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直近の「高値と安値」って一体どこなの??

「投資の学校」浅野敏郎
From 新宿オフィスのスタジオより

先日、そんな質問を受けて
改めて考えさせられました。

当たり前のように理解していることですが、
もう一度、シッカリと理論付けることで、
自分の中でも整理がつくことが多く、

初心者の方からの質問はいつも、
本当に勉強になります。

語ると長い内容なので、
本当にごく簡単に考えをまとめてみました。

———————————

おはようございます。
今週も早や、金曜日がやって参りました。

気が付けば明日からはもう師走(しわす)ですね。
2018年相場の締めくくりとなる一ヶ月ですが、

NIKKEI225、NYダウ、ドル円など、
私たちにとって身近な相場はここまで、
軒並み方向感がなく面白みがない一年でした。

1年を通した値動きを、
1本のローソク足で示したものを年足といいますが、

ドル円は下ヒゲが長く実体が薄いトウバ型、
NIKKEIは上下にヒゲを付け実体は薄い陰線のコマ型
NYダウは上下にヒゲを付け実体は薄い陽線のコマ型と
となり、

なかなか難しい相場だったと思います。
あと一ヶ月でどこまで2019年につながる動きになるのか、
あきらめつつも楽しみにしています。

———————————–

どこまでを直近というのかは難しいが・・・

言うまでもなく世界の各市場は連続して動いていて、
特に為替などは、つなぎ目すらない状況な訳ですが、
チャートに表すと、足が切り替わるたびに、
それまでの縦運動から一瞬、横運動になり、
違和感を覚えることもしばしばあります。

 
データのやり取りが進歩したことで、
今となっては超短期足のチャートも
自動で描くことが可能ですが、

これらのいわゆる短期間の足は、
連続した時間を勝手な都合で区切ったもので、

その始値や終値に至っては一部を除き、

勝手に区切られた期間の、
最初の価格と最後の価格という

もはや余り意味を持たない偶然の価格だと言うべきで、
唯一そのローソク足の陰陽を決めるためだけの指標
に成り下がっています。

 
日足以上の期間であると例えば、

日にちが切り替われば、その受け渡し日も同時に切り替わるため、
最終期限に間に合うためには、
その日のうちに手当てをする必要があったり、

市場に関われない期間に入る前にはリスクを回避するために
手仕舞いをする必要があったり、

月末期末では決算に向けて朝から買い気や売り気が強かったりと、

その日や週の需給結果が反映された価格として
始値や終値は今でもそれなりの意味は持っていると思います。

 
この観点から、私が思う直近の定義が、
短期足にも当てはまるかどうかは今ひとつ自信がないものの、

狭義での直近と言えばやはり、
1本前の足
ということになり、

広い意味での直近と言えば、
一つ前の波動
という捉え方が一般的かもしれません。

つまり直近の高値安値とは・・・

一般論で言いますと、

ある時まで下落していた相場が、
ある時を境に上昇し始めたときに初めて直近安値が確定し、
その後、上昇を継続した相場が
ある時を境に下落し始めたときに初めて直近高値が確定する

ことになり、
この2つを満たすところまで時間をさかのぼることになります。


【チャート★】

例えばこの値動きで見てみると、直近の安値は「安①」です。
つまり、「安①」まで下落していた相場が、
ここを境に上昇へ転じたことは明らかですね。

もちろん、細かく見れば「安①-1、安①-2、安①-3」も、
直近安値と言えなくもないですが、
波動という見方からすれば「小さなブレ」に過ぎないでしょう。

一方、直近高値となると、唯一見えるのは「高①」ではあります。
しかし、現在はまだ「安①からの上昇波動」とするなら、

下落反転して初めて高値が確定する・・・
という定義を尊重すれば、
「高①」は直近高値とはみなさないという方が自然です。

そこで、今見える左端の下落が始まった起点まで
さかのぼってみましょう。

そうすると「高②」が見えました。
「高①」より高い「高②」は、
波動で捉えるところの定義に則った直近高値であり、
これで初めて直近高値・安値がそろいました。

つまり、チャート★の上昇波動は強かったように見えましたが、
直近高値・安値を見つけることで、
今は「高②」と「安①」の間を戻しながら揉み合っている・・・

という状況が良く見えてきます。

 
ではもし、相場がこのまま「高②」を超えていった場合、
どうなるでしょうか??

直近高値は再びこの範囲には見当たらないことになり、
もっとさかのぼる必要が出てきます。

ありました、「高③」が新たな直近高値です。

良く見れば「高③-1」も「高②」よりは上にあり、
直近高値だと言えなくもないのは事実ですが、

値動きを波動として捉えた場合、
「高③-1」は、前出の「小さいブレ」に属してしまうため、
「高③」を直近高値とした方が、この場合は自然だと思います。

このように、たとえ「直近」という言い回しが入っていても、
かなり過去の値を持ってくるしかない状況があり得ることを
ご理解いただけたでしょうか。

おしまいに

これを言ってしまうと、かえって混乱するかも知れませんが、
付け加えるとすれば・・・

ここまで見てきた推移も、更に上位足を想定した場合、

結局は狭義だと言いのけた「1本前の足の高値安値」が
「直近の高値安値」になりやすく、

波動とは何か?

といった禅問答のような世界に入り込んでしまいます。

ただ、これだけは言えることとして、

超短期足へ向かえば向かうほど、
1本前の足に含まれる波動はどんどん存在しなくなり、

その分、右往左往しやすくなる可能性も高くなる
ということにならないでしょうか。

 
1本の足の中にそれなりの波動があり、
かつその波動ひとつひとつの値幅が、
あなたにとって目指すべき値幅に見合っているかどうかは
重要な判断基準になります。

もっと言えば、
その波動一つ一つの、せいぜい5~60%、
上手くいって80%くらいの値幅しか実現できないとすれば、

自分が中心に据えるべき時間軸も自ずと見えてくる
のかも知れません。

 
 
浅野敏郎

 
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  • コメント ( 7 )

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  1. 亜土民

    直近高値、安値の考え方の説明ありがとうございました。
    機会が有れば、目通し高値、安値についても説明していただけないでしょうか。目通しというと、チャートで一目で見える範囲という意味を想像しますが、チャートの縮尺や画面の大きさ、解像度で人により違うと思うのですが、もしやプロの方々は、大概同じ範囲、例えば、150本程度を、目通ししているということはないのでしょうか。
    よろしくお願い致します。

    • 浅野敏郎

      亜土民様、

      コメント有難うございます。

      状況が非常に良くわかるコメントをいただけました。
      株式市場はかなり昔から存在しており、
      株投資の世界は独特な解釈や手法が存在するのだと思います。

      実は「目通し」という概念は私にとっては初耳で、
      為替ではありますが、プロの世界に属していた当時でも
      そうした概念を聞いたことがありません。

      不勉強でしたらお詫びいたします。

      ただ、私が理解する範囲では、
      目先の勢いに乗じて取引するようなスタイルのスキャルピングで、
      時間足より長い足はそもそも使わないでしょうし、
      1分足や5分足チャートをギリギリに詰めて表示しても、
      細かいところは見えないでしょうから、
      「◎◎本くらいがちょうど良い」的な話が一般化するかもしれませんね。

      人によって環境によって千差万別ということは、
      特定する意義もあまりないのでは?と思います。
      ただ、昔のチャートや証券会社が提供していたふるいチャートシステムでは、
      表示させる足の数を指定するものがあった記憶があり、
      25程度の倍数で最高が200とか300だった気がします。

      これはサーバーの負担を軽くするために、
      表示させた足のみのデータでチャートを描く仕組みになっていた場合が多く、
      例えば日足で200日移動平均線を表示させたいのに、
      「目通し?」が150本だと表示できない・・・
      などの不都合が生じていた可能性があり、その辺りから200本などの話が出ていた
      という仮説はありえそうです。

      いずれにしても、例えば今後の日経平均で、
      2007年の高値が下値サポートだと意識される局面が来た時、
      日足で200本しか表示しなければどれだけ遡らなければ見られないかということになり、
      あまり使い勝手が良い話ではありませんね。

      今のチャートはマウスのホイールを使えば、自由に伸縮するものも多く、
      臨機応変に対応したほうが私は良いと思います。
      従ってご質問の回答としては、良く使われる一定の本数は無い(聞いたことが無い)
      ということになりますが、

      個人的には上下の波動が少なくとも4波動分、例えば、
      上昇ー下落ー上昇ー下落ー現在上昇中
      位が見えたほうが落ち着きます。

      回答になっておりましたら幸いです。
      また、コメントをお待ちしています。

      浅野敏郎

  2. Καππα

    高値安値の定義の仕方:
    左右*本の中にその安値を下回る安値がないこと・・・これを満たす最近の安値が直近の安値と定義しました。
    これだと、数十年もさかのぼらなくてもよくなります。
    日経、数十年前の高値38千円が直近の高値ととらえる人もいるでしょう。
    今はまだその高値を超えていないから、長いもみあいが続いていると考えている、Καππαでした。

    • 浅野敏郎

      Καππα様、

      コメント有難うございます。

      直近の高値・安値の定義はいろいろありますね。
      これらが一つの「自分流の取引ルール」になって行くわけですからね。
      もし究極のn本が見つかりましたら、
      こっそりと教えていただきたく思います。

      さて、確かに1996年高値を越えた以上、
      次の直近高値は、かのバブル期1989年の最高値39200円台と考えられなくも無いですね。
      ただ、この最高値を直近と捉えると、私は身動きが取れないので、
      どこかで底固めが確認できれば、
      その最高値までの過程を上昇相場と捉えたいと考えています。

      たしかに、あの最高値を基準に考えると以降は全てが
      揉み合いなのですが、
      せっかく2008年或いは2009年の安値を起点に
      反発過程にあるのですから、
      ここは揉み合いの中の上昇と考えて取り組みたいと
      私は考えています。

      また、コメントをお待ちしています。

      浅野敏郎

  3. 乾坤一擲

    (u_u)今年ももう年末になってしまいました。
    11月、早かった。なんか加速度的に年月の経つのが早い。
    今週のお題目は高値安値…どこが直近だと求めると…禅問答になってきますね。
    時間軸を変えてみると、高値と思っていたものもたちどころに飲み込まれてただ春の夢の如し(*´-`)

    • 浅野敏郎

      乾坤一擲さま、

      いつもコメント有難うございます。

      まさに加速がついてますね~、
      楽しい時間はあっという間に過ぎる・・・
      とよく言われますが、
      ということは乾坤一擲さまも私も、
      人生楽しんできる最中だ!

      ということに致しましょう!!

      さて、今回のお題、
      私にとっても永遠に矛盾するテーマなのですが、
      そんな状況の中で、
      ふるいにかけてでも、どうにか方向を見出して
      乗っていくしかないと考えておりまして、

      後は個別株で上場来高値を更新しているような銘柄しか
      理論上は取り組めないことになってしまいますね。

      春の夢の如し

      私も幾度となく経験しました・・・
      が、思うようにいかない所もまた、
      相場の面白さでもありますが、

      言ってみれば人生も「揉み合い」ですから、
      今、南風が吹いているとするなら、
      北に進んだほうが幾分楽ですし、
      そのうち、北風が吹き始めたら、
      その時に考えたいと思います。

      あ、もちろん、
      北風を感じるための努力は惜しまない
      つもりですよ!

      また、コメントをお待ちしています。

      浅野敏郎

  4. 浅野敏郎

    今回は3件もコメントを頂きました。
    今から順にご返信いたします。
    先ずは、皆様に御礼を申し上げますと共に、

    何か疑問などがあればこれから皆さんもお気軽に
    聞いてくださいませね。

    そうした事が私にとっても糧となりますし、
    何と言ってもブログのテーマに対する大きなヒントになります。

    よろしくご協力ください。

    浅野敏郎

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