(矢口新)ウクライナの武装化で、東欧の軍需産業が盛況
From矢口新
ウクライナにはNATO諸国から武器が供給されている。
東欧諸国は旧ワルシャワ条約機構時代のソ連製の武器を
ウクライナに供給することで一掃し、一気に軍備の近代化、欧米化を進めている。
今後はNATOの軍事演習でも共通の武器を使用できるようになる。
日本政府からの援助もそうしたNATO軍の強化に役立っている。
私が気になったのは、
「ロシアが2月24日その隣国に侵攻してからウクライナ政府に武器や軍事物資を供給している同盟国らは、
その過程で自分たちの在庫を激減させている。
米国と英国が1月24日から10月3日の間に、最も多くの直接的な軍事支援をウクライナに行った」という部分だ。
ロシアがウクライナに侵攻したのは、
ウクライナがロシアを仮想敵国とする
軍事同盟NATOの加盟国になりたいと表明したことにある。
ウクライナのNATO加盟はロシア侵攻後も認められていないが、
ロイターの記事が明らかにしたのは、
米英の軍事援助はロシア侵攻前から始まっていたことだ。
実のところは、NATOはウクライナにクーデターで親米政権が成立した2014年以降、
ウクライナに軍事訓練を施しており、ウクライナはNATOが供給した武器で戦っている。
ロシアはNATOの挑発に乗ったと言えるのだ。
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参照:ウクライナ軍善戦の秘密:長年にわたるNATOの訓練
The Secret of Ukraine’s Military Success: Years of NATO Training
https://www.wsj.com/articles/ukraine-military-success-years-of-nato-training-11649861339
上記の関連記事についても触れておこう。
関連:ミサイル攻撃の中、ウクライナの人々は水を運び、外科医は暗闇の中で作業
Under Missile Strikes, Ukrainians Haul Water, While Surgeons Work in the Dark
これは、
ロシアがウクライナのインフラを攻撃していることを述べ、
その惨状を述べたものだ。
関連:ポーランド着弾のミサイルがロシアからだと報じた記者がAP通信を解雇
The journalist behind the report of a Russian missile in Poland no longer works at The A.P.
これは、2人の死者を出したポーランド着弾のミサイルは、
当初ロシアから発射されたと報道されたが、
ロシアだけでなく、米国を含むNATO諸国から否定され、ウクライナからの流れ弾だとされたものだ。
それでもロシア製だとするゼレンスキー大統領は、NATOを戦争に引き込み第三次世界大戦にするつもりかと、逆にNATO諸国から責められた。
ウクライナ南部から撤退を始めているロシアが、NATO参戦を促しかねないポーランド攻撃を行う可能性は低い。とはいえ、ゼロではない。
可能性としては低いが、NATOに本当に参戦する気があるかどうかを、ロシアが探った可能性もあるのだ。
世界の歴史が示しているのは、参戦の理由とされてきているのは多くの場合何でもよく、「その気があれば」どんなことでもこじつけ理由にできることだ。このことは逆に、どんなに正当な理由があっても、「その気がなければ」リスクを冒すことはないことを示している。
このことは、NATOに参戦する気があれば、「ポーランドにミサイルが着弾し死者が出た」ことが、それだけで十分な参戦理由になり得たことを意味している。
ここでゼレンスキー大統領が叱責を受けたことは、NATOの狙いがロシアとウクライナの共倒れで、そのためには戦争が長引くように軍事援助はするが、NATOの軍隊は危険に曝さないことが判明したという見方もできる。AP通信の記者が解雇されたのは、そうした大きな力が働いていることを示唆しているのかも知れない。
関連:米国、イランと直接対決の時代に入る
United States Enters a New Era of Direct Confrontation With Iran
米国が経済制裁を続けている国は数多い。それら被制裁国のほとんどは制裁に抵抗しながらも、米国やその同盟国との軋轢の高まりを避け、譲歩できるところは出来る限り譲歩してきた。ロシアもそうだった。だからこそ、北朝鮮もトランプ氏の誘いに乗りかけた。
しかし、ロシアが事実上、直接対決となり、中国も台湾問題では米国との「武力対立も辞さない」となったことで、北朝鮮やイランも、これ以上の譲歩よりは対決となった可能性がある。米国はもとより譲歩がなければ、武力行使の可能性を示唆してきた。
ウクライナにクーデターで親米政権が成立した2014年以降、NATOは「ウクライナ軍善戦の秘密:長年にわたるNATOの訓練」と軍備拡大を通じて、ロシアとの戦争準備を進めてきた。ここで示唆されているのは、プーチン大統領が本当に過去のロシアの栄光を求めてウクライナ侵攻を始めたのだとすれば、余りにも「遅すぎた」ということだ。8年間、強くなり続けるウクライナを見続けてきたことになる。
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