【2023年3月27日】江守哲のコモディティコメント
こんにちは、江守哲です。
24日のコーンは反発。2週連続のプラスとなった。中国が新たに米国産コーン20万4000トンを買い付けた。これで14日以降の累計購入規模は275万トンに達し、過去9日に中国が確認した買い付けは8回となった。米農業誌ファーム・フューチャーズが実施した米作付意向面積調査によると、2023年のコーン作付面積は8767万7000エーカーと、前年の8857万9000エーカーを1%下回った。
欧州穀物協会(Coceral)は、EUと英国のコーン生産高予測を6450万トンから6230万トンに下方修正した。
ウクライナ農業省が公表した統計によると、ロシアによる侵攻に伴う収穫減や輸送の混乱で、22〜23年度の穀物輸出は24日時点で計3660万トンにとどまっている。 ウクライナ高官は、南部ミコライフの港湾を黒海穀物輸出合意の対象に含めるには、同地域の治安改善が必要だとした。
大豆は、小麦・トウモロコシ相場高に連れて4日ぶりに反発。一時1405.00セントと、昨年11月4日以来の安値を付けた。米農業誌ファーム・フューチャーズが実施した米作付意向面積調査によると、2023年の大豆作付面積は8962万エーカーと、米農務省の22年推計(8745万エーカー)を2.5%上回った。
小麦は反発。2021年7月以来の安値を付けた先週から上昇に転じた。米農業専門誌ファーム・フューチャーズが農家を対象に行った調査では、2023年の小麦作付面積は4574万4000エーカーで、22年の4573万8000エーカーとほぼ横ばいとする結果が示された。
ロシア政府が、小麦輸出は停止しない一方で、輸出業者に対し、農家へ支払われる額が生産コストの平均値を十分に補う金額になるよう求めていることが判明した。小麦輸出価格を1トン=275〜280ドルに維持することを意味するという。ロシア経済紙ベドモスチはこれに先立ち、情報筋の話として、過去数週間の国際価格の急落を受け、政府が小麦およびヒマワリ輸出の一時停止を勧告する可能性があると報じていた。
これについて関係筋は、そうした計画はないと指摘。ある関係者は、最近のシカゴとパリ両市場での小麦価格下落を受け、ロシア政府が国内農家の収入を懸念し始めたとした。別の関係者は、政府が輸出業者に対し、「次の通知があるまで」小麦輸出価格を1トン=275ドル以上に設定するよう勧告したと明かした。従わない業者には、輸出に必要な植物検疫証明書の取得に問題が生じる可能性があるという。今回の件に関し、ロシア農業省および経済省はコメントを控えた。
今週の農産物市場では、輸出需要や米農務省が発表する作付け意向面積報告などが注目される。マクロ経済の先行き不透明感が強まる中で、どちらかと言えば弱材料が目立っている。米農務省は31日に今年の米国産作物の作付け意向面積を公表する。米農務省は2月開催の農産物展望会議で、コーンの作付面積が昨年から拡大する一方、大豆は変わらないとの見通しを示した。穀物アナリストからは、作付け意向が展望会議の政府予測におおむね沿った水準になるとの声が聞かれる。
米国産穀物の輸出需要動向も引き続き注目される。今週は中国向け販売が相次いで判明したことが、コーン相場を支えた。コーンは直近の週間輸出成約高も市場予想のレンジ内に収まった。一方、大豆の成約高は予想を下回り、輸出需要の弱さが意識された。調査会社がブラジル産大豆の生産高見通しを引き上げたことも、米大豆相場を圧迫した。
米中堅銀行シリコンバレー銀行などの破綻に端を発する金融システム不安がくすぶる中、金融市場では神経質な取引が続いている。目先はドルが軟調に推移するとの予想が多く聞かれ、ドル安自体は米穀物相場の支援材料だ。ただし、金融機関の融資が鈍り、景気をさらに下押しするとの見方も強まっている。景気先行きに対する懸念は穀物相場には逆風となる可能性がある。
3月27日 17:28
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