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チョコレートが高い理由

こんばんは、矢口新です。

バレンタインデーが近づいてきているが、
今年はチョコレート価格の高騰で各店のパティシエたちは
カカオ含有量の少ない製品を提供しているという。

チョコレートに限らず、様々な理由での生産量の減少や、円安などで、
食料品価格は高騰している。

消費支出総額に占める食費の割合を示すエンゲル係数は、
2024年には30.4%と統計上の過去最高を記録した。

23年は40年ぶりとなる26%だったので
食料品価格の高騰による家計への圧迫は急激に強まっている。

直近のデータである11月の小売業販売額は前年比2.8%増で、
10月の修正値1.3%増から加速した。

うち、スーパー既存店売上高は前年比3.5%増で、
2カ月ぶりのプラス。売上高の7割を占める食料品は5%増で、
農産品が全体の売り上げを押し上げた。

一方、11月の消費支出は前年比0.4%減の29万5518円で、
前年比でのマイナスは4カ月連続だった。

それでもマイナス幅は縮小しているが、
20~39歳の若年層がクレジットカードでの消費を急拡大させているためで、
データを見る限り円安やインフレの恩恵を受けているのは企業収益だけなのだ。

仮に、円安が収まってもチョコレート価格の値下がりは期待できそうにない。世界全体の60%超を供給してきた伝統的なカカオ生産国である西アフリカのコートジボワールとガーナの生産量が急激に落ち込んでいるからだ。

理由は近代化による森林面積の減少、世界的な温暖化に伴う天候不順、違法な金採掘業者による農地の有毒汚染、過去2年間にカカオ豆の病気カカオ・スウォーレン・シュート・ウイルスが急拡大したことに加え、政府の失政にあると言う。

政府の失政とは、政府がカカオ豆に固定価格を支払うという制度で、本来はカカオ農家を世界市場の激しい価格変動から守るためのものだったが、農家が価格上昇の恩恵を受けられないようにしてしまったのだ。

コートジボワールとガーナの政府は、次のシーズンのカカオ豆を先物で売ることで、農家が受け取る価格を設定している。ニューヨーク市場のカカオ先物は2024年、178%高と急騰。12月には1トン1万2565ドルの過去最高値を付けたが、カカオ農家は政府に安いままの価格で売らねばならない。そこに天候不順とウイルスの拡大で生産量と収入が激減したため、廃業が相次いだのだ。

この制度では来年のカカオ農家は価格高騰を反映した固定価格で売れることを意味するが、既に廃業してしまい売るカカオがない農家が急増しているのだ。

市場の原理では、価格の高騰は新規参入などを促し、価格が下落するまで生産力の拡大が続く。しかし、森林面積の減少や温暖化、採掘業者らによる農地の有毒汚染は西アフリカに限ったことではない。

バレンタインデーが過ぎ、仮に円安になっても、チョコレート価格の値下がりは、少なくとも相当期間、期待できそうにないと言えるのだ。

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