過去最大級の株価上昇も、米国市場は上昇転換に至らず

From:戸松信博
自宅デスクより、、、

おはようございます。
戸松信博です。

 

過去最大級の株価上昇も、米国市場は上昇転換に至らず
過去最大上昇で日本株は2カ月ぶりに上昇転換、リート35%の暴騰

 

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<目次>
(1)グローバル相場見通し:
過去最大級の株価上昇も、米国市場は上昇転換に至らず
(2)恐らく過去のリセッションと同じく、経済は相応の時間をかけて回復していく
(3)過去最大上昇で日本株は2カ月ぶりに上昇転換、リート35%の暴騰
(4)今週の戦略
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(1)グローバル相場見通し:
過去最大級の株価上昇も、米国市場は上昇転換に至らず

 

【週間騰落率】
ドル(対主要通貨加重平均) -4.33% (98.37)
株 (S&P500指数)     +10.26% (2,541.47)
商品 (CRB総合指数)    +0.00% (123.88)
金(ニューヨーク先物)   +9.46% ($1,625.00)
原油(WTI)         -4.95% ($21.51)
債券(米10年債利回り)   -21bpts (0.68%)

 

□ニューヨークダウ・ナスダック推移

米国市場は4週間の空前のクラッシュを経て3月23日(月)に安値を付けると、以降3日間でダウが+3,960ドルも爆上げするなど、過去最大級の反発となりました。背景には週末に成立した2兆ドルの米景気対策法、そしてFRBも「弾が尽きることはない」とした無制限の量的緩和を打ち出したことがあります。

 

最終金曜日に再び大幅安となったものの、週間の上昇率はダウ+12.84%、S&P500+10.26%、ナスダック+9.05%でした。過去最大級の上げ幅ながら先々週の下落率をかなり下回る上昇率です。過去最大の上昇は常に暴落相場で起き、下げ幅よりは小さい上げ幅となるものです。

 

ナスダックで流れを見ていくと、2月25日に4日続落して8,965ポイントと、9000割れしたところで米国株の相場判断を「下落転換」としました。そこから前述の安値を付けた3/23(月)までに▲26%急落し、6,631ポイントを付けました。しかし3日後の26日(木)までに+18%上昇して7,797ポイントで終えていました。通常好調な年と言える年間上げ幅を僅か3日で達成したことになります。

 

ただ、株価位置としては大きく下げて少し戻した程度です。1~2月に何度も書いてきた50日線から上に+7%乖離する加熱一杯の「天井シグナル」は一挙に冷め、安値時は同線を▲23%も下回り、週末では14%下に位置します。

 

そして重要な出来高と値動きの組み合わせですが、この週の大幅高はいずれも出来高増を伴わず、むしろ日を追って縮小していきました。このため、幾ら大幅高でも商い増を伴っていないため、上昇転換はお預けとなり、依然下落トレンド判断が継続されます。

 

日本株が2月に連日高値を取っていたときに、不思議なくらい出来高増を伴わず、1月27日以降ずっと下落判定のまま継続し、今に至っています。2月の高値時に下落判定を据え置いたことは、あまりに不自然でおかしいとも感じていましたが、後になってみるとその後の暴落に通じる現象だったのでしょう。

 

市況解説は強気派、弱気派の人がそれぞれ持論を展開しますが、出来高と価格の組み合わせに私情を挟まむ余地はなく、何よりもストレートに市況を語ってくれます。結論として日本株は1月27日から、米国株は2月25日から下落判定(売り)であり、これに従えば丸ごと暴落を逃れられたことになります。

 

米国株は2月28日、3月12日、3月18日と過去最大(これらの中で最も少なかった2月28日で史上2番目の出来高)の出来高を付けており、この間暴落相場となりました。機関投資家、ヘッジファンドなど大口投資家は売りに売りまくったことになります。

 

それらからすると先週の大幅反発局面はかなり少ない出来高であり、大口投資家が一斉に買いに走っている様子まで見当たりません。急反発した様子からも、恐らく売り方の利益確定が大きいのではないかと思います。空売り勢としては利益確定を逃したくない局面だったのでしょう。しかし空売りの買い戻しが終われば、相場全体のポジションはフラットに戻るだけですので、ここから上昇が続くかどうかは別問題となります。

 

個別ではボーイング(BA)が週間+71%高しました。しかし年初来では▲50%安で、52週高値から57%下がった位置にあります。金鉱株や公益株、リートが指数を大幅に上回る上昇となり、半導体株指数も大きく反発しました。日銀が買い支える日本株も大きく上昇しましたが、欧州株の反発は5%少しと、緩いものとなりました。

 

株価以外では、米国債利回りが大幅続落で、1カ月~9カ月物国債のオファー価格における利回りは全てマイナスとなっています(ビット値の利回りは辛うじてプラス領域)。イールドカーブは短期金利の極端な低下で立ち上がっているのですが、逆イールドカーブの後にこの形になるのは、不況入りを示すシグナルと思います。2週大きく下落していた金価格は再び大幅高で、週間10%近い上昇、また原油はさらに5%近く下げて21ドル台と、下げ止まりません。一方、買いを集めてきた米ドルは、ドルインデックスで4%を超える大幅下落となり、このためドル円は107円台の円高に戻しています。

 

(2)恐らく過去のリセッションと同じく、経済は相応の時間をかけて回復していく

□新規失業保険申請件数

前回配信で150~200万人に達するのではとしていた21日発表の新規失業保険申請件数は、予想を遥かに超える328万人となりました。前の週に比べ11倍増、1982年不況時の過去最高週に比べても5倍近い増加となりました。

 

上はセントルイス地区連銀の掲載している過去の同グラフですが、今回の数字は異次元のものとなっています。グレーの線のところは過去のリセッション時期です。リーマンショック時や前述の1982年など、数字が高くなったところでは長めのリセッション時期となっているのが分かります。

 

株価はこの恐るべき悪い数字に対して反応せず、景気対策期待で上昇しました。既に劇的な悪化が予想され尽くしていたこともあるでしょう。

 

強気派は株価の大幅反発と相まって、ここからV字回復へ向かうと見込んでいる様子です。ただ強気派と言っても単に万年強気である場合には注意が必要で、あらゆるデータやチャートを強気バイアスの掛かった解釈で観がちです。一方、弱気派は、ここから大不況が訪れ、日経平均やダウが1万を切るほど下がると見ています。こちらも空売り専門など弱気にバイアスの掛かった見方であることが大半です。

 

相場で大切なのは、弱気・強気どちらのバイアスにも陥らず、ニュートラルに、公平公正な眼で見ることです。多くの強気、弱気論は始めから答えは決まっていて、それに合わせて理論を練り上げているように見えます。

 

そうではなく、冷静にニュートラルな眼で見て、考えてみたいと思います。現在起きていることは、上のグラフや株価チャートが示すように、前代未聞の不況、クラッシュと言えます。

 

220兆円の経済対策は十分でしょうか?世界経済は1京円時代に入ろうとしているほど大きな規模です。すでに株価(時価総額)は世界で3,000兆円ほど失われました。世界経済に見合う規模であり、株式市場はそれくらいの経済的価値が毀損すると見ています。それに対して220兆円は公平に見て穴を埋める程度であり、一気に元に引き戻すほど大きくはないと思います。

 

この先暖かくなって、欧米でも中国・韓国のように感染拡大が収束していくだろうと思います。そうなれば生産サイドの工場は動き出し、供給はすぐ元に戻るでしょう。しかし需要はすぐに戻るかというと、必ずしもそうとは言えないかもしれません。何事もなかったように飛行機やクルーズ船に乗って旅行を楽しみ始めるような消費者マインドに戻るには、数年要する可能性もあります。多くの失業者やそれを恐れる人が沢山いるのです。刺激策があっても、幾分消費を助けるくらいの効果に留まる可能性があります。

 

そして感染が収束した後企業は、直ちに先週だけで330万人出た失業者を雇いはじめるでしょうか? 企業が雇用市場から溢れ出た、前代未聞の大量の人々を吸収していくのも、時間をかけて徐々にとなるはずです。企業はすでに減配や無配を発表するなど防御態勢に入っており、トヨタですら複数の大手銀と1兆円の融資枠を慌てて設けだしたところです。雇用がすぐに戻らなければ需要もすぐには戻りません。

 

恐らく過去のリセッションと同じく、相応の時間をかけてゆっくり回復していくのが公平な見方だと思います。しかしそれでも前を向いて歩きだすのであって、株価は何度も何度も、不況のあとに高値を回復してきました。過度に弱気になる必要ありませんが、このまま一直線にV字回復とは楽観すぎると思います。株価はもう一度安値位置を探り(おそらく2番底を探りにゆき)、その後徐々に回復を目指すものになると思います。

 

(3)過去最大上昇で日本株は2カ月ぶりに上昇転換、リート35%の暴騰

 

□日経平均

相場判定(長期):上昇トレンド継続中(2019/11/02~)
相場判定(短期):上昇転換(2020/03/27~)

注目セクター : 東証一部の中小型株

 

日本市場は3連休直前の3月19日(木)が底となり、米国同様に歴史的な猛反発となりました。日経平均は週間2,837円上昇し、歴代1位の上昇幅、上昇率(17.1%)となります。

 

歴代2位~4位の週間上昇幅はいずれも1990年に記録し、歴代5位は1992年です。いずれも戦後から1989年まで続いた壮大な上昇相場の最後、バブル崩壊の過程で生じたもので、今回これらを抜いたということは、喜ばしいというより、現在が歴史的な暴落相場であることを意味します。

 

日経平均は16,358円で底を付け、23日(月)に上昇第一日目が出ました。そのあと力強い上昇を重ねながら、第4日目の27日(金)に+725円高として、東証一部の売買代金も下げた前の日より2割近く増える力強い上昇でした。これで上昇の芽(第一日目)からフォロースルーが入ったことになり、1月27日に下落転換として以降、初めて上昇転換と判断します。

 

ただし米国と歩調を合わせて上昇してきたものの、その米国がまだ上昇転換していません。そして、暴落時の上昇転換は、その後の上昇継続に失敗する確率が高いものであり、これでもう大丈夫というわけではありません。

 

しかしながら上昇転換は上昇転換であり、もしかすると上昇が継続していくことになりえる重要な日であります。

 

殆どの業種が大幅高となっているため、注目業種というのもないのですが、日銀のETF購入がこれまでの3倍近い規模で時々入っており、相場を動かしています。

 

日銀が介入した日は、東証一部の中小型株が優勢となっており、これは前回もお伝えしたように、日銀の買い付け額に対して板の薄い銘柄は、値段を飛ばしながら上げていきやすいためと思います。

 

ダウが3日で4,000ドル近く上げたように、日経平均も3日で3,000円ほど上げました。過去10年間に日経平均が年間3,000円以上あがったのは3度のみですが、それを3日で達成です。東証リート指数はそれ以上に上昇しました。

 

こうなると大幅に出遅れたような感じがして焦ってしまうものですが、これほど値が動くのは相場がファンダメンタルで動いているというよりは需給のみで動いているからであり、市場参加者は適切な価格というものが皆目見当つかないため、こうなってしまうのです。

 

この先、コロナウイルスの収束時期が分からず、経済へのダメージや期間も分からず、それ故、日経平均の適正値が12,000円なのか、16,000円なのか、果たして19,000円なのか皆分からないのです(2万円以上は今の状況からして高いと感じます)。

 

今ついている株価も、あって無いようなものなので、明日や来週にどうなっているかはわかりません。このような状況で焦って買うと、価格の変動でさらに窮地に立ってしまう可能性があります。

 

恐らく今後、非常に悪い経済指標とともに企業収益の下方修正も大幅なものになると思います。利益ベースが大きく下がる中で2万円に近づくほど、割高感は強くなっていくでしょう。焦らずじっくりと、相場が底を固めて回復目指す中を、慎重にポジションを作っていければ良いと考えています。

 

(4)今週の戦略

週末のダウは915ドル安と4日ぶり反落し、シカゴ日経先物は大証終値比520円安い18,560円で終えています。一週前と比べ1,500円ほど高い水準です。一方、ドル円相場は一週前に比べ3円近く円高となっています。

 

日本株は上昇転換としましたが、欧米市場と足並み合っての上昇転換ではなく、日銀のETF購入が効いている可能性が高いと思います。

 

そして今は暴落の中の特別な相場であり、何もかもが異例です。通常なら上昇転換に合わせて強気になりたいところですが、再度の下落転換も懸念されるところで、慎重に見ていきたいところです。

 

―戸松信博

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