政治的に作られた格差社
こんばんは、矢口新です。
私は書籍のレビューにはできるだけ目を通すようにしている。
書籍には著者がその一生をかけて達成したものを紹介してくれていたり、
自分が全く知らなかったことを教えてくれたりするものも多いので、
読むだけで自分の成長に繋がる可能性があるからだ。
この日曜日に読んだ東洋経済オンラインには、
「資本とイデオロギー:トマ・ピケティ (原著), 山形浩生 (翻訳), 森本正史 (翻訳) 」なる
書籍のレビューがあった。1128ページ(¥6,930)と膨大なので、
読むかどうかはまだ決めていないが、私が気になったところだけを紹介する。
(以下に部分引用、URLまで)
「戦後、縮小が続いた経済格差は1980年代から反転し、
一部の国では19世紀末のような世襲資本主義に回帰しつつある──。
衝撃的論考で世界の話題をさらった『21世紀の資本』の姉妹編だ。
ハイパー資本主義の下で格差拡大が続けば、民主主義すら危機に陥る。
解決策を探るべく、本書は近代以前の歴史を紐解(ひもと)くとともに
非西洋にも射程を広げ、格差をもたらすレジームがつねに政治的に
作られてきたことを示す。ならば格差は政治的に打破できるはずだ。」
「80年代以降の格差拡大の背景には、
共産主義崩壊や自由な資本移動の下で続いた、
税率切り下げ合戦がある。」
参照:政治的に作られた「格差レジーム」、打破は可能か
https://toyokeizai.net/articles/-/712375
これは私が世界の市場動向を調べてきた中で、
まさに気付いていた点だ。
上記の引用文に補足するならば、
「富裕層や法人への税率切り下げ合戦」と同時に、
その財源としての「庶民向けの消費税の導入や税率切り上げ」で、
政治が率先して現在の格差社会を作ってきたのだ。
それに輪をかけたのがリーマンショック後と、
コロナパンデミック時の政府と中央銀行による大量の資金供給だ。
これは国民負担の債務で拡大した資金を、
政治が恣意的に分配することに繋がるからだ。
そして、そうした資金供給が産んだインフレで、ますます格差社会が深化した。インフレは日本のエンゲル係数が26%を超え40年ぶりの高水準に達したことが象徴しているように、貧困層からより多くの割合で資金を奪う機能を持つからだ。
どうしてこのようなことが起きたのか? 私は民主主義という名の金権政治が原因だと見ている。カネで動くロビイストが政策を作れるのなら、格差社会が出来上がるのは必然に近いからだ。そして、それを外圧で世界に広めることができる。
現在世界は武力を背景とした権威主義と、民主主義という名のカネ権威主義とで成り立っているとも見なせるので、持続不可能なところまで格差社会が続く可能性があるとも言えるのだ。
それを止めるには、「富裕層や法人への税率切り下げ合戦」と「庶民向けの消費税の導入や税率切り上げ」を反転させるしかないというのが私の考えだ。
参照:日本が幸せになれるシステム・65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、ペーパーバック版)
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