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なぜ相場は難しいのか?

こんばんは、矢口新です。

かれこれ10年ほど、投資の学校で個人投資家の方々に相場を解説してきた中で、
講師としても、投資家としても私なりに成長してきたと思っている。

そこで改めて分かったことが、
やはり相場は難しいということだ。

昔から、いつの時代も相場は難しい。

そんな中で、私は私なりに価格が動く本質的な要因を突き詰め、
投機と投資との違いがボラティリティとトレンドをつくると解説し、
ならば最も効率的な運用は、価格波動の山越え確認を売り、
谷越え確認を買うことだとしてきた。

私の運用は基本的にそれをベースにしたもので、
それはプロの頃も、今も変わらない。

個人投資家の方々にもそうしたことをファンダメンタルズや需給、
テクニカル指標などを実例に解説している。

それを個人投資家の方々からの、「ここが分からない」、
「こうした時にはどうすればいい」などと言った質問に対して解説してきたことで、
私の中で何が難しいのかが見えてきた。

このことは、
対処の仕方もより明確に見えてきたことを意味する。

チャートは自己相似性(フラクタル)を持っている。

1分足でも、日足でも、月足でも、
同じように波動を描いて進むといった性質だ。

そのため、どのテクニカル指標でも、
すべての長さの足で同じように使える。

また、どの長さの足でも元のデータは同じで、
それを任意の時間枠に区切って見ているに過ぎない。

つまり、月曜日から金曜日までの5本の日足は、
同じ週の1本の週足と全く同じものを、5分割して見ているに過ぎないのだ。

このことは、ある期間のデータは、日足、週足に限らず、どんな足で見ても同じものなので、何分割して見てもいいことになる。また、いつくかの足を統合してある期間の全体像を見てもいいことになる。これが分かれば、酒田五法が持つ矛盾なども簡単に分かり、複雑に見える足の並びが、買い足か売り足かなどということも分かるのだ。

ここまではプロ時代の私にも分かっていた。プロの時代から、価格変動の本質を踏まえた、最も効率的な運用方法は知っていた。とはいえ、それでも相場は難しく、どうして難しいのかが、理詰めでは答えられなかったのだ。

それが個人投資家の方々とのやり取り、正確にはどのように難しさを伝えようかとする中で、ようやく答えが見えてきた。以下が、その答えだ。

「下位足での谷越え、山越えは、上位足波動の戻り売り、押し目買いの急所ともなる」。これは皆さん自身がチャートで検証してみて欲しい。

投資家の時間感覚は様々だ。年金や保険会社、ミューチュアルファンドなどの運用は長い目で見ている。つまり、日足での谷越え、山越えでは、戻り売り、押し目買いをしてくる可能性がある。同じように、ヘッジファンド、金融機関のチーフディーラー、デイトレーダー、スキャルパーなど、扱う時間の違いから、見ているものそのものが違うのだ。

だから相場は難しいのだ。しかし、これが分かり、その対処法を見つけてから、私はほとんど負けなくなってきた。後は、それを形で証明することを残すのみだ。

東洋経済で面白いコラムを見つけた。音楽ですら生まれながらの才能の違いが見つけられなかったという実験だ。つまり、「練習量がカギ、達人になるための近道はない」というのだ。

「エリート集団の場合、12歳ですでに日に2時間練習しているのに、一般の生徒は15分しか練習していなかった。実に8倍の違いだ。生徒が日に少しの時間しか練習しないかたくさん練習するかにかかわらず、一定の累積時間を練習につぎ込まないかぎり、それぞれの等級レベルに合格することができないのだ。この研究チームの一員であるキール大学のジョン・A・スロボダ教授は次のように語っている。

『このことは明らかに、達人になるための近道はけっしてないということの証拠なのである』」
参照:音楽が抜群に凄い人は「生まれつきではない」証拠
https://toyokeizai.net/articles/-/737887

ましてや、相場に才能などいらない。ルールを知り、やり方を学び、後は練習あるのみだ。スポーツや音楽よりも、あるいは何よりも、老弱男女に開かれているのが相場だと言えるのだ。

潜在的リスクとしては、市場の閉鎖を含む何らかの事情で、自分が短期トレードをできなくなることだ。これは生死と同じで、自己管理を超えたリスクだ。今できることを今しておくことが、現実的な対処方だと言えるかもしれない。

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