彼の後ろに立つな
こんばんは、水上紀行です。
昔、ドイツのフランクフルトにある銀行の
ディーリングルームを訪ねたことがあります。
その理由は簡単で、
その銀行がマーケットで激しくディーリングをしていることで有名で、
どんな人がやっているのか会ってみたかったからです。
そして、そのディーリングルームで、
その激しくディーリングをしている張本人に会うことが出来ました。
ただし、紹介される前に、彼の部下から、
「今から彼を紹介するが、絶対に彼の座っているディーリングデスクの後ろに立たないでくれ。
彼は、彼のポジションを他人に見られることに非常に神経質だ。」
と説明がありました。
そして、実際に彼に会うことになったわけですが、
ギョロ目のおじさんでした。
しかし、いったん相場の話になるとさすがに鋭く、
ビシビシと相場はこうだと語ってくれました。
チラッと彼のディーリングデスクをみましたが、
ポジションが表示されているらしいPCがあり、
正直どんなポジションを持っているのか興味がそそられましたが、
彼の部下から厳しく釘をさされていましたので見ませんでした。
ディーラーは、それぞれに癖があります。
私の同僚のディーラーのように、まだブローカー(外為仲介業者)とのやりとりがスピーカーとマイクだった頃、ロックでも聞くようにボリュームを全開にしているのがいると思えば、逆にドイツのデュッセルドルフのディーラーのようにささやきにしか聞こえないほどボリュームを絞っている人もいました。
また、米西海岸のディーラーのように、自宅のベッドの脇にもブローカーからのプライシングが流れるスピーカーを置いて寝ているのもいたりして、離婚しはしないかとこちらが心配するほどでした。
こういったエキセントリック(変人的)な連中が、マーケットには五万といますので、いろいろなことが相場で起きて当り前かもしれません。
<講師プロフィール>
水上紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャマーケットフォーカスト代表。
1978年三和銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。
1983年よりロンドンや東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。
東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かせる。
1995年より外資系銀行において為替ディーラー及び外国為替部長などの要職を経て、
現在は、外国為替ストラテジストとして雑誌、テレビ、ラジオなどで活躍中
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