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半藤一利、最後の原稿「戦争というもの」

慰霊の日を知らない人が75.5%だという。
かく言う私もテレビなどで報道されているのを気付いていたくらいで、知っていたとは言えない。

「6月23日は沖縄戦で旧日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日から76年にあたる『慰霊の日』だった。1965年に制定されており、この日は沖縄では役所や学校は休みになる。各地では追悼式が開かれ、平和への祈りに包まれる一日だ。一方で、沖縄タイムスとヤフーとの共同アンケートでは、全国からの回答者2000人のうち、75.5%にあたる1509人が慰霊の日を『知らなかった』と回答した。慰霊の日を元々知っていたかどうかは人から直接話を聞いたり、学校教育で沖縄戦について学んだりした経験が関係していることがアンケート結果から読み取れた。」

恥ずかしながら2021年1月に逝去された半藤一利の著書を読むのは初めてだった。
朝のNHKニュース番組で昨年書かれた「最後の原稿」を取り上げていたので、アマゾンで注文した。戦争というものに関する名言についてまとめた本だ。

戦争というもの(半藤 一利:¥1430)

冒頭には「人間の眼は、歴史を学ぶことではじめて開くものである。」と、
半藤一利署名入りの手書き色紙の印刷がある。

そして、山本五十六の言葉から始まり、戦争に突き進み、飲み込まれ、ミッドウェー海戦、硫黄島玉砕、沖縄戦と進んでいく。

「沖縄県民斯ク戦へリ」
「リ」は完了にあらず県民はいまも戦う

そして、最後には冒頭と同じく、半藤一利署名入りの手書きの印刷で
「戦争は、国家を豹変させる。歴史を学ぶ意味はそこにある。」で終わる。

半藤一利は私の母とほぼ同世代。
父よりは少しだけ下だ。私自身、戦争の話は両親や祖父母、伯父伯母たちから多く聞かされてきた。
父や母の兄たちも、戦死や満州での病死、シベリア抑留経験などがあり、郷里は空襲も艦砲射撃も受けた。おかげで昔のものは墓地と、菩提寺に保管されている過去帳以外には何もない。

しかし身内から聞いた戦争の話は、あっけらかんとした、どこか明るい話だった。
私が子供だったせいかも知れない。もともと明るい人たちの集まりだったのかも知れない。
苦労話や、落ちぶれた話もすべて笑い話のようだった。

半藤一利の「戦争というもの」。すべてが当事者の発言だ。
人間の良いところも、愚かなところも描かれている。
それらすべてが悲惨な結果に繋がっていく。

著者には教訓の思いがあったようだが、私が感じたのは哀しみだ。ものすごく哀しい本だ。

教訓の意味で私が感じたものは、今の世界情勢だ。外国からの圧力に対してどう振舞えばいいのか? 負けるから戦ってはダメなのか? 逃げていれば何とかなるのか? 勝てるなら戦っていいのか?

また、歴史を学ぶことは重要だが、
今目の前にある問題を学ぶのも少なくとも同様に重要だということだ。

何よりも以下の問題は日本人だけで解決できるものなのだ。

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