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市場集中制とOTC市場

こんばんは。
投資の学校講師の矢口新です。

私は、これからはますます短期トレードが機能するとお伝えしている。

長い間、長期投資を曲がりなりにも機能させてきたマネーの拡大が、2021年末頃を境に、均衡から縮小に転じたからだ。

そのマネーの拡大は、
量的にはリーマンショック後とコロナウイルス・パンデミック後に異常な規模となり、
質的にはほぼゼロ金利やマイナス金利など異常なレベルにまで達していた。
そして、それが数十年来のインフレにつながったことで、世界は金融の「正常化」を急いでいる。

その異常さは、金融・経済の構造や歴史から見て、
到底正当化できるものではなかったので、その正常化も時間と副作用を伴うことは避けられないと言える。

このことは、今の市場で起きていることが、単なる調整などではなく、時代の変化であることを示唆している。

兆候は随所に表れている。
仮想通貨やNFTなどのバブルが崩壊し、世界のM&AやIPOの取り扱い金額も急減した。
世界のマネーストックM1も40年以上ぶりに減少に転じた。
このことは、私なども基本的には右肩上がりの相場の中で生きて来たことを示している。

今後の長期投資は、投資物件の選別や銘柄選択がより重要となる。
魅力的な個別株はいつの時代にも存在するが、インデックスでの運用はより困難となり、
投資物件を厳選しなければならなくなる。基本的に何でも上がった時代は終わったのだ。

また、コロナ対策として経済の殺処分を選択し、
その悪影響への対策として膨大な資金を供給することになったことが象徴しているように、
少なくともこの20数年間の世界の政治経済は行き当たりばったりで、右往左往の連続だ。

その結果として、
多くの国が膨大な累積財政赤字と公的債務を抱え、
貧富格差の拡大やコロナ対策への不満や実害から、社会全体が不安定になっている。

そして、マネーが均衡から縮小に転じたと言っても、
人類が初めて経験している膨大な資金がまだ市場に滞留している。

これが、リスク回避やより良い投資物件を求めて右往左往することになるのだ。
このことは、ボラティリティの高まりは避けられないことを示唆している。

これらのことを踏まえて、私自身、日経平均先物ミニとFXでの短期トレードを本格的に始めた。
本格的にというのは、投資教育のために自分も実践するという補助的なトレードではなく、
収益源確保のために短期トレードに合わせた生活をするということだ。

私がプロのディーラー時代に行っていたことは、短期トレードとはいえ、数時間から数週間に及ぶ保有を伴っていたが、
今、行っているのは数分から数十分間持っているだけの、5分足以下のローソク足を手掛かりに行うトレードだ。

そこで、今更ながらに気付いたことがある。
株式先物とFXの値動きの「癖」の違いだ。
そして、その違いは市場集中制とOTC市場の違いにも起因しているのではないかと考えているのだ。

あなたが株式や先物を買う時、どの証券会社を通しても、あなたの買いは証券取引所や先物市場につながれ、
あなたはあなたと同じような投資家から買うことになる。

指値で買えば、あなたの買い指値(ビッド)を誰かが売ってくる。
成り行きで買うと、あなたは誰かの売り指値(アスク、あるいはオファー)を買うことになる。
基本的には、買い手も売り手も大小の違いはあれ、同じような投資家だ。

一方、外国為替市場や債券市場といったOTC市場では、マーケット・メーカーがビッド・アスクを建てており、
あなたの取引相手は常にそうしたプロの業者たちだ。

そして、プロのマーケット・メーカーたちは常にビッド・アスクを提示し、顧客相手だけでなく、お互い同士でも叩き合っている。

これはFXといったOTC市場では、そうしたプロの業者たちの影響をより多く受け、
株式や先物などの市場集中制では、その影響がより小さいことを示している。

これが値動きの「癖」に繋がらないはずがないというのが、最近の私の気付きだ。

これまでのところ、私自身のFXのパフォーマンスは、日経先物ミニのそれをはるかに勝っていた。
その理由は、もしかすると私がOTC市場で育ったことが大きいのかも知れない。
私は自然にプロの業者たちの動きを頭に入れているのだ。
とはいえ、個人投資家である今の私にとっては、プロの業者たちの影響が少ない方が楽に決まっている。

この気付きを得たことで、私の日経先物ミニのパフォーマンスが、FXを上回ることができるのではないかと期待している。

<講師プロフィール>

矢口新(やぐち あらた)

1954年生まれ。
金融業界の第一線で30年以上にわたり活躍し続け、
プロディーラーにも師と仰がれる天才ディーラー。

東京・ニューヨーク、ロンドンと世界3大金融市場で活躍し、
さらには為替、債券、株のすべてに関わるという
非常に稀有なキャリアを持つ。

相場を動かすプロの裏の裏まで知り尽くしており、
投資を真剣に学びたいという意欲ある方々との交流にも熱心。

  • コメント ( 2 )

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  1. 上原孝

    私も前までFXを対象にしてましたが、最近日経先物ミニを取引対象にしています。
    理由
    その1 FXの場合業者との相対取引になりますので、公平性が確保されているのか疑問。
    その2 デイトレが主体なので日中に値幅がある。夜は弱い(早く寝る)
    その3 対象が一つである。ゆえに集中出来る。
    その4 簡素なテクニカルのみでトレード出きる。
    その5 FXよりは超短期売買の癖(自分だけの考えだけど)が分かりやすい。
    その1からその5の中で
    矢口先生の理由はどれに近いのか知りたいです。

  2. 上原孝

    私も最近日経先物ミニを始めました。前までFXをやってましたが、
    FXは相対取引なので公平性のめんで疑問を感じていました。
    FXは手数料無料ですが、公平性、スプレッドのめんで業者により開きが多いので、何か違和感を感じていました。
    日経先物ミニはその点で心配しなくてもいいと思い、手数料も安いので少額で始めてみました。
    ほかの理由
    その1 午前中に値動きがある。(夜、寝るのが早い)
    その2 FXと違い銘柄が一つ。 (一つに集中出来る)
    その3 最初の日経ミニを始めた理由
    その4 午前中暇がある。
    その5 株式は銘柄選び、その他ファンダメンタルズ、テクニカル分析やることが多すぎる。
    今、勉強中なので矢口先生の日経先物ミニの講座を期待しています。

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