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政府の統治と個人情報

こんばんは。矢口新です。

マイナカードには現住所や本籍だけでなく、
資産状況から健康状態まで、個人情報のほぼすべてが
小さなカードに収められることになる。

そうした情報の集中管理は便利だと見なせる一方で、
大きなリスクを抱えることにもなる。

ヒトが2人以上集まると政治(ポリティクス)が始まると言われている。

また、戦争(暴力)は外交の最も拙い手段だとも言われている。

これは家庭での親子、夫婦の関係から始まり、
国家間の戦争に至るまで、それなりの説得力のある考え方だ。

ウクライナ戦争での両国も、指導者たちが最も拙い外交を行ったために、
双方の国民が苦しむことになっている。

同じことが日本の明治維新にも当て嵌まる。

両勢力が最後は暴力に訴えたことで内戦化した。

そして、列強諸国による代理戦争、
国家分裂を含む植民地化にも繋がりかねない内戦の拡大化を恐れた幕府が降伏したことで、法支配の政治が復活した。

当時の世界で、列強諸国の植民地化を免れた国が数少ないことを鑑みれば、
幕府の降伏には大きな意味があった。

最後の将軍徳川慶喜の功績が
このところ見直しされてきているのはそのためだ。

その徳川幕府は260年以上続き、その間に大きな内乱もなかったことから、
徳川の政治を見直す機運が以前に比べて高まっている。

とはいえ、
その統治体制の基礎がつくられたのは豊臣秀吉の時代だ。

豊臣秀吉は太閤検地と度量衡の統一で、
全国規模での徴税の基礎を作った。

また、刀狩で政府による武器の管理を徹底した。

後の士農工商に繋がる階級制度も整備した。
また、国民の相互監視システムの役割も持つ五人組を設置した。

つまり、国家による強い統治体制が全国レベルで整ったのは豊臣秀吉の時代なのだ。最貧民層から出世して太閤にまで昇りつめ、個人の才覚や恐ろしさを身をもって知る豊臣秀吉は、二度と自分のような人物が登場できないような固定化した社会を作り上げた。これが徳川幕府260年の平和の基礎となったのだ。

国民生活の徹底管理、これは統治者の夢かも知れない。出自を問わず自分が最高に昇りつめた時点で社会を固定化する。統治者に気高い理想があれば、それを誰にも妨げられずに実現できる可能性が高まる。とはいえ、それはやはり独裁だ。

最良の独裁者でも、自己の権力の大きさ故に、自己のモラルと戦い続けねばならない。独裁者が自己に負ければ社会は腐敗する。また、その後任者に気高い理想があるとは限らない。あったとすれば、前任者の理想を否定することにも繋がり、その度に国民生活は右往左往させられる。

徳川幕府の功績はそうした独裁体制を、むしろ合議制で運用したところにあるのかも知れない。それが独裁者の暴走を防いでいた。

現在の世界に独裁的な政治を行っている統治者たちは何人かいるが、その権力がいつまで安泰かは分からない。また、当人たちがいなくなると独裁的な政治が変わる可能性が大きい。一方で、国民生活を徹底管理するシステムがあれば、そのシステムに乗った後継者たちは独裁システムを引き継ぐことができる。

マイナカードはその大きな一歩だ。上記コラムにも挙げられている某国は、コロナ禍を利用してそうした独裁システムを作り上げたと言える。仮に当人に気高い理想があるとしても、後継者がそのシステムを悪用しないとは限らない。

マイナカードや中央銀行デジタル通貨につながるキャッシュレス社会は便利な社会だ。しかし、国民生活を徹底管理できるという意味で、統治者たちにとってこそこの上ない便利なものとなる。耳を傾ける必要がなくなった統治者たちは力の政治を志向するようになる。国民は統治者たちのモラルや度量、能力の高さを信じ続けるしかなくなるが、そんなことは期待薄だ。

気候変動と同じで、人類は一線を超えてしまったのかも知れない。

矢口新

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