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流動性による「重さ・軽さ」

売買金額が市場にどれくらいの影響を与えるかは、
ほとんどの人にはイメージできないことと思う。

そこで、大手金融機関のディーラーなどは自分で大量に売ったり買ったりすることで、
該当金融商品の流動性に応じて、価格がどれくらい動くのかを体感しようとするものなのだ。

注釈するなら、流動性の小さなものなら比較的少額で動くが、
米国債のようなものを動かすには大量の資金が必要だ。

そうしたことに関連して、ブルームバーグは非常に興味深い記事を載せた。

フランシスコ・ブランチ、サビタ・スブラマニアン両氏を含むバンク・オブ・アメリカのストラテジストは3月17日のリポートで、ビットコインでは9300万ドル(約100億円)の純流入が価格を1%押し上げると推計。
金相場を同じだけ動かすのに必要な額は20億ドルと、ほぼ20倍だと指摘した。
また、期間20年以上の米国債では数十億ドルでも相場に意味のある影響は与えないという。
一方、ビットコイン全体の約95%が大量に保有する上位2.4%のアドレスによって保有されていることから、「支払いメカニズムとして、また投資手段として実際には有用でない」とした。

参照:100億円があればビットコイン価格1%押し上げ可能-BofA推計
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-19/QQ6IWFDWRGG501

流動性がないものは軽い。

少額の資金でも簡単に上がるが、売りに行けば思いがけないほど下がる。

一方、投資やトレーディングが安心して想定通りの価格で売買するには流動性が不可欠だ。

投資物件やチャートを分析して売買しているのだから、
誰かの気まぐれな売買で簡単に動かれては困るのだ。

投資物件には相応の流動性が、言い換えれば適度の「重さ」が必要なのだ。

ちなみに、FRBは米国債を月800億ドル買い続ける。

ヘッジファンドや往年のボンドキングが例えば合わせて1500億ドル売れば、
米国債価格は下がり、利回りは上昇する。

しかし、FRBは翌月も800億ドル買う。

前月と合わせると1600億ドルになるので、
利回りを上昇させるには、投機筋は少なくとも追加で100億ドル以上売らねばならない。

しかし、FRBはその翌月も800億ドル買う。

投機筋がそれ以上売れないとなると、
その月には投機筋の買い戻しだけで1600億ドル以上が買われることになる。

つまり、米長期債の利回りは急低下することになる。

ごく単純化するなら、これが相場の価格変動のメカニズムだ。

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