相場のエネルギー
こんばんは、
投資の学校の浅野敏郎です。
相場が動く原因として主に
ファンダメンタルズとテクニカルがある
と言われています。
毎月開催されている雇用統計結果は
重要なファンダメンタルズ指標の一つとして有名です。
ただ、どんな結果が出てきたとしても、
目先の重要な高値や安値を更新しない限りは
その間での乱高下はあっても、
明確なトレンド相場には発展しにくいことから
結局はいかなる要因も値動きに集約されるとして
特にトレード(投機)に関しては概ね
テクニカルが主役となっているのが現状でしょう。
そんな中で時々、
ファンダメンタルズの結果とは正反対に
相場が動いてしまうことがあり、
要因が値動きに集約される…
とは言い難い局面があります。
本日のタイトルでもある「相場エネルギー」という
やや抽象的な表現を、
皆さんも目や耳にしたことがあると思いますが、
変動要因として実は、
この相場エネルギーが一番の根本だと思っています。
車もガソリンが無いと走れないですね。
ただ厄介なのは、
この相場エネルギー自体を測る術がなく、
その一部として考えられているポジションの傾きも
IMMレポートやFX会社が個別に公表しているデータ
先物市場の信用残比率(でしたっけ?)程度にとどまり、
特に世界規模の為替市場全体を見渡すことはもはや
国際決済銀行(BIS)でも不可能だと言わざるを得ません。
※BISは原則3年ごとに各国中央銀行を経由して、外国為替とデリバティブの調査を行っているので、グローバルなデータとしての依存度は高いと思いますが、網羅されている範囲や割合などに疑問も多いところ
しかし、この視点で相場を見てみると
幾つかの傾向や現象?が存在しているのが分かります。
顕著な現象として例えば2022年7月28日、
FOMCは2回目となる政策金利の大幅引き上げを
行いましたが、
本来はドルが買われてもおかしくない利上げに対して
その直後からドル安が一段と進み、
特に対円相場は僅か4日間で5円近く下落しました。
理由の後付けは様々ですが、
遅くとも7月上旬には既に一部のポジションデータで、
円の売り持ち高が危険な水準にまで積み上がっていた
事実がありましたから、
市場全体のポジションも、
かなり円がショートしていたことで、
ここから円を売り増すエネルギーが底を突いていた一方で
円を買い戻すエネルギーの方が満タンになっていた…
ということなのでしょう。
ちょうど相撲の取り組みで、
攻め込んでいた力士の力が尽きてしまい、
逆に押し出されてしまうような格好です。
その他にも、
三角保ち合いや揉み合い相場は
相場エネルギーが溜まりやすく
やがて上下に動き出す可能性が高くなる…
といった類の話もありますが、
これらも元はというと、
こうした揉み合いの中でポジションが溜まり
揉み合いの高値か安値が更新された瞬間、
その巻き戻しと追随する売買が急激に入るから…
というのが実情でしょう。
こうした揉み合いで溜まったエネルギーの大きさを、
事前に具体的な数値などで知ることはできないという
問題は確かに残りますが、
揉み合った期間の長さによって推測はできますし、
揉み合いから離れた最初の波動(第一波動)の値幅で
ある程度の規模は想定できます。
また、
その後必ず現れる調整波動(第二波動)との兼ね合いで、
そのまま反転してしまうのか、
それとも
持ち直してもう一段伸びるのかを測る術は存在します。
その術についてはいつの日か
詳しくお話する機会があるかも知れませんが、
この段階で、これだけは知っておいて欲しい…
ということが一点だけあります。
それは、
相場の変動には確かにエネルギーが必要ですが、
残念ながら
トレンドが発生中の相場のエネルギー(ポジション)が
どの程度積み上がっているかを知ることは、
基本的に不可能ですから
エントリーしてよいかどうかのタイミングが難しい反面で
同様にエネルギーが蓄積されているはずの揉み合い相場は、
何よりも、
我々一般投資家でも揉み合いの終わりを認識できるため、
エントリーのタイミングが明確であるということです。
つまり、
トレンドが発生中の相場に乗り込む場合は
いつ反転が発生しても不思議ではない状態であることを
前提に取り組むべきですし、
(天井掴みや底値掴みが怖いという感覚は間違っていません)
それよりも皆が認識できて取り組みやすく、
しかも、相場の始点近くに立てる可能性が高い
揉み合い相場には近い将来
有望なエントリー機会に恵まれていると思って欲しいのです。
そう考えると、
本格的な上昇(下落)相場が始まる場合、
或いは
それらが本格的な下落(上昇)相場に転換する場合、
その前にはエネルギーを溜め込むための
天井揉み(底値揉み)があってしかるべきで、
それを伴わない突然の逆行相場は、
これからその揉み合いや調整を創りに行っている最中だ
と解釈した方が考え方に一貫性が生まれるので、
再現しやすいのではないかと考えています。
浅野敏郎
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