政府債務の嘘と、消費税減税財源の嘘
こんばんは、矢口新です。
財務省が2026年度予算案をもとにまとめた
向こう3年の歳出入状況を示す「後年度影響試算」によれば、
国債の元利払いに充てる国債費が
29年度には41.3兆円に達する見通しとなった。
社会保障費の41.0兆円を上回り、
日本政府最大の歳出項目となる。
利払い費だけで21.6兆円と25年度(10.5兆円)の2倍を超える。
背景にあるには、国債残高の増加と金利上昇だ。
2025年12月末の「国の借金」(国債+借入金+政府短期証券)は
1342兆1720億円だった。
24年12月末から24兆5355億円増え、
過去最大となった。
税収で返済する必要がある普通国債の発行残高は
1094兆4874億円と、23兆4827億円増だった。
金利も上昇中だ。
そこで、AIに「日本政府の借金は、
国内で消化されているので、
問題にはならないと主張していたのは誰?」と聞いてみた。
(以下、AI)
「日本政府の借金(国債)は国内で消化されており、
自国通貨建てなので破綻することはない」という主観や
理論を展開している人物は複数いますが、
代表的なのは以下の人々やグループです。
1、政治家・経済学者(積極財政派)
安倍晋三氏(元首相)。
「日本政府は通貨発行権を持っており、
国債は自国通貨建て。
さらに日本銀行が買い取っているので、
債務不履行(デフォルト)になることはない」
という趣旨の発言を繰り返し、積極的な財政出動を肯定していました。
高市早苗氏。安倍元首相の考えを継承し、
国債発行による戦略的な投資を重視する立場を取っています。
三橋貴明氏(経済評論家)。
「政府の負債は国民の資産である」という視点から、
国内消化されている限り財政破綻はあり得ないと強く主張しています。
2、現代貨幣理論(MMT)の提唱者・支持者
MMTは、
「自国通貨を発行できる政府は、インフレ率が許す限り、
財政赤字を気にする必要はない」とする理論です。
ステファニー・ケルトン氏(ニューヨーク州立大学教授)。
MMTの旗手として知られ、日本を「MMTの先駆的事例」
として挙げることもあります。
中野剛志氏(評論家)。
MMTの考え方を日本に広めた中心人物の一人です。
主な根拠と論点:彼らが「問題ない」とする
主な根拠は以下の通りです。
自国通貨建て:外貨建て債務ではないため、
返済のための円は理論上いくらでも発行できる。
国内消化率:国債の多くを国内の金融機関や日銀が保有しており、
資金が海外へ流出していない。
対外純資産:日本は世界最大の対外純資産国であり、
国全体で見れば「貸し手」である。
注意点:一方で、財務省や多くの主流派経済学者は、
「借金が際限なく増えれば通貨の信用が失われ、
ハイパーインフレや急激な円安を招くリスクがある」と警告しており
、現在も激しい議論が続いています。
(AI、ここまで)。政治家以外の個人名に関しては
AIの解説が妥当かどうかは分からないが、
他の部分は私の理解とほぼ同じなので、そのまま引用した。
私は拙著「日本が幸せになれるシステム」で、
多くのデータをもとにMMTを批判している。
なぜなら、過剰な国債発行は、
通貨の信用低下と、ハイパーインフレを招くからだ。
また、国債残高の増加は、
国債費の増加を意味するので、
歳出を圧迫する。
利払い費はマイナス金利政策時ですら
7兆円を超えていたが、
金利が上昇すれば急増は不可避だと指摘した。
下記政府資料のP22には、
国債残高と金利、利払い費の関係グラフが載っている。
参照:日本の財政関係資料
https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202504_00.pdf
国の借金肯定派の3つ主張は奇妙な見解だ。
1、 2は財政ファイナンスを肯定するもので、
通貨の本源的な価値は「信用」であることを無視している。
通貨の乱発や、中央銀行の過剰な国債保有は将
来的に国の信用を低下させる。
また、「政府の負債は国民の資産である」の現実は、
政府負債の膨張と信用低下により、
国民は強制的に不良資産を拡大させられていることを意味する。
つまり、政府の破綻は、国民の破綻に繋がるものだ。
3番目は、世界の「貸し手」であるのは民間で、
政府は「借り手」である事実を「国全体」とすることで覆い隠している。
純債務で見ても日本政府は世界最大の赤字国(GDP比)なのだ。
この主張は民間の資産も政府の資産と見なしていることに等しい。
つまり、第二次大戦後に政府が行った、
預金封鎖、デノミ、ハイパーインフレなどを受け入れることを意味する。
(上記資料、純債務P16、政府債務の歴史P56)
それでも、「債務不履行(デフォルト)になることはない」などと、
リスクは遠い先の話で、目先の景気浮揚、財政政策のためには
更なる借金が必要だと、国債残高を増やし続けてきた。
ところが、冒頭の「国債費が日本政府最大の歳出項目」が示しているのは、
その借金が財政を圧迫し、景気浮揚を妨げていることだ。
リスクは先の話ではなく、今現在なのだ。
上記資料P8を見てみよう。
ここには1990年度と2025年度の歳出・歳入の内訳比較が出ている。
1990年度を基準としているのは、
その後30年近く、その年度が税収トップであったからだ。
名目GDPは減速しつつも1997年度まで成長するが、
その後はやはり25年間ほど成長を止めた。
この比較で分かるのは、
政府の財政政策は景気浮揚に繋がるようなことには
使われていないことだ。
35年前と比較して増えたのは防衛費が
2倍以上になったくらいで、
文教及び科学振興は微増、公共事業やその他はむしろ減少した。
予算そのものは1.74倍にもなったのに、
何故、防衛費以外は減ったのか?
これが借金の恐さなのは、実感で分かる人は多いだろう。
借金が大きいと使える資金が減るのは、
個人であっても、政府であっても変わらない。
借金肯定派の「国と家計とは違う」
という主張は詭弁でしかない。
だからこそ、世界のほとんどの国々は財政均衡を目指し、
国の借金を警戒しているのだ。
日本が弱くなった大きな要因の1つは、
積極財政を国債に頼った政治家たちにあるのだ。
このページの下の図はもっと興味深い。
消費税導入以降に増えた税収は消費税だけで、
所得税や法人税は長い間減少する。
その為、総税収すら減少する。
なぜなら、消費税が景気後退に繋がったからだ。
これは3%の導入時も、5%への引き上げ時も、
8%、10%への引き上げ時にも起きた。
消費増税が景気の足を引っ張り、税収すら減らしたのだ。
(優先順位で所得税率や法人税率が引き下げられたことも税収減の要因だ)。
日本経済の最大のエンジンは個人消費だ。
そのため、家計を苛める消費税や社会保険料の引き上げは、
景気後退に繋がりやすいのだ。
近年の経済規模の拡大、企業収益の拡大に伴う税収増は、
多くの部分がインフレによる嵩上げだ。
そのインフレは通貨の過剰発行が主因で、
日本の競争力が戻ったためではない。
これで分かるのは、消費減税の財源を心配するのは的外れで、
これまでは所得減税、法人減税の財源が、景気後退につながる
消費税しかなかったために、総税収が減ってきたのだ。
今回の選挙では、家計の痛みを慮ってチームみらい以外は
揃って消費税減税を公約に掲げた。
これで景気が良くなれば、税収が増える可能性がある。
とはいえ、膨大な国の借金、歳出の3分の1を
超えようとしている国債費を鑑みれば、
もっと税収が必要だ。では、何処から取る。
家計支出の大半が食費とエネルギー、住居費で占められている現状では、
これまでのように無いところから取ろうとするのはもう限界だ。
ここは1989年度以前の日本がナンバー1だった頃の初心に返り、
徴税の優先順位を昭和の頃に戻して、有るところから取るしかないだろう。
国民の生活は元より、本当に国の存続を考えるのなら、
それしかないところまで来ている。

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