.51)<-1%>
ココア:7243(+10)<+0.14%>
綿花:66.29(-0.61)<-0.91%>
コーヒー:366.5(-14.35)<-3.77%>
砂糖:16.14(+0.04)<+0.25%>
19日のシカゴコーン相場は、3日ぶりに小幅反発した。
ショートカバーやスプレッド取引が、軟調な大豆相場の影響を打ち消し、価格を支えた。
米中西部では収穫作業が進んでおり、米農務省は、異例の高温が作物の成熟を早めていると指摘した。
トレーダーたちは、病害や夏季の乾燥が収穫量に与える影響を見極めるため、初期のイールド報告に注目している。
これらの要因により、米農務省は来月の収穫量見通しを下方修正する可能性がある。
米農務省は同日、仕向け地不明向けに米コーン20万6460トンの民間輸出があったことを確認した。
一方、S&Pグローバル・コモディティー・インサイツは、来年の米農家によるトウモロコシ作付面積が前年比4.3%減の9450万エーカーになると予測した。
シカゴ大豆相場は3日続落。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行った際、大豆輸出に関する具体的な言及がなかったことが、相場が上昇から下落に転じるきっかけとなった。
世界最大の大豆輸入国である中国は、現在、米国産大豆を契約しておらず、主に中南米産を調達している。
なお、電話会談では、TikTokの米国事業売却問題で進展が確認され、1カ月後に韓国で会談することでも合意した。
米国内で収穫が拡大していることも相場の重石となった。米農務省は、今週の異例の高温が作物の成熟を早めていると指摘した。
S&Pグローバル・コモディティー・インサイツは、来年の米農家による大豆作付け面積が8400万エーカー(前年比3.6%増)になると予測しており、これも相場に売り圧力を加える要因となった。
シカゴ小麦相場は3日続落。潤沢な供給と支援材料の少なさが相場を圧迫した。豪州を含む世界全体で小麦の収穫見通しが改善していることが、価格下落の要因となった。
NYコーヒーは反落。ディーラー筋によると、ブラジルの収穫改善見通しを受けて、ファンドが保有していたロングポジションを解消したことが重石となった。
NY砂糖は4日ぶりに反発。供給は引き続き潤沢で、ブラジルの製糖所はサトウキビをバイオエタノールではなく、砂糖生産に可能な限り多く使用しているもよう。
【農産物市場のトレード戦略の考え方】
今週のシカゴ市場のコーンと大豆の先物相場は、上値の重い展開が予想される。米国では収穫期が始まり、供給の緩みが意識されて売り圧力が強まっている。
米農務省によると、9月14日時点では米国11州でコーンの収穫が始まり、全体の7%が進捗した。
大豆も11州で5%の収穫が完了した。例年、収穫期には手元資金を得たい農家からの売り注文が増えるため、相場は軟調になりやすい。
いわゆる「ハーベストプレッシャー」がかかる可能性があるといえる。
大豆はブラジルの国家食糧供給公社は、2025〜26年度の大豆収穫高が過去最高の1億7767万トンに達すると予想している。
ブラジルからの輸出量も5%増えると見込まれており、世界の穀物市場における供給過剰感が強まっている。
米中関係については、19日にトランプ米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行ったが、中国による米産大豆の輸入再開に向けた進展は見られなかった。
これらが上値を抑える可能性がある点に注意が必要であろう。
取引については、十分にリスクを考慮の上、検討してください。
なお、投資判断はご自身の責任で行ってください。

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