あっという間の没落
From 矢口新
自宅のトレーディングルームより……
おはようございます。
矢口新です。
ノーベル医学・生理学賞を本庶佑氏が
受賞されたということで、大変うれしく思っています。
世界で活躍する日本人が増えるのはやはりうれしいですが、
一方で、「この国は大丈夫???」と思うことがあるのも事実です。
今日は、そんな話をしてみたいと思います。
まずはギリシャの話から
最近、日経新聞でこんな記事を読みました。
2010年にギリシアがEUの金融支援を受け始めたのを覚えている方も
いらっしゃるかもしれませんが、それに関連した記事です。
元英語教師のラニア・リゴプールさんの話
ギリシア危機前は数学教師のご主人と旅行やバカンスを楽しんでいたラニアさん。
普段の買い物でも、値段をさほど気にしないなど、
「中間層の上の方」の暮らしを楽しんでいたそうですが、ギリシア危機の影響で失業してしまいました。
ご主人の所得も半分になり、世帯年収は1/4にまで激減したそうです。
しかも10年前に購入した自宅の価格は1/3になったとか。
冬場の暖房もつけず、お金のかかる趣味もしていないそうですが、
それでも「子供たちの世代に比べれば恵まれている」と語っているそうです。
ダンス講師のクリスティナさんの場合
若い人も大変です。
アテネでダンス講師とウエートレスの二足の草鞋を履くクリスティナさんは、
「すり減っているが、どうすることもできない」と言っています。
彼女の収入は、最低賃金の月額586ユーロ(約7.7万円)以下です。
もちろん、金融危機まっただなかのときよりはいいですが、
依然としてEU加盟国で最悪の水準であることは違いありません。
クリスティナさんの友人の半数も失業中です。
なんでこんなことが起こったのか?
どうして、この2人のようなことが起こったのか、
少し解説しておきましょう。
EUからの金融支援を受け入れるのと引き換えに、
ギリシアは年金カットや増税という財政緊縮策を行ってきました。
そのため、投資や消費も落ち込んだことから
「戦争を除く平和の時代で最大の景気後退の一つ」(チャカロトス財務相)をもたらしたのです。
GDPも危機前に比べて、約3/4にまで後退しました。
先ほどのラニアさんのように、ユーロ導入後の好景気を経験した世代は没落し、
クリスティナさんのように、危機の待っただなかで大人になった人たちは、自活すらままなりません。
一方、若い医師や看護師、エリート層を中心に、国内をはるかに上回る待遇や機会を求め、イギリスやドイツへ移り住んでいます。
数字で見てみましょう
このことは、様々な統計値にも表れています。
EU統計局によると、ギリシャの2017年のGDPは、
1万7,400ユーロとチェコやポルトガルと同水準にまで低下しました。
2008年には2万2,600ユーロとスペインに次ぐ水準だったにもかかわらず、です。
また、「貧困危機率」という数値もあります。
これは、可処分所得の中央値の6割以下で暮らす人口の割合のことを
言いますが、ギリシアの場合、2017年には34.8%にまで達しました。
EU加盟国では、ブルガリア、ルーマニアに次ぐ水準です。
「ギリシアのことだし」と片付けられない
ギリシアの没落ぶりが相当なものだというのは、お分かりいただけたと思います。
しかし、私が本当に言いたいのは、そういうことではありません。
日本にいる私たちにも、「あっという間の没落」は起こりうるのです。
もちろん、私の周囲にも(程度の差こそあれ)同じようなことはありました。
「すり減っているが、どうすることもできない」と耐えるしかなかったのも事実です。
ギリシアの没落は、EUに経済政策を渡したことが発端で起こりました。
しかし、日本だって、上に任せて、マイナス金利政策を敷きと国債の半分近くを保有しているのが現状です。
ここで、国際機関から借金をすれば、従属関係が固定化してしまいます。
「ギリシアのことだし」ではありません。
明日は我が身なのです。
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矢口先生は世界中の金融機関で、
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ギリシャのにのまえになるだろうことは、容易に予測できます。なんとかしなくては、と投資の勉強を初めて見たものの貴重な資金がなくなってしまいました。元々のお金が少ない上に焦りから妙な投資に引っかかる。そんな簡単に儲かることはないと頭ではわかっているのですが、子どもに申し訳ないとの気持ちでいっぱいです。オプションを学んで、一発逆転できるかしら・・・杞憂に終わればいいけれどそうはいかないでしょう。ほんとに怖いです。資金が少ない私でも大化けさせる方法はあるでしょうか?頭隠して、嵐が過ぎ去るのを何十年もまつしかないのでしょうか?憂鬱です。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、
日本も道を間違えば、
ギリシアのようになることは十分に想定できます。
憂鬱になるのも無理はありません。
しかし、「一発逆転」というのも、
私はあまりお勧めできません。
資金が少ないからこそ、
コツコツ積み上げていくのも重要だと考えています。
焦れば焦るほどうまくいかなくなるのも事実なので、一歩一歩、着実に歩んでいきましょう。