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【2026年1月20日】江守哲のコモディティコメント

こんにちは、江守哲です。

【貴金属市場の市況解説】
19日の貴金属市場では、トランプ米大統領が「グリーンランド購入」を巡り欧州8カ国へ追加関税を課すと表明したことで地政学リスクが激化し、金と銀がそろって過去最高値を更新した金は一時1オンス=4689.39ドルまで急騰し、未踏の4700ドル目前まで迫った。銀も追随して一時94.61ドルを記録し、年初来32%超の上昇率を背景に「ホワイトメタル」としての存在感を強めている。

価格急騰の背景には、2月1日から発動予定の対欧州10%関税(合意なき場合は6月1日に25%へ引き上げ)という具体的かつ過激な通商圧力を受け、投資家がドルや株式を避け、信用リスクのない「究極の安全資産」へ一斉に資金を逃避させた事実がある。デンマークを含むNATO加盟国への関税は同盟関係の根幹を揺るがす事態であり、市場では「TACO(トランプ・グリーンランド・関税)トレード」と呼ばれる極端なリスクオフの動きが加速している。

【貴金属のトレード戦略の考え方】
2026年の貴金属投資は、従来のインフレ対策を超え、米欧貿易戦争という「予測不能な政治リスク」に対する保険としての重要性がかつてないほど高まっている。

トランプ政権の関税政策はドル安を誘発しやすく、ドル建て金価格には強力な追い風となる。4700ドルという高値圏にあるものの、2月の関税発動に向けたニュースフローでさらなる上値追いが予想されるため、利益確定は限定的に留め、ポートフォリオの10〜15%程度を金で維持する「守りの姿勢」を崩すべきではないだろう。むしろ、調整局面があれば、4500ドル台を目安に押し目買いを入れる好機となると考える。

銀は金よりもボラティリティが高く、今回のようにリスクオンからリスクオフへ急転する局面では上昇率で金を圧倒する。年初来で30%超の勢いがある現在は、トレンドフォローが有効である。ただし、景気後退懸念が強まり工業用需要の鈍化が意識されると急落するリスクもあるため、トレーディング目的では急落に常に備え、90ドルを下回らない範囲で利益を追求したいところである。

金銀比価(ゴールド・シルバー・レシオ)にも注目しておきたい。現在、銀のパフォーマンスが金を上回り、金銀比価が急低下(50倍近辺まで改善)している。歴史的な平均値と比較して銀が「割安」から「適正」に戻りつつある現状、銀から金への部分的な利益移動を検討する時期に入っている。過去平均は70倍であり、金価格が適正であるとすれば、現在の銀価格の水準は相当に割高になっている。

そのため、銀の急騰で膨らんだ利益を、より安定性の高い金へ移し替えることで、来るべき報復関税の応酬による市場の混乱に備えるのが賢明な防衛策となろう。とにかく、無理のない範囲で行うことが肝要である。

【非鉄市場の市況解説】
19日のロンドン金属取引所(LME)の銅相場は、2日の続落を経て反発した。上昇の主因は、トランプ米大統領が「グリーンランド購入」を巡る交渉の停滞を理由に、欧州8カ国への追加関税導入を表明したことでドルが急落し、ドル建てで取引されるコモディティ全般に割安感が生じたことにある。加えて、金属消費の4割以上を占める中国の12月鉱工業生産が5.2%増と市場予想を上回り、需要減退懸念が和らいだことも買いを誘った。

供給面では、最大生産国チリが生産予測を下方修正したほか、ペルーの11月生産量が11%減少するなど、構造的な供給不足が改めて意識された。これにより、14日に記録した過去最高値(1万3407ドル)からの調整局面は一服し、中長期的な強気トレンドが維持される形となった。

2025年の中国のアルミニウム生産量は前年比2.4%増の4502万トンとなり、政府が供給過剰抑制のために長年設定してきた年間生産能力の上限である「4500万トン」にほぼ到達した。2024年の伸び率4.6%から大幅に鈍化した事実は、中国のアルミ産業が構造的な成長の限界を迎えたことを示している。

12月単月では前年同月比3.0%増の387万トンを記録したが、環境規制や炭素排出規制の強化に加え、エネルギー消費制限が精錬コストを押し上げており、シティのアナリストは今後の生産拡大は極めて困難で「割に合わない投資」になりつつあると分析している。この供給制限が意識されたことで、2025年のアルミ価格はロンドン金属取引所(LME)で17%超、上海で14%超と非鉄金属の中でも突出した上昇を見せた。

【非鉄金属のトレード戦略の考え方】
2026年の銅市場は、鉱山の老朽化による供給制約と、AIデータセンターやEV、送電網更新に伴う爆発的な需要拡大が衝突する「スーパーサイクル」の渦中にある。そのため、この需給ギャップを収益化することを考えたい。

現在の1万3000ドル近辺は歴史的な高値圏だが、チリやペルーでの操業トラブル、および中国の製錬能力制限(4500万トン上限)を考慮すると、年内に1万5000ドルを目指すシナリオが現実味を帯びている。ドル安局面や短期的な利益確定売りで1万2500ドル付近まで調整した場面は、絶好の長期エントリーポイントとなりそうである。AIインフラ向けに銅の使用量が従来の10倍必要とされる「構造的変化」を前提に、一時的な変動を無視してポジションを維持する戦略が推奨される。

「銅採掘メジャー」および「リサイクル関連」への分散投資も一考である。先物価格の変動リスクを抑えつつ利益を享受するため、フリーポート・マクモランやアントファガスタといった、低コストで優良な銅鉱山を保有する上流企業への投資が極めて有効であろう。また、新規鉱山の開発には10年以上の歳月を要するため、供給不足を補う「スクラップ回収・リサイクル」に強みを持つ企業も、銅価格上昇を直接的なマージン拡大に繋げられる「隠れた本命」として考えられる。

一方、アルミについても要注目である。世界最大の生産国である中国の増産余地が消滅したことは、世界のアルミ需給が恒常的なタイト化に向かうことを意味する。太陽光パネルや電気自動車(EV)向けといった「グリーン需要」が拡大し続ける一方で供給が伸びないため、価格の調整局面は絶好の買い場となる。LME価格がテクニカルな押し目を作った際には、長期保有を前提とした買いポジションを構築し、需給ギャップによるさらなるプレミアムの上乗せを狙うのが合理的である。

【エネルギー市場の市況解説】
16日のNY原油相場は、供給過剰感というファンダメンタルズの弱さと、イラン情勢に端を発する地政学的リスクが激しく交錯する中で反発した。市場を動かしたのは、米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」打撃群が中東へ向けて移動を開始したとの報道である。トランプ政権がイラン指導部への軍事的圧力を強める姿勢を示したことで、ホルムズ海峡の封鎖といった最悪のシナリオが再意識され、原油価格に「地政学リスクプレミアム」が上乗せされる形となった。

しかし、この反発はあくまで限定的なものに留まっている。前日には、トランプ大統領がイラン国内の抗議デモに伴う殺害行為の沈静化に言及し、直接的な軍事介入への懸念が和らいだことで価格が4%超も急落していた。さらに、2026年通年では日量約400万バレルという過去最大級の供給過剰が予測されている。国際エネルギー機関(IEA)などの弱気な需給予測が上値を重くしており、週明け19日が「キング牧師生誕記念日」で休場となることを踏まえたポジション調整の域を出ていない。

カザフスタンから黒海のロシア港へ石油を運ぶカスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)経由の輸出は、2025年12月に前月比24%急減し、日量約102万バレル(月間398万トン)に落ち込んだ。この急減は、11月29日に発生したウクライナによるドローン攻撃(水上ドローンを含む)でノボロシスク近郊の積み出し施設(SPM-2)が損傷したことに加え、12月末の嵐による操業停止が重なったことが主因である。

2025年通年の輸出量は、主要油田の増産を背景に前年比12%増の7050万トンと過去最高を記録したが、年末のインフラ被害により、足元の1月上旬のカザフスタン国内の原油生産量は12月平均からさらに35%も急落する事態に陥っている。シェブロン主導のテンギズ油田では生産が半減し、カシャガン油田やカラチャガナク油田でも大幅減産を余儀なくされており、エネルギー省は輸出ルートを中国やバクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)パイプラインへ振り替えるなどの対応を急いでいる。

NY天然ガス相場は反落。この3週間での累積下落率は29%に達し、9月以来の3週連続安を記録している。下落の要因は多岐にわたり、日次生産量の小幅な増加や潤沢な貯蔵量に加え、来週の暖房需要見通しが下方修正されたことで需給の緩みが一段と意識された。

こうした弱気な市況の裏で、三菱商事が米シェール大手エーソン・エナジー・マネジメントの生産・インフラ資産を約75億3000万ドルで取得すると発表し、北米におけるエネルギー基盤の争奪戦が激化している実態も浮き彫りになった。

【エネルギーのトレード戦略の考え方】
地政学的な「一過性の急騰」と需給バランスの「構造的な弱気」が混在する現在の原油市場では、単一の方向性に賭けるのではなく、ボラティリティを前提とした柔軟なポジショニングが求められる。空母派遣などのヘッドラインによる急騰は、物理的な供給途絶が伴わない限り、数日以内に収束する傾向が強い。

WTI原油が60ドルから62ドルのレジスタンスレベルに接近した場面では、ショートポジションを構築し、地政学リスクが剥落する過程での値下がりを狙うのが合理的である。供給過剰という長期トレンドを背景に、戻り売りを基本戦略に据えるべきである。

実際にイランが報復措置に踏み切った場合、原油価格は一時的に80ドル台へ暴騰するリスクを孕んでいる。この「ブラック・スワン」への備えとして、原油先物の売りポジションを持つ投資家は、並行してエクソンモービルやシェブロンといった石油メジャー株や、安全資産としての金を保有すべきであろう。これにより、原油安による利益を追求しつつ、突発的な供給ショックによる損失を相殺できる。

WTI原油が55ドル付近まで下落した局面では、米国のシェール業者の採算ラインを下回ることから、生産抑制による価格の下支えが期待できる。55ドルを明確なサポートとして意識し、この水準での反発を狙った小ロットのロングを仕掛けることで、レンジ相場の下限での収益化を図ることができそうである。ただし、何が起きるかわからなのが相場である。安易な逆張りは避けるのが賢明である。

記録的な下落トレンドにある天然ガス市場において、投資家は目先の需給緩和と中長期的な資産価値の乖離を突く戦略を構築すべきである。テクニカル面では310セントの節目を割り込む勢いであり、300セント(3ドル)の大台に向けた下押し圧力が強い。需要見通しのさらなる悪化を背景とした順張りのショートが有効である一方、直近の下落率が3割に近いことから自律反発の可能性も高まっている。売られすぎの局面では、深追いをせず利益を確定すべきだろう。

例年であれば冬期の暖房需要で価格が跳ね上がる時期だが、2026年は暖冬予報がその法則を打ち消している。気象予測という不確実な要素に賭ける「暖房需要狙い」の買いは避け、天然ガス安がプラスに働く化学セクターや電力株をヘッジとして保有することで、エネルギー価格の下落をポートフォリオ全体の収益安定化に繋げるべきである。

【農産物市場の市況解説】
16日のシカゴ穀物市場は、値ごろ感からの現物買いや旺盛な国内需要を背景に、主要3品目がそろって反発した。

コーンは上昇。週初に米農務省が市場予想を上回る生産・在庫見通しを示したことで週間では4.7%安と昨年7月以来の大幅な下落を記録したが、週末にかけて合計110万トンを超える大型の民間輸出成約が相次いで確認されたことが買い戻しを誘った。

大豆も続伸。12月の米大豆圧砕高が月間として過去2番目の高水準を記録したことによる国内加工需要の強さが改めて材料視された。

小麦も反発。世界的な供給過剰感の中でも新たな輸出需要の兆しが報じられたことで、投機筋のショートカバーが加速した。週明け19日が祝日で休場となるのを前に、全般的にポジション調整の買いが相場を支えた。

15日のソフトコモディティ市場は、主要3品目で強弱が分かれる展開となった。

NYココアは反発。下落の要因として懸念されていた需要面について、アジアの第4四半期のカカオ豆圧砕量が前年同期比4.82%減、北米が0.35%増に留まったものの、これらは事前の市場予想(アジア12%減など)に比べて底堅い内容だった。このため「需要の弱さは既に価格に織り込み済み」との見方が広がり、ショートカバー(買い戻し)が相場を押し上げた。

NYコーヒーは反落。ブラジルなど主要産地での降雨による豊作期待に加え、前日までの上昇を受けた利益確定の売りが優勢となった。

NY砂糖は反発。依然として世界的な供給過剰見通しが根強いものの、投機筋が積み上げてきた巨額の売り持ちポジションに対し、供給状況のわずかな変化を警戒した買い戻しが一斉に誘発された。

【農産物市場のトレード戦略の考え方】
週明けの米国市場休場と足元の需給緩和を前提に、機動力を活かした「イベント跨ぎ」と「リバウンド狙い」の戦略を構築すべきである。

コーンは、週間の大幅下落を経て420セント付近での底打ち感が強まっている。米農務省が確認した大型成約を「価格の下限を支える材料」と捉え、420セント前半での打診買い(ロング)が有効になりそうである。ただし、米農務省の在庫増予測という構造的な重石があるため、435セント付近の抵抗線では速やかに利益を確定する短期回転売買を徹底すべきである。

大豆は、強固な「圧砕需要」を背景とした順張り戦略 に切り替える必要がありそうである。NOPAのデータが示す通り、米国内の圧砕需要は極めて堅調であり、1050セントの支持線は強固である。コーンや小麦の反発による相乗効果を狙い、1060セント超えの局面でトレンドに追随する買いを入れることになりそうである。南米の増産リスクを考慮し、限定的なリスクで上昇益を狙うのが合理的である。

小麦は、ショートスクイーズ(踏み上げ)を突く短期決戦になりそうである。小麦は依然として供給過剰だが、投機筋の売り持ち高が積み上がっているため、輸出需要のニュース一つで急騰しやすい「火薬庫」のような状態にある。520セントの抵抗線をブレイクした瞬間に買いで乗り、強制的な買い戻しによるオーバーシュート(行き過ぎた上昇)を短時間で利益化する戦略が有効だろう。

ソフトコモディティは気象条件や需要指標によりボラティリティが非常に高くなる傾向がある。CFDのレバレッジと「売り」から入れる特性を活かしたいところである。

ココアは、需要の最悪期脱出が示唆された現在、短期的には下げすぎた反動による自律反発が想定される。現在は下落トレンドだが、反発の可能性も念頭に置いておく。西アフリカの天候が良好であれば上値は限定的となるため、ロングはまだ慎重に見極めるべきだろう。

コーヒーは、ブラジル・レアルの動きに敏感に反応しやすい地合いにある。レアル安局面ではブラジル産コーヒーの輸出競争力が高まり価格下落要因となる。レアル安が進行する場面では、コーヒーをショート、逆に産地での降雨予報が外れ供給懸念が生じた場面でロングに転じる機動的なスイングトレードが有効であろう。

砂糖は、投機筋の売り持ち(ショートポジション)が積み上がっている現状では、15セントの大台を明確に上抜けると、強制的な買い戻しによる急騰(ショートスクイーズ)が発生しやすい。15.10セント付近を超えると、ロングサイドを考えることになろう。そうなれば、急騰の初動に乗ることで、短期間で大きな収益獲得を狙うことができそうである。準備しておきたい。

なお、取引の際には十分にリスクを考慮の上、検討してください。
なお、投資判断はご自身の責任で行ってください。

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