ウィズ・コロナのリスクとリターン
こんばんは。
投資の学校講師の矢口新です。
新型コロナウイルス対策の
「まん延防止等重点措置」が発令されました。
もっとも、最近のクラスターは主に家庭内で起きているので、
どこまで効果的かは疑問です。
ところで、高齢者である私にも
「追加(3回目)接種のお知らせ」が届きました。
迷っています。
私は人類が疫病と戦うにはワクチンが欠かせないとの知識を得ていたので、
2回目接種までは迷いませんでした。
特にデルタ株の恐さは、
ワクチンによる副反応の恐さを遥かに凌駕していると思えたからです。
何事もリスクとリターンです。
どんなリスクでも、
生きている限り完全になくすことはできません。
鳥インフルエンザや豚コレラのリスクを、
人類にとってはより完全に排除できる鳥や豚の殺処分でも、
疫病を絶滅させることはできないでいます。
また、ロックダウンなどの行動制限は、
いわば経済活動の殺処分でしたが、やはりほとんど効果は見られませんでした。
むしろ、日本人のようなマスク着用の徹底の方が、
効果があったように思えます。
今、私が迷っているのは、オミクロン株の恐さが、
3回目接種の副反応の恐さを超えるかどうかが分からないからです。
リスクを取るだけのリターンが得られないかも知れないのです。
世界の大勢は、「まん延防止等重点措置」を含む行動制限などの短期決戦から、
ウィズ・コロナに移行し始めています。
日本でも重症者の減少は顕著ですが、世界の各地で、
集中治療を受けているコロナ患者数は以前の流行時より少なくなっています。
英政府は1月19日、
オミクロン対策として先月イングランドで導入した行動制限を
ほとんど解除すると発表しました。
20日から在宅勤務の推奨をやめ、
店舗や学校でのマスク着用義務を撤廃しました。
イングランドでナイトクラブや大型施設を利用する際に必要だった
ワクチン接種証明や陰性証明の提示も、26日から不要となります。
陽性者に自己隔離を義務付ける規定も近く廃止します。
スコットランドも24日にほぼすべての制限を解除しました。
新型コロナ感染者数がピークを過ぎたとして、
新型コロナとの共生をはかると言うのです。
何とも極端な国です。
マスクも要らず、
陽性者でも自己隔離しなくていいのです。
つまり、警戒しながらのウィズ・コロナではなく、
無防備でもいいとします。
もっとも、無防備とするのか、警戒するのかは、
もはや政府が関知するところではなく、
自己責任の個人問題だと言うことです。
カナダのオンタリオ州もコロナ関連の制限解除に向かっています。
フランスは2月以降、在宅勤務の推奨をやめます。
スペインは春からの観光者誘致に賭け、
タイは2月から来国者の検疫免除措置を再開します。
それでも、追加(3回目)接種が明らかに感染リスクを下げるならば、
受けていいのかも知れません。
ところが、
「米ファイザーと独ビオンテックが開発したような新型コロナウイルスの
メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンのブースター(追加免疫)接種を受けても、
オミクロン変異株の感染を防げなかったことが南アフリカ共和国での研究で明らかになっ た」
そうです。
参照:mRNAワクチンのブースター、オミクロン株の感染防がず-南ア研究
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-19/R5YL5ZDWRGG301
また、世界に先行して4回目接種を進めているイスラエルでも、
オミクロン株の感染拡大を止められないでいます。
参照:Preliminary study in Israel shows fourth Covid vaccine shots are less effective against omicron
https://www.cnbc.com/2022/01/17/omicron-preliminary-study-in-israel-shows-fourth-covid-vaccine-shots-are-less-effective.html
4回でも足りないのなら、ファイザーの社長が示唆するように、
今後、半年毎に1回でも打ち続ければ効果が現れるようになるのでしょうか。
それは、
止めた方が良いと言う警告があります。
「欧州連合(EU)の医薬品規制当局は11日、新型コロナウイルスワクチンのブースター (追加免疫)接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。
欧州医薬品庁(EMA)は、4カ月ごとのブースター接種を繰り返すと最終的に免疫力 が低下する可能性があると指摘。各国はブースター接種の間隔をより空け、インフルエン ザ予防接種戦略で示された青写真のように寒い季節の到来に合わせるべきだとの見解を示 した」
「ブースター接種についてEMAでワクチン戦略などの責任者を務めるマルコ・カバレリ氏 は『一度や二度ならともかく、何度も繰り返すべきと考えるものではない』と指摘」した とある。
参照:ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ
https://toyokeizai.net/articles/-/502217
当然のような気がします。
ワクチンとは、免疫獲得のための疑似感染させるために、
いわば疑似ウイルスを注入することだからです。
ワクチンでの感染は疑似感染であるが故に、
真の感染ではない「何か」別の副反応などを伴います。
多すぎれば、
予期せぬ弊害が出ることも想定内です。
オミクロン株が最初に南アフリカで発見され、感染力は強いですが、
ほとんどが軽症か無症状だと観測された時、
「オミクロンの出現はコロナ蔓延終焉のシグナルか」という記事が東洋経済に載り、
私もブログなどでご紹介しました。
参照:オオカミ少年? 繰り返される行動制限
https://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-12714157950.html
それを裏付けるようなことが、最近、
米疾病対策センターから発表されました。
「米疾病対策センター(CDC)がカリフォルニア州とニューヨーク州の昨年のデータを調 べたところ、ワクチン未接種で感染歴がない人は、ワクチン接種者や既感染者よりも大幅 にリスクが高かったという。
そして、ワクチンを接種した場合よりも感染歴のある方が予防効果は高かったと明らかに した」
参照:デルタ株の感染拡大時、感染歴による予防効果がワクチン上回る=CDC
https://jp.wsj.com/articles/prior-covid-19-infection-offered-better-protection-than-vaccination-during-delta-wave-11642630033
つまり、疑似感染による免疫獲得効果は、
真の感染によるものを超えられないということです。
これも物事の成り立ちからして十分に納得がゆきます。
このことは、オミクロン株への感染は、
追加接種のリスクより小さいだけでなく、
より大きなリターンの期待すらあることを意味します。
そうは言っても、私には喘息という既往症があり、
オミクロン株感染でも重症化しかねない、少数派に属します。
喘息には、今年の冬も悩まされました。
とはいえ、恐いのはオミクロン株だけではありません。
インフルエンザやただの風邪でも、
喘息持ちにはリスクが大きいです。
しかし、このリスクを完全に排除しようとすれば、
生きていくことすらできません。
私は喘息の発作で、
2回死ぬような目にあったことがあります。
熱中症でも、一度は家に這うようにして帰り着いて、
20時間ほど眠り続けました。すべて5年前から10年前の間の出来事です。
ピンピンコロリが死ぬ時の理想ではないかと言われることがあります。
死ぬ直前、あるいは短期間前までは通常の生活を送っていて、
苦しむ時間が短く病死することです。
喘息や熱中症でのコロリはそれに近く、
コロナでの犠牲も近いように思えます。
一方で、経済の殺処分による犠牲は、
多くの場合、苦しみ抜くことになります。
何事もリスクとリターンです。
1つのリスクを過剰に恐れることは、
他の取らなくても済んだリスクを取ることにもつながります。
オミクロン株対策として最もリスクが少ないのは、
規則正しい生活を送り、無理はせず、汚れた手で鼻や口には触れず、
マスクをすることではないでしょうか。
それでも感染することはあるが、
基礎体力があれば重症化しないと言えます。
それで本当の免疫が獲得できれば、
ワクチンの追加接種という余分なリスクを取らなくても済むのです。
追加接種を受けるかどうか、
こうしてリスクとリターンを見ていくと、迷うほどのこともないのかも知れません。
<講師プロフィール>
矢口新(やぐち あらた)
1954年生まれ。
金融業界の第一線で30年以上にわたり活躍し続け、
プロディーラーにも師と仰がれる天才ディーラー。
東京・ニューヨーク、ロンドンと世界3大金融市場で活躍し、
さらには為替、債券、株のすべてに関わるという
非常に稀有なキャリアを持つ。
相場を動かすプロの裏の裏まで知り尽くしており、
投資を真剣に学びたいという意欲ある方々との交流にも熱心。
■ 本日の出来高急増銘柄
※上昇銘柄の推奨などではありません。
※投資の学校の全講師の手法に使える、
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出来高急増銘柄が注目なのか、その理由と、
本銘柄を抽出した根拠はこちら。
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売買の際には、ご自身でチャート分析、
ファンダメンタルズ分析を行っていただき、
売買をする際には自己責任にてお願いします。
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日付:1月25日
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【5】KDDI(9433)
株価(終値):3,653
日付:1月25日
売買代金(千円):23,933,250
*ランキングは売買代金の
総額に基づく順位を示したものです。
*この銘柄一覧は、
特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
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