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安全保障と日米関係

こんばんは、矢口新です。

トランプ政権が在日米軍の強化計画の中止を検討していると、
米メディアが報じた。

トランプ氏は、
日米安全保障条約では米国が日本を守る義務があるのに対して、
日本は米国を守る必要がないので不平等だと述べていたが、
この中止計画は連邦政府の歳出削減の一環としてのもので、
これだけで約11億ドルの予算削減が見込まれるという。

米メディアによると、
全世界に展開する米軍が再編される模様だ。

米軍はNATO最高司令官のポストを放棄し、
欧州方面軍とアフリカ方面軍の司令部を統合、
北米地域と南米地域の軍も集約する計画だという。

バイデン前政権下では、米軍と自衛隊は指揮・統制の連携を強化、
在日米軍司令部が再編され「統合軍司令部」が発足する予定だったが、
見直される可能性がでてきた。

ある日本のメディアは、実際に中止となれば、
インド太平洋地域の戦争抑止に懸念が生じると報じたが、本当にそうだろうか?

軍拡を進めていたバイデン前政権下で、
2024年の世界全体の防衛費は前年比7.4%増の2兆4600億ドル
($¥150で369兆円)と、過去最高となった。

国別では、米国が9680億ドルと全体の40%近くを占めて最も多く、
2位中国が前年比7.4%増の2350億ドル、
3位ロシアが41.9%増1459億ドルだった。

4位はドイツが23%増で859億ドル。

スウェーデン、エストニア、ラトビアなども20%以上増で、
ヨーロッパは全体で11.7%増だった。

日本は9番目に多い530億ドルで前年比16.5%増だった。これは米軍と自衛隊との指揮・統制の連携を強化するなかでは不可避とも言える増加率だった。

では、これまでのこうした世界的な軍拡競争は戦争抑止に繋がり、平和が訪れると言えるだろうか?

欧州は米国がNATOへの関与を引き下げることで、ロシアへの脅威に対抗するために軍拡が必要だとし、約8000億ユーロ(約130兆円)の資金を確保するための「欧州再軍備計画」の推進で大筋合意した。報道では、ドイツは核武装の可能性にすら触れた。

19日には、EU欧州委員会が2030年までに欧州の防衛力を強化する戦略をまとめた白書を発表した。加盟国による協調した装備調達を通じ、防衛分野の巨大な「単一市場」を形成し欧州防衛産業を拡大するものだが、ハンガリー首相が反対した。

日本のメディアでも、プーチン大統領には拡張主義やロシア帝国の野望といった「枕詞」が付けられることが多い。とはいえ、2024年のロシアの防衛費は前年比で40%以上増えても、米国の15.1%、中国の62.1%でしかない。そして、この増額はウクライナ戦争によるものなのだ。

実際、2018年の防衛費は米国が7160億ドル、中国が2240億ドルだったのに対し、ロシアは440億ドルだった。米国の6.1%、中国の19.6%でしかなかったのだ。この金額で世界征服が狙えるとすれば、日本の530億ドルは少なくとも自国防衛には十分だということになる。

それでも、ロシア軍はチェチェンやジョージア、南オセチアに侵攻したではないかと言われるが、これらはすべて旧ソ連かロシア連邦内での戦争だ。つまり、これらの戦争はロシアの拡張主義の表れだと言うより、離反国拡大抑止を狙った防衛戦争の意味合いの方が強い。周知のように、ウクライナも旧ソ連だ。これもロシア最大の海軍基地と現地のロシア人たちを親米政権に渡さないためのものなので、防衛戦争だと言っていい。

もっとも、アフリカや中東、中米にもロシア軍の存在は見られるが、ほとんどが旧ソ連時代からの引き継ぎだけで、仮に拡大している地域があったとしても、防衛費総額から見て大した予算でないのは明らかだ。それなのに、欧州各国は軍備の拡大を進めている。端的に言えば、世界征服を狙う「ロシア帝国」は軍拡勢力がでっち上げた虚像なのだ。

とはいえ、それでもロシアは「2025 Military Strength Ranking」で世界2位につけている。何故なら、ソ連時代からの世界一の核保有国だからだ。つまり、本当にロシアの脅威に備えたいのなら、世界中の国が核武装する必要が出てくるのだ。これは世界平和にとって、破滅的な展開だと言っていいだろう。

米国に限らず、軍拡を進めているほぼすべての国は財政赤字だ。軍拡は借金を積み上げてなされている。また、ほとんどの国で貧富格差が拡大し、中間層がどんどん追い詰められて来ている。報道や印象でなく、数値が雄弁に語っているのは、バイデン政権よりもトランプ政権の方が現実的だということだ。虚像に振り回され国民生活を犠牲にしている欧州政府や日本政府よりもそうだろう。また、より世界平和に近付く可能性も高いと言えるのだ。

同盟や条約といった約束事が頼りになるのは、守れる条件が整っている間だけだ。これは古今東西の歴史を振り返るまでもなく、婚姻を含む身近な約束事でも同じだろう。

日本が米軍から首都の制空権を取り戻し、米国を日本の上に置く地位協定を破棄して、真の独立国に戻りたいとするのなら、トランプ政権による在日米軍の強化計画の中止や、日米安全保障条約の見直しは千載一遇のチャンスなのではないか?

未来の世代に残す日米関係を対等でより親密なものにするためにも、トランプ政権の提案を「戦争抑止に懸念が生じる」などと受け止めず、独立国として前向きに活かすことはできないものだろうか?

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