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急反転への対処1~過去の高値・安値を調べておく重要性

「投資の学校」浅野敏郎
From 自宅の書斎より

 
相場には起承転結があるとして、エントリーとイグジットは1対1対応が望ましいのではないかという立場で、数週間にわたって解説をしてきた経緯があります。

色々なテクニカル分析でも、エントリーとイグジットのタイミングは一大テーマになっていますが、どうしても現実から遅くなってしまいがちです。

調整なのか反転なのかは結局、なってみないとわからない側面が強く、たとえ値動きで判断するにしても、結論を出すまでに遅くなってしまいます。

ただ、イグジットのアイデアを持ち合わせていないというのは、ノーアイデアで売買をしているのと半分は同じ意味になってしまう側面があり、含み益が増えれば増えるほど反転が怖くなり、結局は決済が早過ぎてしまったという失敗にもつながります。

 
私自身、イグジットについてはトレード人生の永遠のテーマにもなっていますが、考え方の一つとして、ストップのコントロール精度を如何に高めるかが、一つの答えになっていると思います。

もちろん、新値を更新するような相場では、非常に限られた行動しかとれないものの、そうではない相場では、幾つかのヒントは得られています。

先週のテーマも、ある意味でその一部になりますが、いずれにしても、考え抜いたストップ水準が成立してしまうのであれば、それはそこが自分のイグジットだったと割り切り、次の出動に備えて準備を急ぐ方へ思考を切り替えた方が、幾分良い気が致します。

————————————————————

おはようございます。
今週も早や、金曜日がやって参りました。
そして7月最初のブログとなります。

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さて相場全体のコメントですが、
FXは底堅いドルインデックスに引っ張られ、概ねドル買い優勢で6月を終わりました。ということは米ドル金利でも上がっているのかと10年債利回りを確認しましたが、1.5%前後で揉み合っており、ならばと2年債利回りを見たところ、1bp程度上昇し0.25%前後で高止まっていました。

FXのドル高の理由をここに求めるのは早計とは思うものの、商品相場ではドル安、米株式相場も底堅くドル安という動きとは相反しており、どちらかが嘘をついている気がしてなりません。

確かにアメリカの消費関連指標は好調でテーパリング議論も見え始める中、ドル高株高というシナリオは無いとは言えませんが、だとすると、アメリカ以外の投資対象は、それほどまでに魅力がない状況だということになります。

今のところ、アメリカファーストの看板を下ろした途端にアメリカファーストが現実のものとなりつつあるのは実に皮肉で、イソップ童話の「太陽と風(で合っていますかね?」を、つい思い出してしまいました。もちろん、トランプ氏が北風なのは言うまでもないでしょう。

予め知り得るサポートやレジスタンスは把握すべき

皆さん、サポートやレジスタンスという言葉を聞いたとき、具体的には何を指すか、ご自身で結論は決まっていますか?

ラインという言葉を付けたすと、トレンドラインのことを意味しますから、直ぐさまトレンドラインを引き始めるかも知れません。

しかし、本来は上昇が止まった価格がレジスタンス、下落が止まった価格がサポートとするなら、過去の主な高値や安値を予め調べておくことは非常に有意義です。

短期トレードがメインの方々にとって、
「そんなことを調べていたら、チャートがサポートとレジスタンスで塗りつぶされてしまう!」
と考えてしまうのはやむをえません。

 
ただ、短期の高値安値は、その短い期間だけの話であり、相場が動けば直ちに解消される程度のものである一方で、少なくとも週足以上で確認できるような高値安値は、非常に意義があると考えます。

もちろん、短期でも効果がある場合もありますがその場合は恐らく、長い期間の高値安値と一致している場合が多いはずです。

つまり、言いたいのはこの部分で、長期足でも短期足でも、高値は高値、安値は安値で価格は同じなのですが、短期足ばかり見ているとそれが見えにくいという欠点があり、そこを補うためにも是非、長期足での高値や安値をチャートに書き込み、短期足でそれが見えてきた際は、「その水準では一旦、動きが鈍る…」程度の予測をしてほしいのです。

それが分っていれば、ヘッジをしておくなどの対処も可能で、一種のアラート的な把握でも構わないと思います。


このチャートはWTIの4時間足チャートです。
どう見ても安定した上昇相場で、ここ数日間は72ドルから74ドルで揉み合っています。
ここの高値を越えた場合、もう一段の上昇も期待できるように見え、この相場観に対してはこのチャートを見る限り100点満点の回答です。

最近、相場を始めた方やインジケーターだけに頼っている方にとって、そもそも過去を振り返る意義すら理解できないかも知れませんが、

たとえばこの月足を見る機会さえあれば、2018年10月の戻り高値が76.8ドル前後に差し掛かっており、余程のことがない限り一気に抜けるとは考えにくいと想定できると思います。


また、2008年7月の最高値147.2ドルを認識できれば、現在は既にその価格と最安値の半値の水準にあり、とっくにレジスタンスの影響を受けている可能性もある…程度の推測も可能だと思うのです。

対処方法として

普段、集中してWTIを見ていない自分が、対処を述べるのは気が引けますが、

例えば、60ドル以下で既にロングになっている場合であれば、67ドル割れ辺りにストッププロフィットを置きながら、直近高値越えを待ってみるのも一手かも知れない一方で、
ただ直近の上昇力だけを見てここから買いでエントリーするのは、長期的にみると無謀としか言えません。

 
確かに、史上安値以降の上昇は非常に力強いものがありますが、順当な捉え方としては、ここから先の直近高値までは売り戦略の方が妥当に見え、高値越えではドテンもあり得る相場位置に見えます。

ただし、2018年の高値を意識した同様な戦略は、既に織り込み済みの可能性は高く、高値を越えて走った後に逆に沈む込み、結局は長い上ヒゲを付けて終わるような、ストップ狩り的なアクションも想定しておく必要はあります。

つまりは、2018年の高値ブレークアウトを狙うのは、それはそれで正しい戦略なのですが、
そこまでの買い戦略は一旦封印し、ブレーク後のプライスアクションには十分注意して、新高値から直ぐに反落するような展開では、少なくともコストで一旦抜けるくらいの慎重さが必要な、非常に重要な局面にいる事だけは確かです。

 
もちろんWTIの短期戦略だと、ワントレードでどのくらいの収益を見込むかで、現状水準からの作戦は異なるかも知れませんが、もし本日お伝えしたような準備さえできていれば、実はどのような展開になっても、再起不能な損失だけは回避できるものと確信しており、

ここでは過去の重要な価格を知ることで、目先の相場だけでは見えないことがたくさんあるのだ、という事をご理解いただければ幸いです。

 
浅野敏郎

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