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投機筋にできることとは

From 矢口新

20世紀末に起きたポンド危機、アジア通貨危機などは、
有名ヘッジファンドをはじめとした投機筋が引き起こしたと言われている。

ジョージ・ソロスなどは中央銀行に勝った投機家として、一躍有名になった。
しかしどちらの場合も、投機筋はそれまでむしろ当局に協力する形で、それらの通貨を保有していたのだ。

何故なら、当局が支えている英ポンドやアジア通貨を買い保有することで、
価格の下落リスクなしに高金利を享受できたからだ。

「当局がついているから」と、
投機筋はどんどんポジションを膨らませ、大儲けできていた。

しかし、経済の実態にそぐわない無理な政策や規制は、
どんなに当局と投機筋とが協力してかかっても、大水でダムが決壊するように崩れるときがくる。

投機筋は自己の損益がかかっているので、
これ以上は支えきれないと規制の限界を感じ取ったとき、いち早く逃げたのだ。

例えとして、皆でやっと支えているような重い神輿を考えてみよう。

(雪がしんしんと降り積もるように)日ごとに重くなる神輿は、いずれ担ぎ手が支えきれなくなる時が来る。
当局は大丈夫だと言い続けていたが、投機筋は限界を感じて「一抜けた」となった。
ソロスなどは一抜けただけでは収まりきらず、神輿の上に駆け上がった。
そしてそれを見たほかの投機筋も、わが身かわいさに一斉に駆け上がったのだ。
当局と逃げ遅れた者たちだけが神輿の下で潰されたのが、ソロスが英国銀行に勝った実状だ。

しかし、投機筋が逃げるときに持っていた量より多めに売って、
売りでも儲けようとしたことを責めることはできない。

狼に羊の番をさせておいて、羊を食ったと責めても始まらないのと同じだ。

そもそも無理な政策や規制がなければ投機筋に収益チャンスもなく、
それほど大きなポジションも取れなかったのだ。

羊の番をさせて、投機筋を太らせてきたのは当の「当局」だという見方もできるのだ。

そういった意味では、投機筋と当局とは持ちつ持たれつの関係にある。
口先介入などは典型で、当局の意向をくみ取った投機筋がリスクをとって、当局の意向を反映している。

とはいえ、買ったものは必ず売り、売ったものは買い戻すしかない投機筋にトレンドは作れない。

中長期的にはネット売買がゼロでしかない投機筋をあてにして、
当局が自然な資金の流れをせき止めようなどとするから失敗するのだ。

投機筋にできることは、ボラティリティに関与することなのだ。

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