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相場の奥深さ

こんばんは、矢口新です。

先週末の土曜日に、「投資の学校」主催の忘年会があった。

その最後には、忘年会恒例の講師連の年末の挨拶、
来年への抱負があった。

講師とは、私のような元ディーラーを含め、
それぞれが相場で一流の域に達した人々だ。

私たちのコメントを聞いた参加者の方々が言った。
「講師の方々の相場の見方は、それぞれがまったく違うのですね」。

そうなのだ。見方がまったく違うのが、相場なのだ。

相場では常にビッドアスクという名の極めて小さな値幅を挟んで、
買いたい人、売りたい人が真っ向から向かい合っている。

一方は、値が上がると思っているか、買わねばならない事情を持っており、
他方はまったく逆に、値が下がると思っているか、
売らねばならない事情を抱えている。

そしてそうした人々が、
ビッド側にもアスク側にもずらっと並んでいるのだ。

そこで、
どのようにして儲けるのかも様々だ。

2023年の日経平均は2万5835円から始まり、
金曜日の終値は3万2308円だった。

値幅とすれば、6473円だ。
年初に買って保有し続けていれば、25%の利益が得られた。

一方で、安値は年初の2万5662円、高値は11月20日の3万3853円と、
値幅は8191円だった。

また、6月中旬には既に3万3773円をつけており、10月初旬には3万0488円まで下げるなど、価格は何度も上下を繰り返した。つまり、スウィング・トレードではもっとはるかに大きな収益チャンスがあったことになる。

それだけではない。先週12月4日から8日までの1週間の値幅は、高値が3万3452円、安値が3万2205円と、1247円あった。1週間で、1年間の値幅の15%以上も動いた。金曜日だけでは高値が3万2604円、安値が3万2205円と399円の値幅だった。1日で、1年間の値幅の5%近く動いた。これは、より短期なスウィング・トレード、あるいは短期トレードでは更に大きな収益チャンスがあったことを意味している。

また、収益チャンスは必ずしもそうした値幅にこだわらなくても得られる。どんな方法を用いても、より高く売り、より安く買うことだけで、儲けることができるからだ。

つまり、見方やり方は1つだけではない。講師連はその立場上、あるいはその信念に基づいて、自分の見方を披露している。それが相場というものなので、それをどう判断するかは、投資家個人に委ねられていると言っていい。相場の奥は深いのだ。

そんな中で、投資の講師としての私自身のアプローチは、個人投資家の方々に投資に関する判断力をつけて頂くというものだ。投資リテラシーの向上と言い換えてもいい。その上で、確実に収益が上がるようになれば、それが一生物となるからだ。自分で判断しているので、もはや動揺することもなく、相場を収益化できるようになるのだ。

忘年会の席で、「1分足でのトレード、練習をお勧めする」とする私の相場へのアプローチに、投資家の方々から、「1分足は価格のぶれが激しく、より難しいのに、どうして1分足を使うのか」という質問を頂いた。「5分足ではダメなのか」というものだ。

「5分足でもいい。しかし、1分足の方がより速く上達する」。なぜなら、1分足の情報量は、5分足の5倍もあるからだ。情報量が多いと、その分だけ判断する機会が多くなる。より多くの判断を強いられる方が、より速く判断力が養われる。また、比較的短時間で価格の上下波動を見ることができる。

情報量が多いと難しい、多すぎて儲けられないとのアプローチを私は取らない。それは、競馬などで馬に目隠しし前だけしか見られないようにした方が、気が散らずに速く走れるとのアプローチにつながるからだ。競馬のようなコースを走るものならばそれでもいい。しかし、荒野でそれをすれば、横からの攻撃にはひとたまりもない。そして、相場は荒野に等しいのだ。

同じことは移動平均線などのテクニカル指標にも当てはまる。

目の前の1分足チャートでの値動きが与えてくれる視覚情報は膨大だ。しかし移動平均線とは、グランビルが「トレンドを知るには終値だけで十分。高値安値や陽線陰線、その並びを見ているから、あなたは儲けられないのだ」とばかり、情報量を同氏の信念に基づいて大幅に削減したものだ。しかも、20日線なら20の終値データ、200日線でも200の終値データしか用いない。これは小さな穴から覗いた方が、相場の本質がよく見えると言っているに等しい。

移動平均線とは一種の情報操作で、グランビルの目を通して相場を見ることなのだ。加重平均線や指数平滑線は、そこにまた操作を加えることになる。MACDはさらに指数平滑移動平均線2本の収斂・乖離に注目する。それは一見高度化したように見えるが、やっていることは情報操作の複雑化に過ぎない。元のデータであるローソク足のごく一部だけを誇張したものなのだ。

それでは儲けられないとは言わない。しかし、それは本当の投資リテラシーなのだろうか? ローソク足で値動きそのものを自分で判断するより、他人がつくったテクニカル指標に頼る方が、投資がよく分かるというものなのだろうか? ブラックボックス化されていて、従っていれば儲かるというのが投資というものなのだろうか?

誤解されないように断っておくが、私は投資家の方々に自分の見方を押し付けているのではない。相場での値動きを、そのまま見つめることを提案しているのだ。それでは情報量が多すぎて混乱するという人たちに対しても、情報量を減らすことはお勧めしていない。こういう見方はどうですかと、様々な角度からの見方を提案しているだけなのだ。

より多くの情報をそのまま受け入れて自分で判断し、それを収益に繋げられるようになれば、本物になる。

相場の見方やり方は1つだけではない。そんな中で私は自分の見方を披露している。それが相場というものなので、それをどう判断するかは、投資家個人に委ねられていると言っていい。相場の奥は深いのだ。そして、投資は自分で判断するものだ。

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