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【2025年8月18日】江守哲のコモディティコメント

こんにちは、江守哲です。

*価格は前週末、()は前日比変化(単位はそれぞれの銘柄ごと)、<>は前日比%変化

【貴金属市場の市況解説】
金:3334.985(-0.72)<-0.02%>
銀:37.99(±0)<±0%>
プラチナ:1335.495(-21.68)<-1.6%>
パラジウム:1112(-33.69)<-2.94%>

15日の金相場はほぼ横ばいで推移。週間では下落した。7月の米卸売物価指数(PPI)の上振れを背景とする米利下げ観測の後退が重石となった。週間では1.8%安。14日に発表された7月の米PPIは、約3年ぶりの大幅な伸びを記録した。これを受け、トレーダーはFRBが9月に0.25%の利下げを実施する確率を、PPI発表前の約95%から89.1%に下方修正した。この利下げ期待の後退が、金相場に下押し圧力をかけた。

【貴金属のトレード戦略の考え方】
金相場はやや上値が重くなっている。20日線の3352ドル、50日線の3348ドルで打たれており、100日線の3306ドルでサポートされるかがきわめて重要なポイントといえる。今週はジャクソンホール会議の開催も控えており、動きづらくなる可能性がある。パウエルFRB議長の発言次第では米金利が上昇し、金相場は圧迫される可能性もあろう。銀相場も徐々に上値が重くなっている。20日線の38.03ドルを割り込んでおり、50日線の37.32ドルを維持できるかを見極めることになりそうである。

【非鉄市場の市況解説】
アルミ:2603(-21)<-0.8%>
銅:9760(-17)<-0.17%>
ニッケル:15195(+145)<+0.96%>
亜鉛:2796.5(-46)<-1.62%>
鉛:1981(-9)<-0.45%>
COMEX銅:4.4925(+0.013)<+0.29%>

<LME在庫(前日比)>
アルミ:479550トン(-125トン)
銅:155800トン(-50トン)
ニッケル:211662トン(+522トン)
亜鉛:76325トン(-1125トン)
鉛:261100トン(-575トン)

15日のロンドン金属取引所(LME)の銅相場はほぼ横ばいとなった。中国の経済指標が低調だったことが重石となった一方、中国政府が追加の景気刺激策を打ち出すとの期待や、ドル安が下支えとなり、相殺された。COMEX銅先物は0.4%高の1ポンド=4.50ドルだった。COMEX銅のLME銅に対するプレミアムは1トン当たり137ドルだった。

中国が15日に発表した7月の鉱工業生産は8カ月ぶりの低水準に落ち込み、小売売上高も大幅に減速した。これらの指標が金属需要の低迷を示唆しており、価格の重荷となる可能性が高いとの指摘がある。中国の追加刺激策への期待: 低調な指標を受け、中国政府が需要を喚起する追加刺激策を打ち出すとの期待が高まり、価格を下支えした。 1週間の指標発表が終盤に差し掛かる中でドル指数が軟化し、FRBによる9月の利下げ観測が維持されたことも、銅価格の支援材料となった。

SHFEが15日に発表したデータによると、銅在庫は今週再び増加し、過去2週間で20%増の8万6361トンに拡大し、2カ月ぶりの高水準となった。

【非鉄金属のトレード戦略の考え方】
先週のロンドン金属取引所(LME)の銅相場は、目新しい材料に欠け、様子見姿勢となった。中国による追加刺激策への期待が浮上している一方、週末のジャクソンホール会議を控え、積極的な取引は手控えられている。先週は 12日に米中両国が関税適用停止措置の延長で合意したことで、銅相場は2週間ぶりの高値に上昇した。その後、米中貿易摩擦の先行き不透明感や、15日の中国経済指標の低調な結果を前に軟調に推移し、上げ幅を縮小した。

市場では、低調な経済指標を受けて中国政府が景気刺激策を打ち出すとの見方が浮上している。ただし、9700ドルを下回った場合には、100日線が位置する9600ドル付近の水準を再度試す可能性がある。しかし、6月以降この水準では中国勢の買いが入っているため、下落しても下支えされる可能性が高いだろう。非鉄市場でも、 21日からのジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演に注目が集まりそうである。

【エネルギー市場の市況解説】
WTI原油:62.8(-1.16)<-1.81%>
ブレント原油:65.85(-0.99)<-1.48%>
RBOBガソリン:2.0725(-0.0367)<-1.74%>
ヒーティングオイル:2.225(-0.0095)<-0.43%>
天然ガス:2.916(+0.075)<+2.64%>

15日のNY原油相場は反落した。トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の会談の行方に注目が集まる中、需給の緩みを意識した売りが優勢となった。WTI原油は週間で1.69%安となった。

米ロ首脳会談への期待: 15日にトランプ氏とプーチン氏が会談した。トランプ氏がウクライナ戦争の終結に向けた合意にプーチン氏が応じる準備ができているとの見方を示したことで、会談での進展があれば対ロシア制裁が緩和され、ロシア産原油の供給が拡大するとの期待が広がり、売りを誘った。

中国の7月の鉱工業生産は8カ月ぶりの低い伸びにとどまり、小売売上高も大幅に鈍化した。エネルギー消費大国である中国の景気減速に伴うエネルギー需要鈍化への警戒感も、売りを後押しした。

米石油大手シェブロンは、米政府の承認後初めて、ベネズエラから米国向けに石油タンカー2隻を出荷した。この動きは、トランプ米政権がベネズエラへの制裁政策を転換したことを示唆している。米財務省は7月下旬にシェブロンに新たなライセンスを付与し、制裁下のベネズエラでの操業と石油輸出を許可した。

ロンドン証券取引所グループ(LSEG)の統計と船舶監視データによると、シェブロンがチャーターしたタンカー2隻は15日に貨物を積み込み、米国の製油所に向けてベネズエラを出港した。情報筋によると、シェブロンは米製油大手バレロ・エナジーがベネズエラ産原油を扱えるよう、供給合意の再開に向けた交渉も行っている。

NY天然ガス相場は3日続伸した。液化天然ガス(LNG)輸出プラントへの流入量が過去最高に迫っていることと、8月末まで続く高温予報が相場を支え、約3%の上昇となった。週間では2.5%安となり、4月下旬以来、初めての4週連続下落を記録した。

米国の大規模LNG輸出プラント8基へのガスの流入量は、8月に入り162億立方フィートに増加した。これは過去最高だった4月の160億立方フィートを上回る水準。輸出需要の増加が相場を支えた。8月末まで例年より高い気温が続くとの予報も、冷房需要の増加を通じてガス消費を押し上げるとの見方から、価格上昇の要因となった。

【エネルギーのトレード戦略の考え方】
原油相場は反落した。引き続き上値の重い展開が続いている。100日線の64.80ドルが重石になっており、節目の62ドルを試す展開にある。生産コストなどを考慮すれば、これ以上の下落は想定しづらいところではあるが、相場は何が起きるかわからない。決め打ちせずに、トレンドを見ていくことが肝要であろう。天然ガス相場はそろそろ底打ちしそうな雰囲気である。2.81ドルを割り込む場面もあったが、ここからは反発し始めている。これで3.01ドルを超えると地合いが好転しそうである。

【農産物市場の市況解説】
コーン:405.25(+8)<+2.01%>
大豆:1042.5(+14)<+1.36%>
小麦:527(+2.5)<+0.48%>
大豆ミール:294.5(-0.5)<-0.17%>
大豆油:53.23(+1.1)<+2.11%>

ココア:8278(+7)<+0.08%>
綿花:67.54(-0.14)<-0.21%>
コーヒー:334.2(+15.5)<+4.86%>
砂糖:17.13(-0.15)<-0.87%>

5日のシカゴコーンは上昇した。週末と来週のクロップツアーを控えたショートカバーが入った。12日に米農務省が発表した需給報告で米国のコーン生産見通しが大幅に上方修正された後の下落分のほとんどを取り戻した。ファンドがポジションをショートに傾けているため、ショートカバーが入りやすい地合いとなっていた。また、最近の価格下落を受けて、輸出需要が改善した。

翌週にプロファーマー主催のクロップツアーが開催され、米中西部でのコーン生育状況が調査される。一部の市場参加者は、このツアーの結果次第では、需給報告での記録的な生産高見通しが過大評価だったことが示される可能性を警戒している。SNS上では、今夏のコーンの受粉に問題があるとの報告も散見されていた。

シカゴ大豆は反発した。週末と来週のクロップツアーを控えたショートカバーが入った。週間では5.6%上昇し、中心限月としては4月初旬以来最大の上げ幅を記録した。米農務省が週内に発表した需給報告で、米国の大豆生産高見通しが予想を下回ったことが、相場を下支えした。中国との通商問題: 米国の主要な大豆購入国である中国との通商問題が解決していないため、輸出需要が低迷し、大豆相場の上値を抑制した。

15日に全米油実加工業者協会(NOPA)が発表した7月の大豆圧砕高は、記録的な水準となり、相場を支える一因となった。翌週にかけて、プロファーマーが主催するクロップツアーで米中西部の生育・収穫状況が評価される。その結果が22日に発表されるため、市場参加者はこの調査結果に注目している。

シカゴ小麦は反発した。約定最安値の更新が相次いだ後で、週末を控えたショートカバーに押し上げられた。週間では1.6%安となり、4週連続の下落を記録した。中心限月としては2020年8月以来の安値水準に下落した。潤沢な世界の供給が、小麦相場の上値を抑えている。

穀物トレーダーは、ロシアとウクライナの停戦協議が行われる米ロ首脳会談に注目。両国は主要な穀物輸出国であり、その動向が相場に影響を与える可能性がある。

NYココアは小幅ながら3日ぶりに反発した。最近の相場上昇を受けてヘッジが増加する一方、短期の投機筋は週末を前に利益確定売りを出した。

NYコーヒーは3日続伸。取引所の認証在庫が72万袋と、1年ぶりの低水準に減少したことが相場を支えた。米国がブラジル産コーヒーに50%の関税を課したことで、米国の焙煎業者がブラジル以外の供給元を求めていることも、価格上昇の要因となった。ブラジル産は米国のコーヒー輸入の約3分の1を占めている。ブラジルのセラード・ミネイロ地域での降霜が、次期収穫への懸念を引き起こしているとの見方もある。

【農産物市場のトレード戦略の考え方】
今週のシカゴ市場のコーン相場は、上値の重い展開が続く見通しである。一方、大豆先物相場は供給逼迫観測が下支えとなる見込み。

米農務省が12日に発表した8月の農産物需給報告により、コーンの豊作見通しが一段と強まっている。 2025~26年度の米国産コーンの期末在庫は21億1700万ブッシェルと、前月の16億1600万ブッシェルから大幅に上方修正された。また単収予想は1エーカー当たり188.8ブッシェルと、前月の181.0ブッシェルから引き上げられ、市場予想も上回った。これらの記録的な豊作観測に加え、主産地である中西部での天候改善見通しも、投機的な売りを誘っている。

大豆は供給逼迫観測が相場を支えると予想されている。米国産大豆の期末在庫は、前月の3億1000万ブッシェルから2億9000万ブッシェルに下方修正された。単収予想は引き上げられたものの、生産高が引き下げられたことが強材料となっている。米中西部ウィスコンシン州での洪水も、相場を押し上げる要因となる可能性がある。

一方、小麦については、米国産冬小麦の収穫状況が良好なため、相場に下押し圧力がかかっている。反発力が試される状況にある。

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