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(矢口新)資本主義は「機能する、しない」という不毛の議論

こんにちは。
投資の学校事務局講師の矢口新です。

さて、本日は資本主義について
お話ししたいと思います。

資本主義とは、ウィキペディアによれば、

「国政によってよりも営利目的の個人的所有者たちによって
 貿易と産業が制御されている、経済的・政治的システム。

 特に近現代の資本主義の根幹は、
 自由資本主義・リベラルキャピタリズムと呼ばれており、
 資本主義に基づく社会は『資本主義社会』『市民社会』『近代社会』『ブルジョア社会』
 等という。

 また、資本主義の弊害に対し、修正や反対をする概念や立場には修正資本主義、
 反資本主義、社会主義、共産主義、国家主義(ナショナリズム)、
 国家社会主義(ナチズム)、結束主義(ファシズム)、
 第三の道、第三の位置等がある。

 一方で、
 資本主義的な自由競争を更に推進する概念・立場には新自由主義、
 リバタリアニズム等がある」

とされています。

一方、コトバンクでは、

「資本主義という用語は、資本が生産活動の主体となっている
 経済体制・経済システムをさすもので、
 主義・主張・思想をさすわけではない。

 アルコホリズムということばがアルコール主義ではなくて
 アルコール中毒という状態を示すものであるのと同様に、
 資本制経済という体制を意味することばである。

 この経済体制を肯定したり擁護したり推進したりする思想・主張をさすためには、
 『自由主義』という用語が使われるのが普通である。

 資本による企業設立の自由、
 その企業による営業活動の自由を主張する自由主義の立場からは、
 資本主義という用語を忌避して、『自由経済』とよぶことが少なくない」

とされています。

どちらの解説にも、
突っ込み所が散見されるが、ヒトの経済活動を「主義」という範疇に
納めようとすることの無理から来るものと思われます。

ヒトが集まり、生存のための経済活動を始めると、
必ず何らかの軋轢が生じます。

「政治とはヒトの複数形」だとする
政治科学者がいるくらいです。

そこで、誰かがルールを定め、
そのルールは「力」によって定められます。

暴力や、経済力や、集団の力などです。

これは、過去のどの政治体制でも、
あるいは主義のもとでも変わりません。

また、これはどの土地でも、どの国家、どの集団、
家庭内でも変わりません。

おそらく、動物の集団でも同じです。

今のルールで、誰が得するか、損するかが、
規制強化や規制緩和につながります。

そこでは、新たに「力」をつけたものによる、
既存の「力」を削ぐ動きが見られることになります。

行き着く先は、戦争や革命、
あるいは維新と呼ばれるものです。

近代日本をつくった最大の功労者の1人渋沢栄一は、
維新後に人々がカネだけを崇拝し、人心が荒廃したことを嘆き、
企業経営にも「道徳」が必要だと説きました。

金の亡者の何が悪いか? 

必ず周囲との間に大きな軋轢が生じ、
行き着く先は、戦争や革命だからです。

また、渋沢栄一も述べているように、
そうした軋轢や戦争は経済的にもプラスとはなりません。

今風に言えば、
道徳なき社会は持続可能ではない体制なのです。

道徳とは、ウィキペディアで、

「中国の古典を由来とする観念であり、
 『道』と『徳』という2つの考えからなる。

 道とは、人が従うべきルールのことであり、
 徳とは、そのルールを守ることができる状態をいう」。

コトバンクでも、

「『道』とは世の中で人が従うべき道のことであり、
 『徳』とはそれを体得した状態のことである」

と、ほとんど同じです。

つまり、「体制」を維持するために必要なものが道徳なのですが、
体制が「世の中で人が従うべき道」から外れると、
新たに「力」をつけたものによる道徳が、革命や維新を推進する力にもなるのです。

さて、営利目的の企業や集団が金の亡者となり、
それぞれの自己の自由を追求すれば、
必ずお互い同士の利害が衝突することになります。

そして、
それは全体の経済にとってもプラスとはなりません。

そこで、国家や国際機関などが、
利害調整のためのルールをつくることになりました。

とはいえ、そのルールそのものが、
貧富格差を拡大させ、経済成長を阻害しているとすれば、
それはルールのせいであって、
資本主義や自由主義が機能しないことを意味しないのではないでしょうか。

過去30年間に貧富格差が大きく拡大したことで、
経済成長の原動力となるべき総人口の大半が購買力などのパワーを失っていったことが、
経済成長の阻害要因となっています。

これは、消費税に象徴される「生きることに課税する」ことを、
所得税や法人税といった経済成長の「実りに課税する」ことに優先したためで、
余裕のない者ははなから競争のスタート地点にも立てなかったからです。

また、それを30年以上も継続してきたために、
スタート地点でのハンディキャップが広がり過ぎたためなのです。

これは既存のルールの弊害が、
人類全体の幸福や成長にも及んで来ていることを意味します。

とはいえ、このことは資本主義、
あるいは、その弊害に対して修正や反対をする概念や立場とは、関係がありません。

どんな主義や概念、立場でも、力の強い者が
自己に有利なルールをつくることは自然なことでもあるからです。

そして、それが度を越し、長期化すると、
弊害が目立つようになってくるのです。

税収の事実上のピークが1990年度で、
経済規模や実質賃金の事実上のピークが1997年度であるという日本経済は、
そうした弊害が長期にわたって成長を阻んでいるという意味では、
世界のモデルケースです。

私は、日本が1988年以前の税制に戻すことで成長力を取り戻すことができれば、
モデルケースとして、世界を良い方向に先導できると見ている。

<講師プロフィール>

矢口新(やぐち あらた)

1954年生まれ。
金融業界の第一線で30年以上にわたり活躍し続け、
プロディーラーにも師と仰がれる天才ディーラー。

東京・ニューヨーク、ロンドンと世界3大金融市場で活躍し、
さらには為替、債券、株のすべてに関わるという
非常に稀有なキャリアを持つ。

相場を動かすプロの裏の裏まで知り尽くしており、
投資を真剣に学びたいという意欲ある方々との交流にも熱心。

■ 本日の出来高急増銘柄

※上昇銘柄の推奨などではありません。

※投資の学校の全講師の手法に使える、
 銘柄選びの考え方です。

なぜ、
出来高急増銘柄が注目なのか、その理由と、
本銘柄を抽出した根拠はこちら。
https://youtu.be/xAVWjxMIq4c

売買の際には、ご自身でチャート分析、
ファンダメンタルズ分析を行っていただき、
売買をする際には自己責任にてお願いします。

【1】三菱UFJフィナンシャルG(8306)
株価(終値):686
日付:1月7日
売買代金(千円):80,638,030

【2】三井住友フィナンシャルG(8316)
株価(終値):4,150
日付:1月7日
売買代金(千円):41,603,510

【3】日本電産(6594)
株価(終値):12,915
日付:1月7日
売買代金(千円):28,683,150

【4】富士フイルムHLDGS(4901)
株価(終値):8,691
日付:1月7日
売買代金(千円):22,353,950

【5】日本製鉄(5401)
株価(終値):2,022
日付:1月7日
売買代金(千円):20,468,160

*ランキングは売買代金の
 総額に基づく順位を示したものです。

*この銘柄一覧は、
 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

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