
「投資の学校」浅野 敏郎
From 自宅のトレードルームより
生兵法は大けがの元
中途半端な知識、経験、技術で、
うぬぼれた挑戦をすると、大けがをするぞ!
という意味になりますが、
相場取引に例えれば、
インターネットやムック本に羅列されているような、
小手先の取引手法を鵜呑みにして取引すると、
そのうち大金を失うぞ!
といったところでしょうか。
ちなみに「兵法」は「びょうほう」と読むのが
正しいのだそうです。
初心者の方々が特に陥りやすい問題は、
簡単なチャート分析の売買シグナルで、
本当に取引をしてしまうことです。
確かに、過去のチャートに沿って
もっともらしい説明を見聞きすれば、
「ほんまや~!」
ってことになるわけですが…。
そんな単純なことで収益にできるのなら
誰も損を出すことは無いですね。
今日は、アメリカ大統領選の開票から
その後に至る荒かった値動きを例に、
生兵法で大けがをする可能性があったことを
指摘したいと思います。
おはようございます。
今週も金曜日がやって参りました。
次期アメリカ大統領が決まった後も、
ドル高の流れが止まりません。
高値警戒感が出始めている匂いは漂うものの、
経済指標などで強い結果が出るたびに、
警戒感は打ち消され、上値を切り上げる展開です。
ここから買いで参入するのは
しんどい話になりそうですが、
皆さんは、もう既にこの流れに乗れていて、
利食いのチャンスを狙っている状況であることを
願っています。
取引会社の解説目的
あなたは、その分析方法の情報を
どこから学びましたか??
誰が書いたかもわからないブログや、
いかがわしい会社サイトの解説ならまだしも、
大手の証券会社やFX会社の
チャート解説ならまともなハズだ、
と思っていませんか?
実はこうした取引会社にとっても、
投資家に取引してもらえなければ、
収益にならないのが本音ですから、
詳しく説明した結果、
「なんだか複雑だなあ…」
と思われて取引を敬遠されてしまうよりも、
簡単な記述によって、
「自分にもできそう!」
と思ってもらった方がマシ、
となってしまう傾向は避けられないでしょう。
※すべてがこの通りだという意味ではありません。
移動平均線の売買シグナル
チャートによっては、
最初から表示されている移動平均線は、
チャート分析の基本になっていますが、
ゴールデンクロス(GC)
デッドクロス(DC)
という売買シグナルは余りに有名です。
そこで、
日本時間11月9日のドル円相場を例に、
こうした売買シグナルが、
あとから見ればどのように見え、
当日の乱高下ではどのように見えたのか
簡単に比較してみましょう。
ただし、移動平均線に関する見方や考え方は、
人それぞれであって、
この比較が当てはまらない場合があることを
先に申し上げておきます。
これは、5日と20日の移動平均線を表示させた
11月16日16:00頃時点のドル円チャートです。
大統領選開票から6日が経過したのですが、
以降の上昇は、現時点でも非常に強いですね。
2本の移動平均線を良く見ると、
開票日の9日にはしっかりとGCになっています。
理論的には、10日の始値である
105.67で買うことになりますが、
今回は、ここからでも十分な上昇を見せており、
本当に買っていれば、
既に4円以上の収益が上がっている状況です。
しかし実際問題として、
前日9日の大暴落で101円台を見た翌日の寄付きで、
しかも底値から4円も高い105.67を、
躊躇なく買えるかといえば、非常に疑問です。
ところが、
その後も更に4円以上も上昇するようなチャートを
後から見れば、
「それでも買わないと、その後の値幅も取れない」
などと、強気な発言はいくらでも言えますね。
恐らく、もう少し経てばそんな話も
本当に出てくると予想しておきましょう。
一方で、9日当日の相場はどんな展開だったか。
当日の5日移動平均線は、
既に決まっている過去4日分の終値と、
9日当日の現在値で平均を出します。
したがって、当日の価格が上下すると、
当日の5日移動平均線も値動きに合わせて動き、
終値が決まった瞬間にその値で固定されます。
下の表は、過去4日間の終値と、
9日の4本値時点の5日移動平均値を示します。
表
9日始値105.16での5日移動平均は104.17となり、
20日移動平均104.16と概ね同値です。
ということは、
20日移動平均値を仮に動かないとすれば、
9日の相場が105.16以下で推移する限り、
ひとつ前のデッドクロスが継続され、
下落するほどに
ロウソク足は強烈な陰線になっていくといった、
下の図のような推移を見せるわけですね。
このような状況の中で、
移動平均線の単純な売買シグナルだけでは、
売る根拠はあっても、
105.17以下の価格を買うこと自体、
あり得ない話になります。
ということは、
デッドクロスは売り
という生兵法だけでは、
結果的にけがをする(損失を出す)
可能性が十分あったことになります。
しかし、もしあなたが、
移動平均線や相場の見方について、
もう少し深い理解があったとしたら…
自信をもって
10日の始値を買っていけたかもしれませんし、
もっと下の、
102円台や103円台を買えていた可能性も
決して否定はできません。
なぜなら冷静に考えれば、
そもそも移動平均値は平均価格である以上、
その価格から余りに逸脱した相場は
売られ過ぎや買われ過ぎの状態にある
と言えます。
つまり、
安値101.19での5日移動平均値が103.38と、
2円以上離れていたことを考えると、
・明らかに売られ過ぎていた状態であり
・下落に対して平均値の反応が鈍い
ことから、
小額であれば、底値から反転し始めたどこかで
買いを入れてみるという行動も
十分可能だったと思います。
浅野敏郎
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