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【2025年2月10日】江守哲のコモディティコメント

こんにちは、江守哲です。

7日の金相場は上昇した。米中貿易摩擦の激化を背景に、安全資産への需要が高まり、6週続伸した。
一時史上最高値の2886.62ドルを記録。週間ベースでは2%超の上昇となった。
金市場の焦点は依然としてトランプ米大統領の関税政策に関する不確実性とみられている。
トランプ大統領は中国に追加関税を課す一方、メキシコとカナダからの輸入品には関税発動を1カ月延期した。

市場では、中国人民銀行の金保有量増加や、保険基金の金投資を可能にした中国の新制度が金相場を支えているとの指摘がある。

ロンドン貴金属市場協会(LBMA)は1月の英国の金保有量が前月比1.7%減の8535トン(7716億ドル相当)となったと発表した。
減少の背景には米国での需要急増がある。ロンドンは世界最大級の金取引市場であり、LBMAが取引を監視している。
1月の1日当たり金平均直接取引量は1278億5000万ドルに達し、流出にもかかわらず堅調な推移を示した。
金保有量は2024年、8540〜8775トンで推移していた。

米国の金先物市場では、トランプ大統領による関税導入が金供給に影響を与えるとの懸念から、異常に高いプレミアム価格で取引が続いている。
この影響でCOMEX市場には大量の金が集中し、昨年11月下旬以降の保有量は507トン増加した。
LBMAは「ロンドンからニューヨークへの金引き出しが進む中、1月の在庫減少は市場環境を反映しており意外ではない」と指摘。
ニューヨークに送られた金現物は、将来的にロンドンに戻る可能性が高いとの見方を示した。

銀市場も同様の動きが見られ、LBMAによれば銀保有量は12月から8.6%減少し、2万3,28トン(239億ドル相当)となった。
月間減少率ではLBMA史上最高となった。

金相場は高値圏を維持しているが、やや上値が重くなっている。
このまま上昇基調が続くのか、あるいはいったん調整するのか、冷静に見極める。
すでに短期的には買われすぎになっている。上値が重くなると手仕舞い売りが出やすい地合いにあることは理解しておく。
もっとも、下げれば買いが入ってくるだろう。今後も上下動しながら、気づいたら大きな上昇になっていたということになるのだろう。
いまは歴史的な動きにある。このことを十分に理解しておく必要がある。

7日のロンドン金属取引所(LME)の銅相場は上昇した。
金属消費大国である中国の旧正月休暇が終了し、貿易摩擦への懸念が和らいだことが背景となり、3カ月ぶりの高値を記録した。
週間では昨年9月以来の上げ幅となる見込み。一時的に昨年11月8日以来の高値となる9507ドルを記録した。
週間ベースでは4.1%高だった。上海先物取引所(SHFE)の銅先物も1.5%高となった。

米国は、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%関税の発動を延期したが、中国に対しては10%の追加関税を課した。
中国はこれに報復し、米国からの輸入品に最大15%の関税を課すと発表したが、交渉の余地も残している。
市場は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席との電話会談を待っている。
大統領報道官は、両者が早ければ今週にも話すだろうと述べていた。

LME銅は、米国の関税に関連するリスクを織り込む動きがあり、COMEX銅はLME銅を1トン当たり659ドル上回った。

SHFEが発表したデータによると、SHFE指定倉庫の銅在庫は1月24日の前回発表から季節要因により81.5%急増し、ほぼ5カ月ぶりの高水準となった。
中国の輸入需要を示す銅プレミアムは、1月20日に記録した1年ぶりの高値76ドルから下落し、直近では1トン当たり68ドルとなっている。

今週の銅相場は、米中両国の関税政策の動向に注目が集まる中、慎重な取引が見込まれている。
米国では物価指標の発表が相次ぐため、低調な結果が続けば、ドル高を背景に上値の重い展開となる可能性がある。
先週の銅相場は、先週の米国の関税政策を織り込んだ下落の反動で安値拾いの買いが優勢だった。
トランプ米政権がカナダとメキシコからの輸入品に対する25%の追加関税発効を延期したことから、投資家の貿易戦争に対する懸念が緩和し、買いを後押しした。

中国は10日に米国からの一部輸入品に対し最大15%の報復関税を発動する予定である。
米中両国の通商協議の行方が市場の焦点となり、関係者の発言内容に反応する相場展開が予想される。
また、9日に発表された中国の物価指数の上昇は、今後の金属需要見通しを占ううえでポジティブな材料と見られる可能性もある。
今週は12日に1月の米消費者物価指数(CPI)、13日に1月の卸売物価指数(PPI)、14日に1月の輸出入物価の発表がある。これらの結果が相場に影響を与える影響を見極めたい。

7日の原油相場反発。米国がイランの原油輸出に対する制裁を強化したことが相場を支える要因となった。
ただし、トランプ米大統領による米中貿易戦争の再燃や他国に対する関税の脅しが懸念され、週間では原油相場は下落した。

米財務省は6日、年間数百万バレルに上るイラン産原油を中国に輸送することを支援する個人やタンカーに対して新たな制裁を発表。
関税賦課や一時停止は不透明感を高めるため、原油相場の上昇につながるはずだが、需要への懸念があるため、この反応は見受けられない。
関税と報復措置は世界のGDPや原油需要に打撃を与える可能性がある。

米エネルギーサービス会社ベーカー・ヒューズが7日までの週間データを発表。
国内の石油・天然ガス掘削リグ稼働数は2024年7月以来初めて2週連続で増加した。
リグ稼働数は前週比4基増の586基。一方、前年同期比では37基(6%)減となっている。
石油リグは週間で1基増の480基、天然ガスリグは2基増の100基だった。

米最大の油田であるパーミアン盆地の原油生産量について、エネルギー業界の幹部らは6日、今年の生産増加が少なくとも25%鈍化すると予想した。
これはトランプ米大統領が生産量最大化を宣言したにもかかわらずの見通しとなる。

7日のNY天然ガス相場は反落し、約3%下落した。
生産の増加や来週の需要見通しが従来予想を下回ったことが影響した。前日には、2日連続で1月29日以来の高値を更新していた。

原油相場はかろうじて反発している。売られすぎになっていることから、買い戻しが入っている可能性がある。節目の70ドルが視野に入っているが、まずは反発力を確認することになろう。
100日線の71.38ドルを超えるかが目先のポイントになろう。OPECプラスの増産が世界の石油需給を緩和させる可能性がある。
米産油量は高止まりしているが、現行水準ではなかなか増えにくいだろう。それでも需要が増えない中では、石油需給の緩和状態は改善しない。上値は重くならざるを得ないだろう。

7日のコーンは反落した。米国の関税政策が貿易摩擦の激化に対する懸念を再び広げ、その影響で利益確定の売りが出たもよう。
ブローカーらは、5日に1年3カ月ぶりの高値をつけた後、週末を控えてリスクオフムードが広がったと指摘している。
トランプ米大統領は、7日に多くの国に対して相互関税を発表する計画があることを明らかにした。
これにより、穀物輸入国が米国産の輸出減少を引き起こす報復措置を取る可能性が懸念されている。

またトレーダーは、コーン輸出量世界第3位のアルゼンチンで天候が改善したことが穀物相場に圧力をかけたとみている。米農務省は11日に需給報告を発表する。

大豆は反落。干ばつに見舞われていたアルゼンチンの生産地帯で天候が改善したことが相場を圧迫した。
ロサリオ穀物取引所によると、アルゼンチンの作付けが終わった生産地帯の60%以上で今週中に雨が降り、大豆の生育に対する安心感が広がった。
また、気象会社マクサーによると、来週後半にはアルゼンチン中部で降水量が増加する見込み。
しかし、マクサーは、今週の雨で土壌中の水分が増えたものの、その影響は非常に狭い地域にとどまったとしている。

米国は国際市場において、世界最大の大豆ミールと大豆油輸出国であるアルゼンチンや、世界最大の大豆供給国であるブラジルと競争している。
農業調査会社サフラス・エ・メルカドは、2024〜2025年度のブラジル大豆生産高見通しを1億7488万トンとし、従来予想の1億7371万トンから上方修正した。
トレーダーは、貿易摩擦激化のリスクや、来週発表される予定の米需給報告の内容を注視している。

小麦は反落した。利益確定の売りが出た影響が大きい。
米国が打ち出す報復関税がさらに報復を招き、米国産穀物の需要に悪影響を及ぼす可能性が高まっており、これに伴う不確実性の増大から、トレーダーたちはリスクを減らそうとしているとされている。
トランプ米大統領は翌週、多くの国を対象とした報復関税を発表する予定だと述べた。

NYココアは4日続落。週間では約7%下げた。価格高騰による需要抑制懸念が相場を圧迫した。
加えて、主要生産国であるガーナの生産量が一部予想より多かったことも重石となった。
7日に公表されたロイターのトレーダーら11人を対象とした調査によると、ココアの価格は年末までに3分の1近く下落すると予想されている。
これは価格高騰が影響し、需要減少などが理由とされている。

NYコーヒーは続伸した。一時史上最高値となる413.95セントを一時付けた。週間では7.0%上昇し、前週の8.7%の上げに続いた。
ブラジルの高温乾燥が影響し、アラビカ種の収穫量は減少する見通しで、供給不足が続く見通し。投機筋はロングポジションを積み増しており、市場の価格高騰を支えている。

NY砂糖は続落した。週間では横ばいとなった。
1月のブラジルの砂糖輸出高は前年同月比で35%減少し、206万トンとなった。これは在庫の減少が影響しているとされている。

今週のコーン・大豆市場は、2月の米農務省需給報告とトランプ大統領の関税政策動向に注目が集まる。
トランプ氏の発言次第では貿易摩擦懸念が高まり、相場への圧迫が懸念される。

トランプ政権はカナダ、メキシコからの輸入品に対する25%の関税発動を直前で1カ月間延期したものの、依然として関税導入リスクが警戒されている。
関税強化の理由が移民問題、違法薬物、財政赤字縮小など多岐にわたり、1期目より対象が拡大しているため、発動意欲が高まっているとの見方がある。

中国には10%の追加関税を発動。中国も報復関税を課したが、米国産コーンや大豆は対象外となった。
市場では「中国の交渉意欲の表れ」との前向きな見方が広がる。近く予定されるトランプ氏と中国の習近平国家主席との会談が注視される。

トランプ氏は7日、相互関税の導入について今週発表予定と述べた。
対象国は明らかにされていないが、米産品への報復関税リスクからこの日のコーンや大豆相場は下落した。

11日発表の需給報告では南米産の生産動向も焦点となる。
ブラジル産大豆は降雨による収穫遅れが報じられているものの、なおも生産高が過去最高となる見通しが示されている。

なお、投資判断はご自身の責任で行ってください。

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