政策株売却の影響は?
こんばんは、矢口新です。
損害保険大手4社が約6.5兆円分の保有政策株を
数年かけて全て売却することを決めた。
金融庁は、損保各社が企業向けの保険料を事前調整していた問題で、
顧客企業とのもたれ合いの象徴とされた政策株をゼロにする必要があると判断、
売却を求めていた。
4社合計の保有政策株は延べ5900社で、
保有上位にはトヨタ自動車やホンダ、スズキ、三菱商事、伊藤忠商事、
信越化学工業などが位置するようだ。
約1年前23年3月末時点の政策株の含み益は4社合計で約4兆6000億円だった。
現時点では相当増えていることになる。
政策投資として企業間で相互保有される株式を持ち合い株と呼ぶ。
企業間の持ち合いで浮動株が減ることは海外からの参入障壁になるとして、
日本企業が繁栄を謳歌していた1980年代半ばから解消の外圧を受けてきた。
その結果、1980年代以降、日本の生損保、銀行、
その他金融は一貫して日本株の保有を減らし続けてきた。
それにつれて生損保、銀行、その他金融の日本株保有比率はピークの約40%から
1桁台にまで下がってきた。
今、
日本株市場における日本の金融機関の存在感はほとんど残っていない。
2005年から2023年にかけてでは、生損保は9.2兆円、銀行は7.8兆円、その他金融は2.6兆円の日本株を売り越した。通常、損保は生保より規模が小さいので、損保4社だけで数年間で6.5兆円の売却というのは相当の規模だと言える。また、他の金融機関が追随する可能性もある。
一方で、外国人の持株比率はその間5%前後から約30%に上昇し、部門別では日本株の最大保有者となった。また、それにつれて保有企業の意思決定に関与する度合いを高めてきた。残念なのは、それが日本企業の世界的な地位向上には役立ってこなかったことだ。
不祥事への金融庁の対応が、どうして政策投資の売却に繋がるのかは不明だ。市場への影響を恐れて、場外市場でブロックでの売却も考えられる。購入先が日本の金融機関では政策投資となりかねないので有り得ない。過去の経緯から推測可能なのは、トヨタ自動車やホンダ、スズキ、三菱商事、伊藤忠商事、信越化学工業などの外人持株比率が上がるだろうと言うことだ。そして、保有企業の意思決定に関与する度合いを高めることなる。
政策株の売却は長期保有の「売り切り」に相当するので、買い手が長期保有でなければ、バブル崩壊後にそうであったように株価の長期低迷にも繋がりかねない。投機が買い上げている相場に、1つの不安定要因が加わった。
もっとも、今回は多くの株式を最高値近辺で売却できるので、市場価格でブロック売却できれば、損保にとっては悪い話ではないのかも知れない。
配信ありがとうございます。
がいじんさんと
『新』NISA で参入する新人投資家の
両方から、
損保のひととは切口の違う視点の提言が出て、
会社の活性化が期待できるかも〜
と、おもいました。^_^