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大規模災害後で実際にあった市場の噂を教訓に

「投資の学校」浅野敏郎
From 新宿オフィスの撮影スタジオより

 
懸念されていた先週末の台風19号は
事前から警戒されていたように、
甚大な被害を広範囲にわたってもたらし、
現実の事となったのは残念です。

被災された方々には
心よりお見舞い申し上げます。

 
こんな状況の中で、
不謹慎なテーマになってしまう懸念はありますが、
過去の経験を少しでも紹介したいと考え、
簡単に触れてみたいと思いますが・・・その前に、

 
世帯主の皆さんが、
家屋に掛けている火災損害保険は、
水害保険もカバーしている可能性が高い、
ということをご存知でしたか?

台風による河川氾濫被害や土砂災害は
程度にも拠りますが概ね対象になるようです。

水害保険部分を意識的に外して、
契約されているケースもあるようですが、

少し古いデータではあるものの、
某保険サイトの情報によりますと、
今回被災された各都道府県における
水害保険のカバー率は
概ね70%という心強い数字も見えています。

当該PDF資料はこちら
※出典:損害保険料率算出機構

被災された方は是非、ご契約先の保険会社に
詳細を問い合わせてみることをお薦めいたします。

——————————————-

おはようございます。
今週も早や金曜日がやって参りました。

それにしても、台風19号の被害は想定以上でした。
特別警報が広範囲に発令され、
「命を守る行動」が盛んに叫ばれましたが、

避難に対する具体的な誘導は
どこまで徹底されていたのでしょうか。

テレビやラジオのような全国ネットで
細かい誘導までを行なうには、
限界がある一方で、
その代わりになるメディアのイメージは
持ちにくいのが現状です。

確かに携帯電話には、
朝から警報を知らせるメッセージが届きましたが、
実際に最寄の避難場所の受入れ体制が
整っているのかどうかなど、
行ってみないと分からない状況は
避難にも腰が重くなって当然という気もします。

今一度、
危機対策を再確認しておきたいと思います。

——————————————–

さて株式市場では、
台風被害からの再建需要を見込んだ銘柄が
買われている側面もあるようですが、

阪神淡路大震災の際に、
同様な考えで日経平均を買い込んだ
今は無き「ベアリング・ブラザーズ」の
シンガポール拠点は、
その後の株価暴落で大損失を計上し、
233年の歴史を終えることになりました。

また、東日本大震災でも、
同様な思惑が一時的にささやかれ、
暴落後の市場は急速に反発しましたが、
結局その後約1年間は、
幾度か下値を試す展開もあるなど、
そう簡単に日経平均は回復しませんでした。

 
当時と大きな違いとして、
現在の市場には過剰な流動性が出回っており、
下値を拾うには十分な資金があることに加え、
ETFを通じて、日銀が株を買い支えている状況は、
株式市場の底値を支える要因であることは確かです。

ただ純粋に復興需要と、
遺失して暫くは停滞する被災地域の経済とを
比較した場合、
需要の方が上回るかどうかは疑問であり、
日本経済全体としては、
五分五分と考えていたほうが無難な気もします。

保険の保険って??

次に、為替の側面から考えてみます。

被災した都道府県の家屋に掛けられていた
損害保険から支払われる保険金額の総額は、
こちらも恐らく膨大な額になるでしょう。

日本の保険会社から国内に支払われる通貨は
当然日本円ですから、
そこに為替は存在しないようにも見えます。

 
しかし、殆どの保険会社はそのリスクヘッジに
再保険の仕組みを使っていて、
突発的に発生しかねない
多額の保険金支払いに備えて、
世界中の保険会社はある意味でお互いに
補完し合っているのが実情です。

ですからもし今回の災害で、日本の保険会社が
この仕組みを使わざるを得ないことになった場合、
日本の保険会社が受け取る再保険の保険金は
外貨になる可能性が高く、
その外貨を日本の被災者に支払う円貨に替える、
円転が発生します。

これは明らかに円高要因となり、
過去の歴史における、
災害後の株価下落の一要因は
こうした円転需要による円高だった、
という説もあるくらいです。

 
真偽の程は誰にも判りませんが、
災害からしばらく時間が経過した頃に
同じような円高話が出てくる可能性は、
十分あり得ることを
予めお伝えしておきたい、と思いました。

 
 
浅野敏郎

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