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FXで1500万円の支払い請求?

「投資の学校」浅野敏郎
From 自宅のトレード・ルームより

 
数日前の話ですが、出勤準備で忙しい中、
たまたまNHKの「あさイチ」という番組を
見てしまったのですが、

デジタル遺産をテーマとしたコーナーで、

他界された方宛に
FX会社から1500万円の負債支払請求が
メールで通知されていたが、
メールだけに遺族が知る機会もなく、

結果的に放置したがために訴訟になりかけている…

というケースが紹介されていました。

 
デジタル遺産とは、
他界した方のPCや携帯を通じて
その先の証券会社やFX会社、
銀行やローン会社の中に、
結果的に残ってしまった資産などを指し、

ネット社会が進んだことで、
こうした遺産が発覚しない問題になっている、
というのがテーマの主旨です。

 
詳細は本番組に委ねるとして、
コーナー冒頭に取り上げられたFX会社の件は、
いわゆる“掴み”の類(たぐい)だと予想でき、
視聴者を離さないための、
誇張された作り話だと思っていますが、

投資として大きな損失を出す事例に、
FX取引が引用されるケースが多い印象もあり、

朝から非常に悲しくなりました。

 
今日は、
FX取引で1500万円の負債を抱えるケースが
本当にあり得るのかどうか、
このあたりのお話をしたいと思います。

 
おはようございます。
今週も早や、金曜日がやって参りましたが、
振り返れば、話題には尽きない一週間でした。

イギリスはハード・ブレグジットを選び、
トランプ氏の就任直前調査では、
支持率が史上最低水準の40%になるなど、

波乱含みの材料が出てきていますので、
くれぐれもご注意ください。

 
 

FX証拠金取引で負債はあり得るか?

さて、かの番組の中では他にも、
25倍のレバレッジを説明するために、
100万円の札束オブジェを掲げて、

収益が25倍になる一方、損失も25倍になるなど、
100万円がマイナス2500万円になる可能性がある!
との誤解を生みかねない演出もあり、

悲しさを通り越して、力が抜けそうになりました。

 
冷静に考えてみてください。

一個人が一法人(取引会社)に対して、
1500万円の負債が発生しているということは、

この取引会社は個人に対して、
1500万円もの大金を、
何の担保もなく貸し出していることと等しく、
通常であれば、そんな甘い話は絶対にありません。

 
そもそも、証拠金の特長の一つは、
投資家に損金が発生した場合の、
投資家の支払い信用ですから、

預け入れた資金(証拠金)を越えて、
マイナス運用が継続することは絶対にありません。

 
したがって、死亡や長期入院などが要因で、
ポジションが建ったまま放置されたとしても、
投資損になり、損失額が膨らむことなどあり得ず、

通常は証拠金の残金がなくなる前に、
強制的に運用が決済されるようになっています。

 
 
ただし、唯一考えられるのは、
週末などに重要な発表や事件が起こり、

取引水準が大幅に異なって市場が始まった場合、
強制的な決済によって生じた損金が、
証拠金を上回ることがあり得ます。

では、このように
“値が跳んで”発生するリスクは、
どの程度のモノなのでしょうか。

 

1500万円の損失を対円相場で検証する

 
NHKの某番組に沿って、
当初の証拠金を100万円とし、
25倍のレバレッジでフルフルに取引(満額取引)
したとしましょう。

2500万円分の取引ができますから、
ドル円なら1ドル115円として
2500万円÷115円(1ドル)となり、
21万7千ドルのポジションが持てます。

 
1ドル1円動いた場合の損益は、
ポジションと同じ21万7千円ですから、
(変動した値段×ポジションが損益額です)

1500万円を一瞬にして失う大幅な変動とは、
1500万円÷217,000円=69.12円となります。

つまり、
1ドル115円で推移していたドル円相場が、
宇宙戦艦ヤマトがワープするように
突然として値を消し、

次の瞬間、
上なら184.12円
下なら45.88円に、

こつ然として現れて初めて、
更に1500万円の損失が加わる可能性が出てきますが…

そんなことって、あり得ますかね???

 
ちなみに、2015年の1月15日、
スイス中央銀行が対ユーロでのフラン上限を撤廃した日、

スイス円のレンジは24.16円前後

 
そして2016年6月24日、
イギリスのブレグジットが決定した日、

ポンド円のレンジは26.90円前後でした。

 
私の記憶では、
これ以上ギャップした対円相場は無いはずですから、

それぞれの日に、もしもレンジ分の窓を開けた
(途中での取引が全くできない状態)
としても、
(実際は途中で決済する機会はありましたが、)

 
69円という値幅には程遠く、いかにあり得ないか!
が分かります。

 

ポジションによってはあり得る!

損失額を1500万円に限定した場合、

21万7千ドルのポジションで損をするためには
69円分の値動きが必要でしたが、

 
ポジションを10倍の217万ドルにすると、
値動きは10分の一となる6.9円が、
1500万円分の値動きとなり、

一気に現実的な値幅になってしまいます。

 
 
以上の検証からわかるように、損失リスクは、
当然ながら値幅とポジション額に比例しており、

最も注意すべきは、
自分で簡単に調節できてしまう取引額です。

 
したがって、取引ができるからと言って
レバレッジを最大限に効かせた額を、
取引(満額取引)することがいかに危険か、

ということが分かっていただけたと思いますし、

逆に満額取引しかイメージできないのであれば、
レバレッジは効かさないようなポジション管理、

例えば100万円が証拠金なら、
それを直接115円で割った8,695ドルをポジションとする
などの操作が必要でしょう。

 
ちなみに、
217万ドルのポジションを持つためには、
25倍のレバレッジで
217万ドル÷25(倍)×115円(1ドル)=
9,982,000円の証拠金が、
最低でも必要になりますから、

限度なく簡単にポジションを増やせることにはなりません。

ただし、

もっと高いレバレッジ、
例えば100倍で満額取引するのであれば、
217万ドルの証拠金は
9,982,000万円の4分の一で済んでしまいますから、

レバレッジの仕組みが本当に理解できるまで、
取引額にはくれぐれも注意したいところです。

 
 
浅野敏郎

P.S.
ポジションさえ固定しておけば、
あとは値幅となる相場に集中できます。

今日の検証は暗算も可能ですから、
出来るようになっておきたいことは、
以前のブログでもお伝えしましたが、

 
実は、もっといろいろな角度から、
理論的かつシステマティックに
資金管理を行う方法があります。

それは一体、どんな方法なのか??

ポイントの詳細はこちらのページでご確認ください。
https://fx-school.net/lp/shikinkanri_sl_b/

  • コメント ( 2 )

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  1. 半丁トレーダー

    別の週刊誌かTVでも同じような特集を見たことがありますよ。
    それにしても1500万円は脅かしすぎな気がします。
    新たな詐欺を誘発するような話ですね。
    昨日バーチャルFXで半丁トレードをして、
    逆方向に行ったのでふてくされて放置した所、
    1回目で3万円、2回目で5万円ほどの+になっていました。(バーチャルルール:1時間で強制決済)
    円安のトレンドがあったのかな。
    エアのお金も100万になりました(V)o¥o(V)が
    こっちはあくまでバーチャルの話(ノД`)・゜・。

    • 浅野敏郎

      半丁トレーダー 様、

      おっしゃる通り、こうした特集は時々あるのですが、
      多くの場合、なぜかFXなのです。

      確かにレバレッジがネックだとは思いますが、
      出ないものは出ない…
      というように、
      そこに資金が無ければ、その額の損失も、
      基本的にはあり得ないというのが、
      有限責任である投資の魅力でもありますので、

      もう資金がないのに、
      それ以上払え!というのは、基本的に難しい話ですね。

      ところで、先週は、
      ちょうど20日のトランプ氏の演説前で、
      ポジションを縮小する流れでした。

      19日は時間にも因りますが、
      円安方向は、クロス円の影響が強かったと記憶しています。

      ECBの政策金利発表やアメリカ連銀筋のコメントなどが
      多く発表されていましたから、

      ポジションを整理するステージでは特に、
      発表の前と後で、目先の方向が急に転換することもあります。

      そういう中でポジションを取ると、どうしても
      運不運に左右される可能性が高くなってしまいますし、
      増してや、時間で区切られる投資は一層、
      ギャンブル性が高くなります。

      バーチャルコンテスト系は、
      慣れ親しんでもらうのが主眼だと理解しており、
      多くを語っても仕方ないですが、

      それで実力を養ったり、経験が積めるとは、
      なかなか考えにくいと思いますね。

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