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何を信じるか? 信じたいか?

From矢口新
米国2024年の大統領選は、
共和党から立候補を表明しているドナルド・トランプ前大統領が起訴されたことで
不透明感が増している。

一方、民主党からは1968年に暗殺された
ロバート・ケネディ上院議員(1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領の弟)の息子(69歳)が立候補を表明し、
最新の世論調査ではジョー・バイデン現大統領や共和党のトランプ氏を上回る好感度を獲得しているようだ。

しかし、同氏ロバート・F・ケネディ・ジュニアは、
数々の陰謀論を広めてきたことでも知られているようで、
フォーブス誌は同氏が唱えてきた主な陰謀論をまとめている

参照:コロナ生物兵器説からJFK謀殺説まで ケネディJr.が唱える陰謀論の数々https://forbesjapan.com/articles/detail/63919

私も数々の陰謀論を聞いてきた。

大きなものでは御巣鷹山航空機事故(米軍)、
オームのサリン事件(北朝鮮)、米国の911同時テロ(米国内の勢力)などだ。

また、陰謀論としては出ていなくても、
イラク戦争やアフガニスタン戦争なども、
発生当初からの報道をブログなどで結果的に記録していると、
だんだんメディアの報道内容が変わってくるのを感じている。

イラク戦争などは国連の直接の担当者が事実を暴露し、
映画化された「バグダッド・スキャンダル」で、
イラクのフセイン元大統領の戦争準備が原因だったという見方が否定された。

しかしながら、国連がらみの利権が原因だとする「バグダッド・スキャンダル」こそが、
陰謀論だという見方もあるだろう。

つまり、「何を信じるか? 信じたいか?」は、報道の受け手に委ねられていると言ってもいいのだ。メディアの報道や、メディアに登場する識者たちの解説は、時の政府の「公式見解」であって、必ずしも真実とは限らないのは、歴史上の事件や人物の評価が時代と共に二転三転することでも分かる。

現在進行中のウクライナ戦争も同様だ。発生当初はロシアの仕業だとされていたロシアと西欧を繋いでいたノルドストリームの爆破は、ウクライナだった可能性が出てきた。以下にウォールストリート・ジャーナルの記事を引用する。(URLまで、和訳は矢口)

「米はウクライナにノルドストリームを攻撃しないよう警告していた。米中央情報局(CIA)はウクライナ政府に昨夏、ノルドストリーム・ガスパイプラインを攻撃しないよう警告した。CIAはロシアと欧州間の主要なエネルギー連結を破壊しようとするウクライナの策略の詳細な情報を取得していたためだと、このやり取りに詳しい当局者たちが述べた。

数週間後の9月26日に、パイプラインは破壊された。ウクライナはパイプラインの攻撃には全く関与していないと、強く否定した。

オランダの軍事情報当局者たちがCIAに伝えたところによれば、ウクライナの破壊工作チームがバルト海沿岸でヨットを借り、ダイバーたちのチームを使って、ノルドストリーム1と2のパイプラインの4本のパイプに沿って爆薬を仕掛けることを検討していた。
参照:U.S. Warned Ukraine Not to Attack Nord Stream
https://www.wsj.com/articles/u-s-warned-ukraine-not-to-attack-nord-stream-7777939b

ここにきて米国がウクライナに不利な情報を公開している。私は、ウクライナをNATOやEUに加えないための牽制かも知れないとも思う。以前にご紹介したオリバー・ストーン氏や遠藤誉氏の見解のように、ウクライナは利用され捨てられるのかも知れないとも思う。そうだとすれば、最も気の毒なのはウクライナ兵、ロシア兵を含む、戦争の犠牲者たちだ。

それはともかく、ノルドストリームの破壊はロシアの仕業だと報道された時、私は不自然だと感じた。何故なら、ノルドストリームは天然ガスの安価で安定した供給を望む西欧と、米制裁下でも輸出収入が得られる上に、西欧と米国の繋がりに楔を打つという意味でロシアにとって極めて重要な施設だったからだ。これを破壊するのはロシアと西欧を分断させたい勢力に違いないと考えたのだ。

ロシアのウクライナ侵攻直後には、ニューヨークタイムズに以下のような報道もあった。(URLまで、和訳は矢口)

親ロシア派による、ロシアはいつか欧州のパートナーになれるという30年越しの期待は、ロシアのウクライナ侵攻で最初に犠牲になったものの一つだともされている。

フランスのフィヨン元首相は「欧州はNATOの拡大に対するロシアの拒絶感を理解しなかった。それが、危険な対立を招いた」と私見を声明で公表したことで、プーチン大統領をかばうような発言だとして批判を浴びたため、「紛争の責任は、すべてプーチン氏にある」と立場を修正、ロシアの化学企業など2社の取締役を辞任すると表明した。

イタリアのレンツィ元首相、フィンランドのアホ元首相、オーストリアのケルン元首相もロシア企業の取締役辞任を表明した。それぞれ首相退任後、物流や金融企業の取締役に就任し、プーチン政権と欧州政界の深い絆の象徴とみられていた。

ドイツではシュレーダー元首相がロシアの国営石油大手ロスネフチの取締役を務めており、今年の2月初めには、国営ガスプロムの取締役候補に指名された。ガスプロムは、ノルドストリーム2の運営会社。
参照:Some, but not all, former European leaders quit Russian boards.

これで分かるのは、一時は欧州諸国の国策と言ってもいいロシアとの親密外交が、ウクライナ戦争で一変したことだ。とはいえ、西欧諸国はロシアを仮想敵国とするNATOの構成国でもあるので、欧州諸国とロシアとの親密外交がNATOを形骸化させると危機感を抱く国があっても不思議ではなかった。

同じようなことはロシア軍が2022年3月4日以降占拠しているザポロジエ原発への砲撃にも当てはまる。通常の考え方では、自軍が守っている危険物を自軍が攻撃することは不自然だ。

同様に、ザポロジエ原子力発電所に冷却水を供給していたカホフカ水力発電所のダムをロシアが破壊するのも不自然だ。ザポロジエ原発は停止しているが、冷却水が枯渇する懸念がある。ウクライナは昨年、原発事故を防ぐため、周辺を非武装地帯とすることを提案していたが、仮にここが非武装地帯とされれば、同地のロシア軍は分断される。

実際に、同ダムがウクライナ軍の反攻直前に(何者かに)破壊されたことで、一帯が洪水となり、ウクライナ反攻地域のロシア軍は、その南部、東部のロシア軍から分断された。そのこともあってウクライナの反攻は大きな成果を上げた。

以下の映像は、塹壕に孤立したロシア兵がドローンの爆撃に追い回され、必死で降伏のサインをドローンに送っているものだ。
関連:ウクライナのドローンに降伏したロシア兵。
The Russian Soldier Who Surrendered to a Ukrainian Drone
https://www.wsj.com/articles/russia-soldier-surrender-ukraine-drone-3860ab6a

また、この一帯はもともとロシア系住民が多数を占めており、今はロシアが支配下に置いている地域だ。つまり、このダムをロシアが破壊したとすれば、自殺行為を行ったことになる。それでもそれが日本のメディアでも公式見解で、それを極めて不自然だとする私などは「陰謀論」に影響されていることになる。「何を信じるか? 信じたいか?」は、受け手の情報収集能力に委ねられているのだ。

それにしても、ウクライナ戦争はどんどん危険な方向に進んでいる。

参照:米国、ウクライナに劣化ウラン燃料タンク弾を承認へ。
U.S. Set to Approve Depleted-Uranium Tank Rounds for Ukraine
https://www.wsj.com/articles/u-s-set-to-approve-depleted-uranium-tank-rounds-for-ukraine-f6d98dcf

参照:ベラルーシ、ロシアの核兵器の搬入を開始。
Belarus starts taking delivery of Russian nuclear weapons
https://www.reuters.com/world/europe/belarus-has-started-taking-delivery-russian-tactical-nuclear-weapons-president-2023-06-14/

トランプ氏は選挙が盗まれたために落選したとすることに象徴される「陰謀論」の代表的な人物だ。そして、その「陰謀論」には一理があるとする人たちが同氏を米国の大統領にまで押し上げた。嘘くさい「建前論」を嫌悪する人たちが支持した。

仮に同氏が共和党の大統領候補となり、民主党がロバート・F・ケネディ・ジュニアになったとすれば、「陰謀論」の面白い対決が見られるかも知れない。そして、どちらが大統領になっても、それが世界の外交、地政学的リスクにも大きな影響を与える可能性があると言えるのだ。

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