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子供たちの人生は自分たちのよりも悪い?

米ウォールストリート・ジャーナルとシカゴ大学との共同調査で、
「ほとんどの米国人が、子供たちがより良い生活を送れるか懐疑的」であることが分かった。

(参照:Most Americans Doubt Their Children Will Be Better Off, WSJ-NORC Poll Finds)
https://www.wsj.com/articles/most-americans-doubt-their-children-will-be-better-off-wsj-norc-poll-finds-35500ba8

上記の記事に見られるチャートでは、
将来に「懐疑的」な米国人は調査開始の1990年以降で最高の8割近くに達している。

最も大きな要因は米国経済への自信喪失なのだが、
それ自体はリーマンショック時を下回っている。

それでも今回の悲観が過去最高となったのは大卒資格価値に対する懐疑の強まり、
社会の分断化、気候変動など、様々な要因が加わったとされている。

他の記事などを総合すると、経済面に関しては、
銀行不安とインフレ、それに伴う金融政策が世界経済の回復を妨げるとされ、
この夏に卒業する大学生たちは就職難に直面しているとされている。

そうしたことを受け、世界銀行などは世界経済の見通しを
「失われた10年」なる可能性があると指摘した。

(参照:World Bank Warns of ‘Lost Decade’ for Global Economic Potential)

また、BOAグローバルリサーチが3月10-16日に実施したファンドマネージャー調査では、米景気の後退を予測するファンドマネージャーが増加した。米銀3行の相次ぐ破綻を受け、主な懸念がインフレから信用リスクに移った。特に米国のシャドーバンキング、米国の社債、米国の商業用不動産を含む先進国市場の不動産などへの懸念を募らせている。

商業用不動産は、コロナ対策による行動制限で需要が急減したのに、建設は概ね継続されたからだ。そこにインフレと、金利高、労働者不足、そして銀行不安が襲っている。米商業用不動産は年内に4000億ドル近い債務の返済期限、さらに2024年には約5000億ドルの債務が期限を迎えるとされる。

シティグループ調べの3月18日に終わる週のクレジットカード支出は前年比10.3%減と、前週の6.8%減から拡大、2020年4月以来の落ち込み幅となった。

加えて、サンフランシスコ連銀の1955年からの資料によれば、短期金利が長期債利回りよりも高い「逆イールド」は、その後に例外なく景気後退を伴っている。現在の逆イールドは2022年7月から始まっているが、「インフレ、金利高、労働者不足、銀行不安、商業用不動産懸念」などを鑑みれば、今回だけが例外となる可能性は低そうだ。

また、米国の預金の減少は2021年半ばから始まっているが、そうした中でMMFと債券が高利回りを提供していることで、ゴールドマンサックスは、米個人投資家は2023年に7500億ドル、2024年にはさらに5000億ドルの株式を売却すると見積もっている。

世界最大の経済で、概ね堅調に推移していると見られる米国が景気後退に至ると、世界銀行の見方、「世界経済の失われた10年」は、あながち杞憂だとは言えなくなってくる。

「子供たちが自分たちよりも良い生活を送れるか懐疑的」なのは、戦争や内戦の当事国ではもっと深刻だ。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「勝つまでの徹底抗戦」を公言している。日本を含む西側諸国はウクライナを支援しているが、それは和平に繋がる支援ではなく、戦争を継続させるための支援だ。善悪には触れず事実だけを取り上げて、誤解を恐れずに述べるならば、日本からの支援金は「勝つまでの徹底抗戦」に繋がり、結果的にロシア兵を殺害しているだけでなく、ウクライナの被害も拡大している。欧米の武器支援も、戦争の早期終了に繋がるものではなく、むしろ長引かせる効果を持っている。

欧米はウクライナを煽るだけ煽っていたが、ロシア侵攻後にもNATOへの加盟も、EUへの参加も認めていない。公式には、ウクライナは西側の仲間だとは見なされていない。NATO諸国の盾の扱いだ。ウクライナでは60歳以下、ロシアでは30歳以下の男性が徴兵の対象だ。ウクライナ、ロシアの双方に知人がいた私などから見れば、世界の仕打ちは残酷だ。

台湾も同様だ。先週、ホンデュラスが台湾と国交を断ち、新たに中国との外交関係を樹立した。中国の支援金目当てに台湾を捨てた。酷い話のようにも聞こえるが、これは日米などが過去に行ってきたことだ。

日米など世界は中国市場の魅力を目当てに、価値観を共有する台湾との国交を断った。それは、米中対立が取り沙汰され、台湾有事、尖閣諸島有事が想定されるようになった今も変わらない。日米ともに外交関係を築いているのは、中華人民共和国であって、中華民国は自称の国家、地域に過ぎないのだ。こちらも、世界の仕打ちは残酷ではないのか?

長く金融市場に携わってきた私などの見方では、米銀3行の破綻も、クレディスイスの破綻も、遠因は政府当局がつくったものだ。その見方では、これらの破綻、あるいは昨年来から相次いできた暗号資産関連の破綻は、個別の事例ではない。このことは、次があっても、次の次があっても不思議ではないことを示唆している。地政学的リスクも同じだ。

そんなわけで、私も米国人の大多数と同様、「子供たちの人生は自分たちのよりも悪い」のではないかと疑っている。日本の場合は、GDP比で世界最大の累積財政赤字、公的債務を抱えている上に、社会保障制度が「事実上の」崩壊の危機にあるために、尚更だ。日本で危機が表面化していないように見えるのは、借金を積み重ねることで、問題の発覚を先送りし続けているからだ。

センチメントは何かがあるとすぐに変わるので、悲観的になっても仕方がないのだが、今目にすることが出来る事実は、そうしたことを強く示唆している。

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