BLOG

投資に役立つ
伝えたいことが毎日ある。

  1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ
  4. 不都合な真実:核の脅威が現実的に

不都合な真実:核の脅威が現実的に

ロシアが核兵器の使用を示唆し、
同盟国であるベラルーシにも核兵器を提供した。

一方、
西側諸国はウクライナに劣化ウラン弾を提供した。

また、ウクライナ南部でロシア軍の制圧下にある
ザポロジエ原子力発電所が爆破されるとの懸念が高まっている。

ザポロジエ州はもともとロシア系住民が多い地域で、
ウクライナ侵攻直後からロシア軍が制圧、
昨秋にはロシア併合を宣言した東部4州の一つだ。

当然、自国領土として防衛しているのはロシア軍なので、
ロシアが攻撃するのは不自然なのだが、
ウクライナはロシアが放射能汚染によって領土奪回に向けたウクライナ軍の反攻を防ぎ、
同国の弱体化を図ろうとしているとする。

「彼らにとって現在重要なのは、
ダムの爆破のような予期できない様々なテロ行為や
局地的な爆発で我々の進軍を止めることだ」。

ウクライナのゼレンスキー大統領は7月1日の記者会見で、
ロシア軍が同原発に地雷を敷設して、施設の爆破準備を整えていると強調した。

また、ウクライナが奪還した後に、
遠隔で爆破する恐れがあるとも指摘した。

また、ウクライナ軍は4日、ロシア軍が占拠してきた同原発で「近い将来に挑発行為が準備される可能性がある」と警告した。爆破装置のようなものをロシアが設置したと主張し、「いかなる状況下でも行動する用意がある」と表明。監視を続けると強調した。

ロシアはウクライナの主張を否定している。ラブロフ外相は、ロシア軍が同原発を爆破しようとしているとの情報は「全くのウソだ」と強調した。ペスコフ大統領報道官は、「ウクライナ側による破壊工作の脅威が大きく、状況はかなり緊迫している」と記者団に述べた。

ウクライナ南部では先月、ザポリージャ原発に冷却水を供給している川の下流にあるカホフカ水力発電所のダムが決壊した。このときも、ゼレンスキー氏が「ロシアのテロリスト」による仕業だと非難したのに対し、ロシア当局は国営メディアでウクライナ軍による砲撃によるものだと主張して対立した。

この件に関しては、ロシア関係の専門家が私と似たような見方をしているのでご紹介する。

(以下にダイヤモンドから部分引用、URLまで)

6月6日、南部ヘルソン州を流れるドニエプル川に建設されたカホフカ水力発電所のダムが決壊し、東京23区とほぼ同じ面積が浸水しました。国連によれば、80もの町村に影響が及び、少なくとも1万6000人がすみかを失ったそうです。貯水池の水位が下がり、上流域でも飲料水不足が深刻です。

このダムを実効支配しているのは、ロシアです。決壊の原因は明らかになっていませんが、3つの可能性が考えられます。ロシアによる破壊。ウクライナによる攻撃。そして、偶発的な事故です。

ロシアの侵攻が始まった昨年2月24日の翌日、ウクライナ軍はキーウ近郊のダムを決壊させて北側の田園地帯に人為的な洪水を起こし、首都へのロシアの進軍を妨げました。相手側にある非軍事施設を攻撃するのは戦時国際法違反ですが、実効支配している側が自ら壊すことに問題はありません。重要な施設に爆薬を仕掛けておくのも、軍事の常識です。ロシアがこのダムを破壊すれば、ウクライナ軍が攻めてきたとき沈めてしまう作戦を取れるからです。

冷静に考えるべきは、双方の損得の比重です。

ロシアとウクライナ双方に被害が大きすぎる

浸水した地域はロシアの実効支配が80%、ウクライナは20%です。埋められていた地雷が広範囲に流れ出してしまい、後始末は非常に困難です。

ドニエプル川は、クリミア半島の水源でもあります。すなわち被害が大きかったのは、圧倒的にロシア側です。なのにウクライナ軍が来てもいないタイミングで、ダムを破壊する必要があったのか。合理的な説明がつきません。

浸水した土地には、深刻な土壌汚染がもたらされました。この地域の奪還を目指すウクライナにとっても実効支配しているロシアにとっても農業に多大な支障を生じさせる事態です。

合理性から鑑みて、ロシアが破壊した可能性は低い。ウクライナがミサイルで攻撃した可能性は、その次に低い。双方にとって被害が大きすぎる点を考え合わせたとき、ロシアの仕掛けた爆薬が偶発的に爆発してしまったという第3の可能性が排除できません。この種の事案については戦争が続いている間は真相が明らかにならないと思った方がいいでしょう。

操作された情報は2~3週間たつとつじつまが合わなくなる

思い出すのは昨年11月15日、ウクライナ国境に近いポーランド東部の村にミサイルが着弾し、住民2人が死亡した事件です。ミサイルがロシア製であることは判明しましたが、米国、ポーランド、NATOは、ウクライナが発射した防空ミサイルだろうという見解を発表しました。ウクライナはロシアの仕業だと主張して譲らないため、真相は不明のままになっています。

戦時下の出来事に関しては、戦争が終わって真相が究明されるまでは、さまざまな可能性を考えておくことが定石です。

しかし操作された情報は、2~3週間もたつとつじつまが合わなくなることがあります。たとえば、5月3日にクレムリンの上空でドローン2機が爆発した事件がそうです。当初ロシアの自作自演説が流れましたが、自作自演にしてはあまりにもリスクが高い。3週間後にはウクライナの特殊軍事部隊か情報部隊が行ったという情報が、米国から出てきました。

ゼレンスキー大統領は、どこまで把握できているのか。ウクライナ軍は、第2次世界大戦前の中国軍のように軍閥化していて、完全な統制下にあるとは思えません。昨年10月8日のクリミア大橋の爆破に関しても、ウクライナ保安庁のマリューク長官が今年5月に関与を認めました。しかしゼレンスキー大統領は、本当に爆破計画を知らなかったようなのです。

朝鮮戦争のような停戦に向かうはずがベトナム戦争のように泥沼化

この反転攻勢を俯瞰的に見た場合、双方の軍人と民間人に生じる被害は増えるため、一刻も早く和平を模索すべきです。第3次世界大戦に拡大して米ロの核戦争に発展すれば、プーチン政権が崩壊し、ウクライナは領土を奪回できるかもしれません。しかしこの戦争を管理している米国は、ロシアとの直接対決を避けることが至上命令です。米国の目的はウクライナを勝利させることではありません。ウクライナを用いてロシアを弱体化させることです。

ところが現状は、ベトナム戦争のように泥沼化しつつあります。ベトナムとの大きな違いは、米国が派兵していないこと。もし米国が派兵して戦死者が出れば、国内に厭戦ムードが広がり、この戦争から手を引くことになるでしょう。

そうならないように、極めて上手に進めているのが現在の米国です。ロシアの弱体化を狙いつつ、ウクライナへの武器供与は基本的に借款ですから、いずれ返済させるそろばんも弾いているのです。

参照:ウクライナのダム決壊「犯人」の正体は?佐藤優が指摘する3つの可能性
https://diamond.jp/articles/-/325143

「米国の目的はウクライナを勝利させることではありません。ウクライナを用いてロシアを弱体化させることです。」

この見方は、私が以前にご紹介したオリバー・ストーンのドキュメンタリー映画や、遠藤誉氏の見方に通じるものだ。だからこそ、米国はウクライナのNATOやEUへの加盟を今に至るも認めていない。そのために、ロシアの仕業だとされていたノルドストリーム爆破も含むウクライナの工作や情報操作を米国側が暴露し、ウクライナは「信用できない国」だとの印象さえ与えているのだ。

一方、カホフカ貯水池はザポロジエ原発に冷却水を提供していることから、ダムの決壊は最悪の場合には原発の爆発につながる恐れがあるとされていた。

また、国際原子力機関(IAEA)は4日の声明で、ザポロジエ原発で主要な外部電源への接続が切れたと明らかにした。原子力安全のために必要な電力をバックアップの送電線に頼る状態になったという。

5日には「IAEAの専門家はここ数日から数週間、冷却水の貯水池の外周を含む施設の一部を点検しているほか、敷地内を定期的に歩き回っているが、今のところ地雷や爆発物が仕掛けられている兆候は確認していない」とする声明を発表した。

英国防省は4月、3月に撮影された衛星映像に基づき、ロシア軍がザポロジエ原発にある6基の原子炉の建屋のうち、一部の建屋の屋上に土嚢を積んで戦闘態勢を取っていると指摘していた。

1986年のチェルノブイリ原発事故では、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの約15万平方キロメートルが汚染されたが、ザポリージャ原発で惨事があった場合に放射性降下物が降り注ぐ範囲は、これよりもかなり狭くなるのではないかと専門家らはみている。

カーネギー国際平和財団のジェームズ・アクトン核政策プログラム共同部長は、ザポリージャ原発で災害が起こった場合、おそらく2011年の福島第一原発事故と似たものになるだろうと語っている。福島での事故では、原発から半径約30キロメートルの範囲が放射性物質の影響を受けた。

アクトン氏によると、ザポリージャ原発では安全設計が改善していることから、仮に原子力災害が起こっても、影響を受ける範囲が半径10~20キロメートルの「局地的な事故」に抑えられる可能性が最も高いという。

一方、米国防総省は7日、軍事支援パッケージの一部としてウクライナに殺傷力の高いクラスター弾を供与すると発表した。クラスター弾とは、一発の親爆弾に多数の子爆弾が詰め込まれ、空中から広範囲な地域に拡散して攻撃する兵器だ。民間人を無差別に殺傷するとして100カ国以上で使用などが禁止されているが、ウクライナはロシア軍に「並外れた精神的・感情的影響」を与えるためだと述べた。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「われわれはクラスター弾によって不発弾による民間人への被害が生まれる恐れがあると認識している。だからこそ可能な限り長期にわたり決定を先延ばしにしてきた」とした上で、「しかし、ウクライナに十分な大砲がないために、ロシア軍や戦車がウクライナの領土に入り込み、領土を奪い、ウクライナ市民を服従させるようなことになれば、民間人に被害が及ぶ危険性も大きい」とした。

戦争時にはどの国も自国政府の利益を最優先した「大本営発表」を行ってきた。つまり、戦争時の報道が「全くのウソだ」と断定できないまでも、戦争当事国の双方が同じものを表から見ただけ、裏から見ただけの報道がなされるので、一方の情報だけを信じていれば、片方の「情報戦争」に踊らされることになる。

また、「大本営発表」は自国政府の利益を優先しているだけで、必ずしも自国民の利益を優先しているわけではない。歴史が教えてくれるのは、施政者たちは自己の権益を守るためには、自国の民衆が犠牲になることを厭わないことだ。例えば、クラスター弾での犠牲者たちに、ロシア占領下のウクライナ人が含まれることは避けられなくても、ウクライナ「政府の利益」になると思えば敢行するのが戦争の常だ。

このことは、ロシアの行動はロシア政府の利益を優先していることは確実でも、ロシアの領土とされているザポリージャ州のロシア系住民や、そこを防衛しているロシア軍の安全性の優先順位は下がることを意味する。

いつの時代も、どこの政府も、行政執行者たちは民衆よりも自分たちを優先順位の上に置いてきた。どの会社や組織、親分たちも同様だろう。それでも平時には「やりすぎ」が咎められる。しかし、戦争などの非常時には、特に行政執行者たち自身が追い詰められているような場合には、「やりたい放題」となる。日本近辺を含めて、核兵器の使用や、原発攻撃などは有り得ないとは思わない方がいい。

私を含む一般人がこうした事実を知っていても出来ることはほとんどないので、無駄に悩むよりは、何も知らずに情報操作に踊っている方が幸せだという考え方を否定するわけではないが、それでは「投資運用」は行えない。投資運用は、不都合な真実から目を背けるわけにはいかないのだ。

矢口新

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


主要指標

最近の記事