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世界はいずれAIのものになる?

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こんばんは、矢口新です。

「誰も知らない」を観て以来、
是枝裕和監督の映画が好きなので、
同氏の新作「箱の中の羊」を観てきた。

就学前の子供を失った夫婦が、
子供の記憶データを学習し、
見かけもそっくりになったAIボットを
レンタル養子にするという映画だ。
親の子供への忘れられない思い、
未練、後悔、謝罪の気持などが、
AIボットによって癒される反面、
AIなりに「意思」を持つ存在相手に戸惑いも感じていく。
これから観られる人もいるだろうから、
映画についてはここまでに留めておく。

ところで、私は毎日、海外メディアから
興味深い話題を1つ選び、
数行の英文だけを抜き出して日本文に訳して紹介している。
その英語のメルマガを読んでくれている人はご存じだと思うが、
先週土曜日のそれは、ウォールストリート・ジャーナルから
「あなたのチャットボットの記憶力の良さ。
それは必ずしも良いことではない」という記事だった。

どんなに覚えようとしても忘れてしまう人間に対し、
AIはデータを蓄積していく。AIは忘れない。
忘れてくれない。忘れられないのだ。
そんなAIがPCの中に留まっている間はいいが、
AIボットとして、自分の身近にいたらどうだろうか? 

「それは必ずしも良いことではない」というのは、
自分が忘れようとしている苦い記憶でさえ、
ボットは忘れず、事あるごとに思い出させてくれるからだ。

般若心経の教えを一言で言うならば「こだわるな」とのことだが、
忘却がその大きな助けとなる。
一方で、ボットはいつまでも「拘り続ける」のだ。

とはいえ、人間には「忘れていいこと」だけではなく、
「忘れてはならないこと」があるかも知れない。
では、いつまで覚えていればいいのかというと、
人間は死ぬので、命ある限りでしかない。
善行も悪行も、いずれは忘れ去られる。
それが人間の宿命だ。

ボットには、人間のような死はない。
壊れれば治せばいい。
部品を変えればどんどん進化する。
AIボットは何も忘れない。
知識も知恵も蓄積され、
「同じ過ちは二度と繰り返さない」かも知れない。
人類が滅びれば、
世界はいずれAIのものになるのかもしれない。

世界の権力者やビリオネアの中には、
不老不死を願う人たちがいるという。
それでも、人間は死ぬ。人の命は代わりがない。
そして、何をしてもいずれは忘れ去られる。

だからこそ、今、生きていることが、
かけがえのない命が貴重なのではないか。
楽しくても苦しくても、背負ったものを降ろす日が来ることは、
決して悪いことではないのだ。

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