都市圏の住宅が高嶺の花になったのはどうして?
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こんにちは、矢口新です。
7月の首都圏新築マンション平均価格は
前年比64%高の1億6493万円と
過去最高を更新した。
東京23区に限れば約2倍の
2億6520万円に達した。
たった1年で、都市圏の住宅がますます高嶺の花となった。
世界的な住宅価格上昇の根っこには、
リーマン・ショック後に続く
コロナ対策での大量の資金供給がある。
つまり、通貨価値下落による相対的な物価上昇だ。
住宅価格はOECD加盟国全体で過去10年間、
人口150万人超の都市圏で68%上昇したとされる。
また、上昇率は都市の規模に比例する傾向があり、
OECD諸国では人口25万~150万人の
都市圏で+50%、10万~25万人の都市圏で+37%と、
大都市ほど価格上昇が大きい。
住宅市場が長らく低迷してきた日本でも、
ここ数年で状況が一変した。
マイナス金利と大量の資金供給で
インフレを目指した「異次元緩和」の効果が
出てきたわずかの期間で、
日本でも住宅を「持てる層」と「持てない層」に分けてしまったのだ。
手取り収入に占める住居費の比率は
東京23区で37~40%に達し、
健全とされる25~30%の目安を大きく超えた。
ニューヨーク(50~60%強)や
ロンドン(48~50%強)にはまだ及ばないものの、
その差は急速に縮まっている。
住宅価格高騰の犯人探しでは
「外国人富裕層による爆買い」が
槍玉に挙がりやすいが、
実態はやや異なるようだ。
明治大学・野澤千絵教授が
東京23区や大阪都心の
高級マンション709戸の登記簿を調査したところ、
法人による購入が全体の3割を超える物件もあり、
しかもその法人の多くは東京23区や
首都圏に拠点を置く国内法人だったという。
首都圏の法人だけで購入法人全体の約7割を占めていた
というデータは、「海外マネーの流入」という単純な図式だけでは
説明がつかないことを示している。
参照:高級マンションを買い漁るのは
外国人富裕層?→709戸調査で判明した「意外な買い手」の正体
https://diamond.jp/articles/-/396724
もっとも要因は単一ではなく、
1)建築資材や人件費の高騰による建設コスト上昇、
2)円安を背景にした海外マネーの流入、
3)国内法人を含む実需以外の「投資目的」需要の拡大、
4)良好な立地・学区といった希少性の高い物件への需要集中
などといった要素が複合的に絡み合っている。
こうして新築時に高値で分譲されたマンションを、
居住目的ではない法人や投資家が複数戸単位で取得し、
賃貸や資産保有の対象として保有する。
これにより市場に出回る「実需向け」の供給が細り、
次の新築物件はさらに強気の価格設定がされるという循環が生まれている。
住居費率の上昇によって最も打撃を受けるのは、
住宅ローンや家賃を毎月の手取りから
捻出する共働き世帯や子育て世代、
そしてこれから住まいを確保しようとする若年単身層だ。
世界的にも、負担に耐えかねた現役世代が
郊外や地方都市へ移住する動きが加速しており、
これは職住近接や都市機能の分散といった
都市政策全体にも波及する問題になりつつある。
リモートワークの浸透にはこうした側面もあるのだ。
交通の便が良く、良好な住環境や
人気の学区にある物件ほど、
居住目的以外の投機資金の受け皿になりやすく、
結果として「住むための住宅(実需)」と
「転売目的の物件(仮需)」という
二つの需要が同じ物件を奪い合うことになっている。
ここでの問題は実需には
資金面での制約があるのに対して、
仮需はより高値で売れる目論見があれば
どんな高値でも買ってくることだ。
東京23区の1年で約2倍もの値上げは、
仮需による押し上げを強く示唆している。
一方で、仮需は値上がりが止まり、
金利負担に耐え切れなくなると、
投げ売りに転じる可能性がある。
投げ売りで価格が急落するようなことがあると、
高値で買わされた実需も苦しむことになる。
また、投資目的の保有は別の問題も生んでいる。
空き部屋の増加や、管理組合の機能不全だ。
これは資産価値の高い物件ほど、
かえって住み難くなるという現象を生んでいる。

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