トレンドなら何でも良い・・・訳ではないですよ!
「投資の学校」浅野敏郎
From 新宿オフィスの編集室より
相場で大きく収益を上げるには、トレンドに付く
ということは、
相場を最初に勉強する際に必ず出てくる教えです。
しかし、過去のチャートを引っ張り出して、
「こんな大きく長いトレンド、たくさん儲けられたと思います」
と言われても、
実際に入り込むとなると、
後からの見た目ほど楽ではないことは、
デモ取引をやってみるだけで、誰もが気付く話です。
このブログでも幾度となく取り上げているトレンドの定義、
皆さんはもうマスターされてますね。
高値・安値共に切り上げるのは、上昇トレンド
高値・安値共に切り下げるのは、下落トレンド
でしたが、
この定義を満たした相場・・・つまりトレンド相場であれば、
労せずして本当に大きな値幅が取れるのでしょうか?
実はトレンド相場にも、
やりやすいトレンドと難しいトレンドとがあり、
この違いを明確に認識せず、
同じようにトレンド取引してしまうと、
なかなか収益になりません。
今日は、その違いを説明してみましょう。
おはようございます。
今週も早や金曜日がやって参りました。
米朝首脳会談が終わり、材料出尽くし感も漂う中、
市場のコンセンサス(意識の一致)は、
次第にドル買いでまとまりつつある様な印象を受けます。
特に、先週のECB理事会では、
かなりインパクトがある発表がなされました。
テーパリングの時期が具体的に示され、
(テーパリングとは・・・金融緩和政策を次第に弱める
停止への道のりまでのこと。引き締めはその後のことで、
例えば資金供給を止めるまでがテーパリング、
供給した資金を回収に入るのが引き締め。)
目先の相場はドル買いで反応したわけですが、
このまま、このドル買いが本流になる可能性は、
充分ありそうな気がしています。
米国の関税政策は、それなりにインパクトを作るでしょうが、
ドル高になればその分、相対通貨は安くなるわけで、
輸出競争力はある程度維持できるという計算は
成り立ちそうです。
トレンドが無い相場とは
さて、トレンド相場の定義を借りて、
トレンドが無い相場を表せば、
「高値・安値共に更新できない相場」
とでも言いましょうか。
代表的な値動きを略図で示すと、
こんな感じですかね。
冒頭の言葉と同じくらい最初に学ぶこととして
「揉み合い相場は儲からない」
という教えも有名である一方、
揉み合い相場の、
高値手前で売って安値手前で買う
ことを繰り返せば、
トレンドが無い相場でも充分な利益が取れる
という話も同じくらい良く聞きますね。
先ほどの略図に、レンジ売買のタイミングを付け加えると
こうなります。
赤が買いのゾーン、青が売りのゾーンを指し、
ドテンをし続けるわけです。
この略図では、ちょうど2往復半ほど上下してますから、
レンジの5倍の収益が実現した可能性がありえます・・・
なるほど、なるほど。
ではここで少しだけ、
この略図の右側を上の方へ引き上げる感じで
歪めてみましょう。
そうすると何と不思議なことに、
揉み合い相場が、いわゆる上昇トレンド相場になりました。
上昇トレンド相場の取引方法は、
トレンド発生で買い、トレンド終了で決済
というのが基本だといいますが、
いずれにしても、
売りエントリーは考えてはいけませんので、
売りタイミングは略図から一旦、消してみましょう。
しかし実際問題として、
こんな相場で長期間、ポジションを保有することなど
出来るでしょうか?
買いのタイミングで示したような、
ベストなエントリーが出来たとしても、
「せっかく頑張って保有したのに、MAXの6分の1まで減っちゃった・・・」
次の押しのピークでは、
ほんの僅かな含み益しか残っていない状況になり、
このままトレンドの最後まで保有することなど、まず無理でしょう。
いつかは、
レジスタンスラインで利食いを入れてしまうのがオチであり、
「2回待ったけど、またしてもMAXの3分の1まで減ってしまった・・・次こそ直近高値で決済だー!」
気が付いてみると、
トレンド相場でありながら、
結局はあまり儲からないとされる、
レンジ取引と全く同じ方法になってしまい、
トレンド最大幅の収益など、夢のまた夢という羽目に陥いる、
という訳ですね。
本当に取りやすいトレンド相場の特徴
それでは、かの略図の右端を大幅に上へ歪ませてみましょう。
「最初の最大押し目で約2分の一、その次の最大押し目でも約5分の三ほどの含み益が残る」
このトレンドは押しの波動が比較的浅く、
押しがあった後でも割とカンタンに
次の上昇波動を待てそうな気がしませんか?
それはエントリーの価格と最大の押し目との間に、
それなりの含み益が残っている、という余裕から来るものです。
以上を厳密に整理すると、
「一度だけ深い押しを我慢できれば、次からは耐えた分の収益が積み上がるイメージ」
一つ前の高値で下げ止まる
もしくは、
一つ前の上昇波動の半値水準で下げ止まる
ようなトレンド相場でしか、
本当のトレンド取引など実際に出来るものではありません。
しかも、エントリーのタイミングは、
押し目を拾うレンジ取引手法ではなく、
高値を更新するタイミングが、
トレンド取引における本当のエントリー方法
であり、
「上げ相場に押し目なし」
と言われる所以なのだと思います。
トレンド取引をテーマにする教えは星の数ほどありますが、
トレンド取引を主張しているにも関わらず、
エントリーを
トレンドラインや移動平均線のサポート水準に求める教え
も少なくありませんので、
この点は是非、明確にしておきたい重要な話です。
なるべく安く買いたいというのは確かに願望ではありますが、
そんな安値で拾えるトレンドは逆に大した相場ではなく、
蓋を開けてみれば、揉み合いに突入していくケースが
多いのではないでしょうか・・・。
一度得た含み益の殆どが無くなるような調整が
何度も繰り返される相場を耐えるために
インジケーターが利用される・・・
そんな売買ロジックを実践するには、
そもそも困難を極める、
と考えたほうが良いのかも知れません。
浅野敏郎
<<< 編集部よりおススメ >>>
例えば昨日6月21日のドル円相場の、
00時時間足の安値は110.02円でした。
そして21日の14時に
110.76円の高値を付けた相場はそのあと下落に転じ、
21日の23時足終値は109.99円となりました。
この24時間という時間経過の中で、
概ね74ポイント上昇した相場が、
なぜ、僅か3銭違いという水準に戻ってくるに至ったのか?
この間、反落要因をあえて挙げるなら、
21日21時に発表されたBOEの金融政策決定会合発表で、
利上げに賛成した委員が、
予想の2名から、実際には3名だったことが判っただけ…
という以外に考えられません。
別にこの時点でイギリスが利上げを決定した訳でもない
のにです!!!
市場はポンドの利上げは近いという理由から、
ポンドドル相場が急騰したことでドル安の流れが発生し、
ドル円相場にも、そのドル安圧力が発生した…
というのが自然な解釈です。
しかし、BOE発表前に76ポイント上昇していた相場があって、
僅か3銭程度の誤差で24時間に戻ってきた値動きを見ると、
理由だけでは整合性がつかないほど、
余りに丁度すぎる騰落だったと言えないでしょうか??
あり得ないと思うかも知れませんが、
その謎を解き明かす理由があるとしたなら…
その理由を知るために、
一度こちらをご覧になる価値は十分あると思います。
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なんともコメントのしようがありません。休むのも、見つめるのも一つの対応なも・・・
syoun様、
お気持ち、嬉しく思いますが、
コメントは必須ではないので、
無理されないよう、
今後ともよろしくお願いします。
浅野敏郎
浅野先生の解説、いつも楽しく拝読しています。トレンド相場ならすべてよしでない、眼からウロコです。
なお、最後に矢口先生のタペストリー理論をご案内いただきました。私は矢口先生のタペストリー理論を学びましたが「山越え、谷越えの仕掛け」を学んだだけで、学び漏らしがあったのでしょうか、気になりました。
田中 忠夫様、
コメントありがとうございます。
TPA理論について、
私から云々と言える立場ではないのですが、
「トレンド中の上下は短期筋が作る値動き」
という大きなテーマがあったと思います。
とするなら、
トレンドに逆行する押しや戻しは
短期筋が作るとすれば、
深い押しや戻しは
トレンド(と自分が判断した)に反した考えの短期筋もそれなりにいる…
つまり強いトレンドにはならない
という風に紐づけることも充分できるかと思います。
いずれにしても今回、
私がお伝えしたかったことは、
現在進行している波動
(トレンドに沿っているのか反しているのか)
の長さは、
常にひとつ前あるいは、
一定期間の過去の値動きと比較することが重要
だと私は考えている、と言うことでした。
今回、TPA理論のおススメがついているのは、
私が選択した訳ではない点、
ご理解いただけると幸いですし、
田中様がTPAから得たものを一度、ご自身で整理し直され、
矢口先生に直接、ご相談されるのも一手かと存じます。
浅野敏郎
目下勉強中!
あおぞら様、
応援しております。
今回の記事にもう一つ付け加えるとすれば、
方向性の勢いが重要で、
その一つの見極め方が今回の内容です。
押し目が深い(方向性が弱い)=次の高値更新も浅い可能性が高い
逆に、
押し目が浅い(方向性が強い)=次の高値更新が高くなる可能性が高い
勉強、頑張ってください。
浅野敏郎