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「力による平和」の時代に、失くしてはいけないもの

こんばんは、矢口新です。

米軍がベネズエラの首都を急襲し
マドゥロ大統領を拘束したことで、
トランプ大統領は独自の新たな世界秩序構想を
世界に示したと言われている。
同氏の発言によれば、
「一国の将来は、国家安全保障の中核を成す
通商、領土、資源を守る能力によって決まる」、
「これらは常に世界の力関係を規定してきた鉄則であり、
われわれはそれを維持していく」というもので、
端的には「力による平和」の達成だ。

私は以前、ロシアの正規軍がウクライナ侵攻を始めた2022年以降、
西欧諸国を始めとする世界各国が平和志向から一転して
軍備増強に走ったことを受け、コメントなどで、
世界は「戦国時代」に入ったのではないかと述べた。

それは日本の戦国時代がそうであったように、
各地での戦闘だけでなく、情報戦や謀略、調略、
扇動などが日常化するものだ。
そうした情報操作は、
しばしば他国に対してだけでなく、
自国政府に対しても不信感や憎悪を
かき立てるように仕向けられてきた。

侵攻当時、プーチン大統領は「狂人」と呼ばれたが、
それはそう呼ぶ人たちが同氏を異質として扱うことで、
ロシアが置かれた状況を理解しようとする
意欲を失ったことを示唆していた。
あるいは、断定的なラベル付けすることで、
中身を吟味させまいとする一種の情報操作だったのかも知れない。

プーチン氏は、武力支援などを除いては、
旧ソ連圏の外に攻め出たことは一度もない。
それに対し、NATOは旧ワルシャワ条約機構諸国、
旧ソ連諸国を次々と加盟させ、
同民族・同宗教・(基本的な)同言語である
ウクライナにも加盟を働きかけていた。
その意味では、ウクライナ戦争は、
ロシアにとっては世界戦略的な野心の表れというより、
国土防衛戦に近いものであったことが分かる。

仮に、「悪の」ロシアなど滅びてもいいではないかと
思っている人がいるとしたなら、
そうした人こそが、
「悪の」思想に染まっていると言えるのではないか? 
人間はどの国に生まれても人間だ。
相手の立場を理解しようとしないことは、
それだけで人間性の危機に陥っているとも言える。

一方、トランプ政権2期目はまだ1年にも満たないが、
既に、ソマリア、ナイジェリア、シリア、イラク、イラン、
そしてカリブ海など公海で米軍が攻撃を展開している。
トランプ氏のこうした好戦的な政治と、
ノーベル平和賞を望んでいたこととは、
「力による平和」という世界秩序構想で繋がっている。
日本の戦国時代に例えれば、
武力によって全国秩序の維持が達成される
「天下布武」に近いと言えるかも知れない。

同氏は、パナマ運河、デンマーク領グリーンランドを
米国管理下に置く意欲も明言している。
また、経済的に困窮しているキューバの大統領に
ルビオ米国務長官が就く案を「いい考えだ」と賛同、
キューバに「手遅れになる前に取引するよう強く勧める」と迫った。
コロンビアのペトロ大統領には「注意しろ」と警告。
加えて、カナダが米国の51番目の州になる可能性に言及したほか、
メキシコのシェインバウム大統領には「メキシコを統治していない。
麻薬カルテルがメキシコを支配している」と述べ、米軍の派遣を提案した。
イラン情勢への介入も示唆している。

こうした世界秩序構想は、世界平和を願うものではない。
トランプ氏の選挙戦当初からの構想はMAGA(米国第一主義)だ。
つまり、「力による平和」とは、
あくまでも米国の利益に叶うものでなくてはならない。
そのため、米国の利益にはならないとした
数多くの国際機関からの脱退も決めた。
国際法の遵守も、米国の利害に反するものは、
その限りにあらずとの立場だ。

これは1000人以上の少女を含む女性の被害者がいる
エプスタイン問題への関与も、
「大した問題ではない(not a big deal)」
としたものと同一線上にあるものだ。
人権も他国の主権も、MAGAの前ではすべて(not a big deal)なのだ。
そのため、米国内においても、
(特に民主党基盤の)全米各都市へ州兵を派遣し、
また、数百万人規模の移民を強制的に国外に追い出そうとしている。

ベネズエラのマドゥロ氏排斥は石油資源が目当て、
ウクライナ支援は鉱物資源へのアクセス、
グリーンランドは鉱物資源に加えて、北極海航路という要地。
パナマ運河も同様に、大西洋と太平洋を繋ぐ要地だ。

ガザのリビエラ構想も、米国の不動産デベロッパーたちが、
イスラエルのネタニヤフ首相と組んで、
何年も前から計画していた可能性すらゼロではないのだ。
人権も他国の主権も(not a big deal)なのだから。

ベネズエラに対しては、
米国の意向に従う限り同国政府に内政を任せるが、
逆らえばマドゥロ氏排斥以上の結果に繋がると公に脅すことで、
事実上の植民地支配を始めようとしている。

その意味では、他の産油国、資源国、
対中国の要地にある日本や台湾、韓国も、
友好関係でいるのは米国の意向に従う限りにおいてであって、
逆らえば事実上の植民地支配となってもおかしくない。

もっとも、沖縄や首都の制空権など、
日本は事実上の植民地と見なすことも可能だろう。
歴代の政権は米国追随と言われてきたが、
他の選択肢があったのかと聞かれれば、それは疑問だ。
それでも、米国だけでなく世界のほとんどの国々、
国際機関などは、本音と建前とを使い分け、建前を捨てることはなかった。
そんな中、トランプ政権は建前という縛りを捨て、
(not a big deal)と本音丸出しとなったのだ。

とはいえ、現状のそうした傾向はトランプ氏だけではない。
習近平氏も、プーチン氏も、ゼレンスキー氏も、
ネタニヤフ氏も、その他多く政権担当者たちも、
多かれ少なかれ本音丸出しの恐い政治家になっている。

私は、コロナが世界を変えたと見ている。
コロナ対策では、ほとんど全ての国々が長期的な視野を失い
「短期決戦」で挑んだ。
人々は命のはかなさを知り、
指導者たちへの信頼感を失った。
政府はその政策で赤字と債務を膨らませ、
インフレを誘発させたことで、政策の幅を失った。
最も大事な時期に長期的な視野をなくしたことで、
どの国も目先の対処だけに追われている。
目先の対処では、軍拡も原発も必要だ。コロナ対策と同じなのだ。

こうした「力による平和」時代に、
失くしてはいけないものは、人間性だ。
人間性を失えば、誰もがどこまでも残酷になれるような時代に生きている。
ガザは言うに及ばず、戦争は残酷なものなのに、
当たり前の時代となっているのだ。

この時代を生きる自分に人間としての
「判断の軸」を確立するためには、
「人間って素晴らしい」と感じられるものに触れることが必要だ。

トルコは親日国だと言われているが、
それは1890年に遭難したトルコの軍艦の遭難者たちを、
紀伊半島南端の漁師や村人たちが命懸けで救助したことがきっかけだ。

そこは私の地元に近いので、
高校生くらいになると行動範囲の南端になっていた。
当地には記念碑があるので史実なのは分かっていたが、
詳しいことは下記の映画で初めて知った。
また、後日譚のトルコからのお返しについては、
この映画を観るまで知らないことだった。

何があっても驚いてはいけない時代となった。
仮にどんなことが起きても、
やはり「人間って素晴らしい」と感じるために、
今、こうした映画を見ておくことも重要ではないかと思う。

参照:海難1890

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