【2026年3月3日】江守哲のコモディティコメント
こんにちは、江守哲です。
【貴金属市場の市況解説】
金:5326.82(+49.53)<+0.94%>
銀:89.916(-3.9)<-4.16%>
プラチナ:2306.418(-58.33)<-2.47%>
パラジウム:1777.835(-8.22)<-0.46%>
2日の金相場は、米国とイスラエルによるイラン攻撃と
ハメネイ師殺害を受けた地政学リスクの激化により、
安全資産としての買いが優勢となり続伸した。
一時5400ドル台まで急騰する場面も見られた。
戦線がレバノンの親イラン組織にまで拡大し、
ホルムズ海峡の事実上の封鎖によって原油供給不安が高まる中、
不確実性へのヘッジとして金需要が活発化した。
しかし、米製造業景況指数の価格指数が約3年半ぶりの高水準となる70.5に達し、
インフレ懸念から米10年債利回りが4%を突破してドル高が進行すると、
金利を生まずドル建てで割高となる金には利益確定の売りが出て上げ幅を縮小した。
銀相場も金の上昇や工業用需要への思惑から堅調に推移したが、
金同様にドル高と金利上昇が上値を抑える展開となった。
【貴金属のトレード戦略の考え方】
金は、地政学リスクの泥沼化を背景とした
「有事の金」としての需要が下値を支えるため、
5200ドル台への押し目では積極的に買いを入れるスタンスを維持すべきである。
インフレ再燃による実質金利の上昇が重石となるリスクを考慮し、
一括投資ではなく時間分散を図りながら、
ポートフォリオの30%超を不測の事態への保険として
配分し続けるのが合理的である。
銀については、金以上のボラティリティを活かした
短期的な順張り戦略が有効である。
金価格の上昇に遅れて反応する特性を利用し、
金が新高値を追う局面で銀の追随買いを検討しつつ、
工業用需要が景気後退懸念で冷え込むリスクに備え、
利益が出た段階でこまめに確定させる機動的な運用を徹底すべきである。
ただし、金銀比価の70倍を基準とし、割高な時に買わないことも重要である。
【非鉄市場の市況解説】
アルミ:3185(+43.5)<+1.38%>
銅:13084.5(-211.5)<-1.59%>
ニッケル:17205(-490)<-2.77%>
亜鉛:3307.5(-0.5)<-0.02%>
鉛:1961(+1)<+0.05%>
COMEX銅:5.948(-0.1115)<-1.84%>
<LME在庫(前日比)>
アルミ:463550トン(-2000トン)
銅:257675トン(+3975トン)
ニッケル:287976トン(±0トン)
亜鉛:96775トン(-575トン)
鉛:286100トン(±0トン)
2日のロンドン金属取引所(LME)では、
米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、
中東地域での紛争長期化が供給網を寸断するとの懸念からアルミ相場が急騰し、
一時1トン=3254ドルと約1カ月超ぶりの高値を記録した。
中東は世界のアルミ生産能力の約9%を占める重要拠点であり、
特に最大生産国であるUAEからの輸出は実質的に
ホルムズ海峡を経由せざるを得ないため、
海軍力の衝突による海上輸送の混乱が価格を
1.5%押し上げる直接の要因となった。
この供給不安を反映し、
現物価格と3カ月物の価格差(スプレッド)も急速に縮小したが、
一方で銅相場は世界的な経済成長の鈍化懸念を嫌気して
1.4%安の1万3124ドルに沈むなど、非鉄金属間でも明暗が分かれた。
投資家は原油価格の急騰が招くスタグフレーションのリスクを警戒し始めており、
供給途絶の恐怖と需要減退の懸念が交錯する極めて不安定な市場環境となっている。
【非鉄金属のトレード戦略の考え方】
銅は、景気後退に伴う工業需要の減退リスクが供給不安を上回るため、
1万3000ドル台を維持できるかを見極める「戻り売り」スタンスを基本とすべきである。
中国の景気刺激策が具体化しない限り上値を追わず、
世界的な製造業指数の悪化を前提にポートフォリオの露出を縮小するのが合理的である。
アルミは、地政学リスクが価格に強く反映される局面にあるため、
ホルムズ海峡の封鎖状況に応じた短期的な「順張り買い」が有効である。
供給ルートの寸断が継続する間は3200ドル付近での押し目買いを継続しつつ、
紛争収束の兆しが見えた際の急落に備えて
逆指値による利益確定ラインを厳格に設定し、
ボラティリティの波を機動的に捉えるのが賢明である。
【エネルギー市場の市況解説】
WTI原油:71.23(+4.21)<+6.28%>
ブレント原油:77.68(+5.2)<+7.17%>
RBOBガソリン:2.3706(+0.2927)<+14.09%>
ヒーティングオイル:2.9004(+0.2295)<+8.59%>
天然ガス:2.96(+0.101)<+3.53%>
2日のNY原油相場は、
中東情勢の劇的な悪化に伴う供給途絶懸念から大幅に続伸し、
約8カ月半ぶりの高値を記録した。
米国とイスラエルによるイラン攻撃で
最高指導者ハメネイ師の死亡が確認され、
戦線が湾岸諸国の米軍施設にまで拡大したことで
戦闘の長期化が現実味を帯びている。
特に要衝ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥ったほか、
サウジアラムコの石油施設やカタールの
LNG施設が攻撃を受けて操業停止に追い込まれたことが、
エネルギー供給不安を決定的なものとした。
トランプ米大統領が目標達成までの作戦継続を明言する中、
OPECプラスの有志8カ国は日量20万6000バレルの
増産合意で市場の沈静化を図ったが、
地政学リスクに伴う買いの勢いを止めるには至らなかった。
イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は、
ホルムズ海峡を封鎖したと発表した。イランメディアが2日、伝えた。
米国とイスラエルによるイラン攻撃の長期化に伴い、
原油価格が1バレル=100ドル台に到達すれば、
世界の株式相場は本格的な調整局面入りを余儀なくされるとの懸念が
金融市場で急速に強まっている。
原油価格は2022年のウクライナ侵攻以降100ドルを下回る水準で推移してきたが、
足元のニューヨーク原油先物相場は
一時12%急騰して75ドル台を付けるなど、
地政学リスクを敏感に反映し始めている。
キャピタル・エコノミクスは供給網に深刻な打撃が及ぶ
極端なシナリオにおいて価格が90ドルから100ドルへ上昇すると警鐘を鳴らし、
欧州金融大手INGは100ドル超えが1週間以上持続すれば、
安全資産とされる米国債への資金逃避が加速し、
エネルギー輸入国である日本や欧州の通貨、
すなわち円とユーロに対して持続的な売り圧力が加わると分析している。
直近の市場では燃料コスト増を嫌気して
航空・旅行関連株が下落する一方で、
石油・防衛関連株が上昇する二極化が鮮明となっており、
投資家は攻撃の長期化がエネルギー供給の根幹を揺るがし、
世界経済を「高油価・株安・通貨安」の三重苦に陥れる可能性を
極めて厳しく注視している。
NY天然ガス相場は、液化天然ガス(LNG)の輸出が過去最高水準を維持する中、
米国とイスラエルによるイラン攻撃が引き起こした供給混乱への懸念から続伸した。
米本土48州の3月平均ガス生産量が日量1091億立方フィートと前月から微減し、
LNG輸出プラントへのガス流入量も日量186億立方フィートと堅調に推移する中、
カタールが紛争の影響でLNG生産を停止したことが決定的な材料となり、
欧州指標のオランダTTFは1年ぶりの高値となる約15ドルまで急騰した。
ただし、米国国内における今後2週間の穏やかな天候予報や
暖房需要の緩和見通しが意識されたことで、
相場の上値は一定程度抑制された。
【エネルギーのトレード戦略の考え方】
WTI原油は、当面は地政学リスクプレミアムを織り込む
「買い(ロング)」主体のスタンスを維持すべきである。
ホルムズ海峡の封鎖継続を前提に、
直近の抵抗線であった72ドルを突破した後の80ドルを目指す
上昇トレンドへの追随を基本とし、
価格急騰時のボラティリティに対応できるよう
ポジションサイズを厳格に管理する必要がある。
一方で、OPECプラスの増産開始や米国の戦略備蓄放出といった
供給側の対抗措置が発表されるたびに一時的な急落が予想されるため、
70ドルの節目を支持線とした押し目買いを徹底しつつ、
停戦の兆しや地政学的な緊張緩和の報道が出た際には速やかに利益を確定し、
ショート(売り)への切り替え準備を整えるのが合理的である。
天然ガスは、中東情勢の緊迫化による
欧州向けの代替需要急増を背景とした
「強気(ロング)」スタンスを基本としつつも、
季節的な需要減退リスクを考慮した短期決戦に徹すべきである。
カタールの供給停止が長期化する可能性を念頭に、
米国内の在庫水準よりも欧州TTF価格との
裁定取引(アービトラージ)に伴う輸出ドライブを重視し、
3ドル後半を狙う局面で利益を確定させるようにしたい。
一方で、米国内の暖房シーズン終了に伴う季節的な需給緩和は不可避であるため、
地政学リスクの沈静化や米国内の増産動向に細心の注意を払い、
価格が2.80ドルを割り込むような局面では速やかにポジションを解消し、
深追いを避ける機動的なリスク管理が不可欠である。
【農産物市場の市況解説】
コーン:445.25(-3.25)<-0.72%>
大豆:1161.75(-9)<-0.77%>
小麦:576.25(-15.25)<-2.58%>
大豆ミール:312.5(-8)<-2.5%>
大豆油:62.68(+0.83)<+1.34%>
ココア:3021(+133)<+4.61%>
綿花:64.59(-1.02)<-1.55%>
コーヒー:284.6(+3.85)<+1.37%>
砂糖:13.91(+0.02)<+0.14%>
2日のシカゴ穀物市場は、
中東情勢の緊迫化に伴う不透明感や南米の需給動向を背景に、
主要3品目がいずれも反落して取引を終えた。
コーンはブラジルの生産見通し下方修正という強気材料があったものの、
小麦の下落に引きずられる形で4営業日ぶりに値を下げた。
大豆は中国による米国産大豆の追加購入に対する
疑念が再燃したことに加え、
ハメネイ師殺害を巡る米中関係の悪化懸念が重石となり、
ブラジルの収穫遅延や生産下方修正といった下支え要因を打ち消して下落した。
小麦は、中東紛争を受けたショートカバーが一巡したことに加え、
米国の冬小麦産地の天候改善や農家からの売り圧力により、大幅に反発分を削る展開となった。
ソフトコモディティは、
中東での軍事衝突がエネルギー価格を押し上げていることを背景に、
インフレ再燃や代替燃料へのシフトを警戒した買いが優勢となり、
全面高の展開となった。
NYココアは、
これまでの大幅な下落に対する自律反発に加え、
地政学リスクを背景としたテクニカルな買い戻しが入り、急騰した。
NYコーヒーも、
中東紛争による海上輸送の混乱(ホルムズ海峡封鎖)が
供給網に与える影響を嫌気し、上昇した。
NY砂糖も、
原油価格の急騰を受けてブラジルの製糖工場が収益性の高い
エタノール生産へ原料を振り向けるとの観測が浮上し上昇した。
【農産物市場のトレード戦略の考え方】
コーンは、ブラジルの生産減という供給不安が下値を支えるため、
440セント近辺での押し目買いを基本としつつ、
エネルギー価格高騰によるバイオ燃料需要の増減を注視して
レンジ内での機動的な利益確定を優先すべきである。
大豆は、対中貿易摩擦のリスクが再浮上していることから、
1150セントから1180セントのボラティリティを想定し、
中国の具体的な成約発表がない限りは上値を追わず、
南米の収穫進展に合わせた戻り売りスタンスを維持するのが合理的である。
小麦は、世界的な供給余剰感と米国の作柄改善が長期的な重石となるため、
地政学リスクによる突発的な急騰局面では徹底して売り上がり、
560セント台への調整を待つ慎重なポジション構築が賢明である。
NYココアのは、
市場が供給過剰から「有事の価格維持」へと意識を移しつつあるため、
3000ドルの節目を支持線とした短期的な「押し目買い」が有効になりつつある。
西アフリカの良好な天候による生産増という弱気材料を念頭に置きつつも、
コモディティ市況全体のインフレ圧力による底上げを狙い、
3200ドル付近での利益確定を繰り返すことも検討したい。
NYコーヒーは、
ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば物流コストの上昇が
価格に転嫁されるため、強気(ロング)スタンスを維持すべきである。
在庫水準が低い中での供給不安を材料に、
直近の抵抗線である300セントを目指す上昇トレンドに乗りつつ、
実質金利の上昇による上値抑制を警戒して
ストップロスをタイトに設定すべきである。
NY砂糖は、
原油価格との相関が極めて高まっているため、
原油が75ドルを超える局面での「追随買い」が合理的である。
インドの生産減という好材料も重なっていることから、
14セント台での固めを確認しつつ、
エネルギー価格が一段高となった際の
リバウンドを確実に捉えるのが賢明である。

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