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AI投資のリスクとリターン

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こんにちは、矢口新です。

今の世界経済はAIを中心に動いている
と言っても過言ではない。
AI特需を受けられる企業の業績は急拡大する一方で、
あぶれた所はコスト高の煽りを受けたり、
仕事を奪われたりしている。

先週の米地区連銀経済報告では、
経済活動は控えめに拡大する一方で、
物価は緩やかに上昇していると言うものだった。
米経済を支えているのはAIと防衛産業だが、
それらの急拡大によるコスト高が
他の成長を阻害するようにもなっている。
例えば、建設投資を見ると、
データセンター向け投資が
2023年12月との比較で500億ドル増えたのに対し、
他の民間建設は1230億ドル減だった。

それでも日本では、
AI活用に乗り遅れるなとの風潮が目立つようだが、
米国ではAI企業への逆風が吹いている。

9月3日発行の英語のメルマガでも取り上げたが、
「もっと率直に言えば、テクノロジー業界の外にいる
多くの人々にとって、こうした企業は悪役として
産み落とされることになる。
創業者らが文化的な英雄として崇められていた
2010年代初頭からは、劇的な変化だ」とまで、
言われているのだ。

参照:「毎日、数行! マーケット情報で学ぶ経済英語!(無料)」
https://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-12977795524.html
登録:https://www.mag2.com/m/0000142830.html

また、AI向けデータセンターの急増は、
単なる「IT産業の設備投資」の問題ではなく、
電力をめぐる社会全体のコスト負担という問題になりつつある。

日本では、AIの普及を背景に
データセンターの規模が今後8年間で約4倍に拡大し、
10兆円規模の投資が見込まれている。
大量の電力を必要とするデータセンターが
各地に建設されれば、発電所だけでなく、
送電線や変電所などの電力インフラにも
巨額の追加投資が必要になる。

実際、電力需要の増加を背景に
送配電設備への対応が迫られており、
そのコストの一部は託送料金(送電網の利用料)を通じて
電気料金に反映される。
関西電力の託送料金は、
2026年11月から引き上げられることが
経済産業相に承認された。

IEAは世界のデータセンター電力消費が
2024~2030年に年率約15%で増加し、
2030年には2.3倍になると予測している。
データセンターの電力需要は大きいうえ、
AI処理などのため簡単には止めたり減らしたりできない。
その結果、電力需要が集中する時間帯には、
発電余力が小さくなり、
価格の高いガス火力が電力価格を
決める場面が増えるとの分析もある。

ここで参考になるのがアイルランドだ。
米国のIT企業などが集積する同国では、
データセンターが2025年に
国内電力消費の約23%を占め、
すでに全国の家庭が使う電力に迫る規模となった。
2030年には30%に達する可能性があるという。

2015~2023年だけでデータセンターの拡大によって
一般家庭が負担した電気料金が
累計7億1500万ユーロに上ったとの試算が出ている。
データセンターの巨大な電力需要が、
発電コストや電力需給、送電網への投資負担を押し上げ、
その一部が市場価格や料金を通じて
家計の負担を高めたのだ。
別の試算ではデータセンター起因で
家庭の電気料金が最大600ユーロ規模で
上昇しうるとも指摘されている。
当然、IT企業に対する住民の不満は高まっている。

日本でも事情は基本的に同じだ。
AIを成長産業としてデータセンターを
大量に誘致すれば、電力需要は増える。
そこで原発や再生可能エネルギー、
あるいは他の電源を確保し、
同時に送電網を増強する必要がある。
だが、そのためのリスク(コスト)増を
誰かが負担しなければならないのだ。

AI投資によるコスト高は
データセンター向けの電気代だけではない。
時価総額世界最大級の企業らによる巨額投資で、
土地、建設費、冷却水、半導体、金利など
全てが値上がりしている。
このことは、金利、建設費などの値上がりを通じて
住宅価格の高騰にも繋がっていると言える。
また、地球に新たな負担をかけている
(温暖化に繋がる)という意味で、
そのリスク(コスト)は我々が皆で負担している。

問題はリスクとリターンで、
これだけの膨大なリスク(コスト)に見合うリターンが、
果たして得られるのか? 
得られるとしても公平な分配が望めないからこそ、
各国、各社はより大きな利益を求めて覇権争いをしているのだろう。
ここでは、AIエージェントの暴走リスクにはあえて触れない。

AI投資のリスクは我々が皆で負担している。
我々個人としては、
AI利用でコストを回収するしかないのだが、
それはまたAI関連企業の
リターンを押し上げるという仕組みにもなっている。

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