To be or not to be
From 矢口新
自宅のトレーディングルームより……
サッカーワールドカップが開催されていますが……
日本選手の健闘を見るたびに、
「まずは、ベストを尽くしてほしい」という
気持ちになっています。
次はポーランド戦を控えていますが、
悔いのない試合をして欲しいものです。
ところで、
そのポーランドも加盟するEUについて、
こんなニュースが入ってきました。
ドイツのメルケル首相と、
フランスのマクロン大統領が、
6月28日・29日に開催されるEU首脳会議を
前にベルリン郊外で会談を行い、
ユーロ圏共通の予算を創設することで合意に至ったそうです。
メルケル首相は会談後に、
「ユーロ圏共通予算が投資促進に利用されることを確実にしたい。
ユーロ圏加盟19カ国間
の統合強化に向けて、ユーロ圏は新たな段階に入る」
と述べました。
一方、
マクロン大統領はユーロ圏共通予算は
2021年には運用が開始されると表明したうえで、
予算の規模、財源はをどう確保するのかなどの詳
細については、ユーロ圏財務相が年内に策定すると述べています。
今年(2018年)はユーロ導入から18年になりましたが、
このようなユーロ圏共通予算の話がようやく話題に上ったのかと、
個人的には思います。
なぜそう思うのかというと、
ユーロ圏はその誕生前から、維持するためには、
参加国の通貨金融政策の統合だけでなく、
財政・年金・社会保障費の統合が不可欠だといわれてきたからです。
しかし現実は、
ユーロ、ECBの創設などの通貨金融政策の統合は
かなり早い段階で行われたものの、
財政・年金・社会保障費の統合は進んでいません。
もちろん、
共通予算の話は、各国の財政・年金・社会保障費の話とは、
まったく別のものです。
しかし、最終的な統合につながるための要素である点は同じでしょう。
財政の統合がうまくいっていないことは、
別の弊害も起こしています。
この記事をお読みの皆様の中には、
「PIIGS」という言葉をご存知の方もいらっしゃるでしょう。
これは、
ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシア・スペインの頭文字です。
つまり、金融・財政部門の改善が自国だけでは
達成できない可能性がある国をまとめて表現しています。
PIIGSのような国が出現してしまった一つの理由として、
財政が違う各国に一律な通貨金融政策で
向かってしまったことがあげられます。
また、今回の会談の当事者である、
フランスとドイツにとっても、
ユーロ存続は国策上、重要な課題となっています。
オランド前大統領の元で、
深刻な失業の拡大と景気の低迷に苦しんでいたフランスは、
積極的な経済政策およびEU残留を掲げるマクロン氏を大統領に選びました。
一方、
2015年より国境を開放して移民を受け入れる政策を掲げているドイツが、
この政策を転換しないとするならば、
ユーロ存続に向けて進まないのは、
自己矛盾となるでしょう。
今回の記事のタイトルにもある
「To be or not to be」は
シェイクスピアの「ハムレット」の名台詞です。
日本語では、
「生きるべきか、死ぬべきか」と訳されています。
(この後に続く「それが問題だ」も有名ですね。)
先ほど触れた共通予算の導入は、
さしずめ、ドイツとフランスにとっては、
「生きるための決断」だったのかもしれません。
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財政力が大きく異なる国々が、それぞれの主権で同じ通貨を使うことへの疑問を常々持っていましたが、ずばり解説していただきありがとうございました。EUは複雑で、その中で暮らしてない我々にはなかなか分かりにくいです。また、機会を見て解説をお願いします。
Andy様
コメント、ありがとうございます。
お分かりいただけたのこと、
非常にうれしく思います。
世界で起こっている問題について、
分かりやすく解説することには引き続き取り組んでいきますので、
よろしくお願いいたします。