「普通」って何だろう…
「投資の学校」浅野敏郎
From 横浜の自宅より
FXにおいて、
通貨は、金利が低い方から高い方へ流れるという、
一つの「普通」があるのは皆さんもご存知ですね。
つまり、ドル円相場で言えば、
未だにマイナス金利を含めて低金利政策を維持している
日本の円から、
既に政策金利が利上げスパイラルに突入している
アメリカドルへと
資金は流れるということです。
一方で、
先日には世界を揺るがせたトルコのリラですが、
こちらの政策金利は17.75%と、
目を疑うような水準であるにも関わらず、
一向にトルコに資金が集まるようなリラ買いとはならず、
むしろ主要通貨に対して売り込まれている現状は、
冒頭の「普通」からすれば、異常な事態ですね。
おはようございます。
今週も早や、金曜日がやって参りました。
今夜の帰宅途中、
新宿のとある秘密の喫煙所で一服していたのですが、
ふと気が付くと目の前には、
ロン毛の男性と
丸刈りの女性が
同様に喫煙を楽しんでおりました…。
さすが新宿!というか、
もはや、ありふれた光景ではありますが、
私にとってはやはり、「普通」の方が気楽ですし、
逆に「普通」とは何か?
を考えさせられる瞬間でもありました。
金利差の普通が通用しないケース
トルコリラの一件は既にご存知の通り、
通貨防衛的な金利高という側面があり、
先に述べた「普通」なケースには当てはまりませんが、
金利の関係では、ドル>円であるドル円相場の場合でも、
7月中旬以降、つい昨日までは円高に推移するなど、
「普通」ではない状況は多々あります。
こういうケースにおいては、
投機筋などのポジションが影響している可能性が高く、
現在のドル円相場の場合は、
3月以降のドル高相場で積み上がったドル・ロングの調整
という見方ができるでしょう。
このような現象は金利差だけではなく、
例えば、アメリカの経済指標が良かったにも拘わらず
ドルが大きく売られた…
といった場合にも十分あてはまります。
つまり、結果発表の時点で既にドルの買い持ちが
相当積み上がっていた可能性があり、
結果が良かったのに上昇しない
↓
市場にはここから買い上げる力はなさそうだ
↓
市場のポジションは相当ドル・ロングかもしれない
↓
先に決済してしまおう
といった連想が連鎖しているのかも知れません。
IMMのユーロ・ロング、ネットは解消でも…
さて、投機筋のポジションの傾きを測る手法として、
昔から、
シカゴ市場の通貨先物残高が用いられるのが一般的です。
例えば、
ユーロドル相場は、今年4月下旬あたりから下落を始め、
つい先日に今回の下落波動における最安値を付けました。
下落を開始する直前のIMMのネット・ポジションは、
確かに空前のユーロ・ロングの状態でした。
ネット・ポジションとは、
買い持ちと売り持ちの差し引き結果なのですが、
それゆえに、これだけを妄信すると落とし穴があります。
というのも確かに直近のデータでは、その差額(ネット)は
僅かに1789コントラクトと、概ねゼロと言えるでしょう。
コントラクトとは、取引できる額の最小単位を指すのですが、
直近データの内訳は、
ロング:188,428コントラクト
ショート:190,217コントラクト
となっており、市場規模は殆ど変化がありません。
つまり、ユーロのロングが解消されたのは一部であり、
それをしのぐユーロの売り持ち(ドルの買い持ち)が増え、
ユーロ買いも戻り始めた上での、大規模な均衡を意味しています。
その他の通貨ペアでは、
小規模ながら概ねドルの方がロングとなっている中、
主要通貨の中で最も高金利のドルがロングというのは「普通」ですが、
にも拘わらず、
ドル高が足踏み状態にあることを「普通ではない」と捉え、
「実は市場はかなりのドル・ロングで、
秋に向けて売り戻しがあり得る。」
といった声も、ちらほら聞かれるようになってきました。
ドル・ロングのポジション解消売りが出れば、
その影響で円高になる、という理論もある意味で「普通」なのですが、
他の通貨でも、ユーロ高、ポンド高、豪ドル高となり、
クロス円の立場から言えば円安に働き、
結局ドル円相場は意外と底堅い…という、
もう一つの「普通」なシナリオもあるでしょう。
ではもし、ドル円はあまり動かないとした場合、
コストを支払いながら円買いポジションをとるのと
コストを受け取りながら円売りポジションをとるのと
どちらが有利かは明確で、
例え円高で仕掛ける筋が居たとしても、
かなりの短期でしか見ていないはずで、
コストを支払うことを嫌って
場合によっては同じ日に買い戻す可能性もありそうです。
もちろん、その結果は相場しか知らないわけですが、
だとすれば、下がった局面で買いからエントリーする
といったロング・プレーが圧倒的に有利だ
というのが今の私の「普通」となっており、
普通とは…
「自分の中の相場観のようなもの」かも知れないですね。
浅野敏郎
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