原油価格高騰で、ビットコインが上昇するか
こんばんは、矢口新です。
米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、
原油価格が上昇している。
国際エネルギー機関は、
加盟国らが過去最大となる
計4億バレルの石油備蓄放出に
同意したと発表したが、
早期終戦への期待が薄れる中、
原油価格は再び1バレル100ドル超にまで上昇した。
ビットコイン(BTC)価格はこのところ
原油価格との相関性が高まっており、
株価や金価格が下落しているにも関わらず、
一時付けた6万ドルから20%ほど反発、
7万ドル台を回復した。
そんな中、イラン政府は世界に対し、
原油価格が200ドルに達することへの「覚悟」を求めた。
これはビットコインには好材料なのだろうか?
しかし、原油価格が200ドルに達すると、
世界経済は1970年代に2度経験した
「オイルショック」の再現を覚悟しなければならない。
そうして世界の経済が悪化すれば、
ビットコインなどリスク資産の価格上昇は期待しにくくなる。
また、原油高がインフレを誘発し、
米連銀が利下げに消極的になれば、
世界的な流動性の低下により、
リスク資産は下落しかねない。
今週には、FRB、豪州中銀、
カナダ中銀、ブラジル中銀、日銀、
スウェーデン中銀、スイス中銀、
BOE、ECBなどが政策金利を発表する。
日銀と豪州中銀、ブラジル中銀を除く各中銀は、
これまで利下げを続けてきたが、
原油高で利上げスタンスに転じても
不思議ではない情勢となってきた。
2022年のビットコイン下落の主因は、
インフレ抑制を狙う米連銀のよる積極的な利上げだった。
利上げにより世界的な投機熱が冷まされれば、
このところのビットコインと原油価格との
相関性は極めて一時的なものだったことになる。
ここで、ビットコインについて少し復習しておこう。
ビットコインなど仮想通貨の取引では、
送金が発生した際「トランザクション(取引内容)」が生成される。
トランザクションは検証された上で、
正当性が証明されると「ブロック」という
単位でまとめられ、
仮想通貨システム内に保存される。
各ブロックにはひとつ前のブロックの
情報が格納されている。
各ブロックは常にひとつ前の
ブロックの情報を持っているので、
すべてのブロックを見るとまるで
鎖のようにつながっている。
このようにブロックがチェーン状になって
データベースを構成しているのがブロックチェーンの仕組みだ。
この検証作業を「マイニング」と呼び、
一定数のマイニングをこなすと、
ブロックごとに報酬BTCが支給される。
マイニングはいわば「宝探し」のようなもので、
マイナー(採掘者)たちは、複雑な計算問題を解いて
「正解の数字」を最初に見つけ、
報酬BTCを得ようと競い合っている。
この計算を一回行うことを
「ハッシュ計算」と呼ぶ。
ビットコインのネットワーク全体で、
1秒間に何回計算が行われているかを
示す指標が「ハッシュレート」で、
ビットコインシステム全体の
「計算処理能力」を表している。
このレートが高いと、
世界中で多くの高性能コンピューターがフル稼働して、
猛烈なスピードで正解を探している状態。
逆に低いと、参加するマシンが減ったり、
マシンの性能が落ちたりして、
計算の勢いが弱まっている状態だ。
マイニングは、高性能コンピューターを使って
競争的に行われるので、
大量の電力を消費する。
マイニングによる世界的な電力消費量は、
2024年初めには154テラワットだったが、
2025年後半には200テラワットを超えてきていた。
つまり、大規模なマイニングにはAI用の
データセンター並みの設備と電気代、
水道代などがかかっている。
ここで、原油高によって電気代が上昇すると、
マイニングのコストが上昇する。
そこにビットコイン価格が下落すると、
報酬BTCが支給されても、
マイニングコストが賄えなくなってくる。
ハッシュレートが低下するのだ。
ハッシュレートはビットコインの
「健康診断の数値」のような役割を果たしている。
ハッシュレートが高いほど取引の承認が早くなる。
また、悪意のある攻撃者がネットワークを
乗っ取るために必要な計算量も増えるため、
改ざんが難しく、安全になる。
また、ハッシュレートが上がると、
マイナーが将来性に期待して設備投資を増やしていると見なされ、
価格上昇の先行指標ともされている。
逆もまた然りで、ハッシュレートが低いと
取引の承認がなかなか進まないため、
送金が完了するまでに数時間から数日かかるようにもなる。
そこで、早く送金したい人が高い手数料を払って
優先順位を上げようとするため、
ネットワーク全体の手数料が跳ね上がることになる。
セキュリティ上の不安も高まる。
AIデータセンター急増に加えた原油価格高騰は、
マイニングのハードルを上げることになり
ハッシュレートを押し下げる。
つまり、ビットコイン価格が原油価格と
連動しているのは極めて一時的で、
それどころか、イラン情勢次第では、
ビットコインは長期下落のトレンドに
入ってもおかしくはないのだ。

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