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投機とマーケットメイキング ー その2

From 矢口新

投機筋がいなくて成り立たないのは、
為替の実需だけではない。

売れない市場に、
買いを入れる投資家はいないのだ。

投資家が最も恐れるものが流動性の欠如だからだ。

投資した資金がいつでも回収できるという暗黙の了解があるからこそ、
安心して投資することができる。

金利差ゆえの外貨建て投資も、成長株投資も、
投機筋が流動性を与えてくれているからこそできているのだ。

仮に奇数日には実需の買いが上回り、
偶数日には実需の売りが上回る市場があるとしよう。

その市場に実需しかいなければ、
奇数日には買えない人が事実上のストップ高水準で並び、
偶数日には売れない人がストップ安水準で並ぶことになる。

これでは「市場」とは呼べない。

ここで「儲かりそうなので」と、
奇数日には買い手に対して売り、
偶数日には売り手に対して買う者が現れたとする。

彼は奇数日の夜はショートポジションを保有し、
偶数日の夜はロングポジションを保有して、
翌日の実需に充てることによって収益を追求する。

彼は、実際にはそのものを必要としていない。
買い戻し・売り戻しを前提とした売買だ。
狙いは売買差益、キャピタルゲインだ。

彼が投機筋であり仮需なのだ。

彼のような人物を「ディーラー」と呼ぶ。

実需相手に売り買いの値を提示する行為がマーケットメイキングだ。

市場は、
ディーラーのような投機筋の参入があってはじめて機能するようになる。

投機筋が実需筋や投資家の相手を務めているのだ。

彼はストップ高のような高値で売り、
ストップ安水準で買い戻すことで、
暴利をむさぼることができる。

その儲けを見た他の投機筋がたくさん集まってくると、
奇数日の売値が下がり、
偶数日の買値が上がり始めるようになる。

投機筋が多くなればなるほど、
投機筋の利鞘は減ることになるが、
実需筋にとっては、より望ましい価格で売り買いできるようになる。

ここで投機筋が市場に与えたのが「流動性」なのだ。
投機筋が多く集まると、市場はよりよく機能すると言える。

投機筋の市場における役割は非常に大きい。

投機筋あっての市場だとも言えるだろう。

マーケットメーカー以外の投機筋も、
市場に流動性を供給し、
安全で安定した市場をつくりあげるという面で、
同様の働きをしている。

誰かがリスクを取り、踏みこたえることによって、
実需の偏りの緩衝材となり、過度の変動を抑えているのだ。

また、取ったリスクは、
リターンとして報われることになっている。

要は自分が取りやすい、
管理しやすいリスクを適量取ることなのだ。

相場の参加者が全員で、
自分の好む取りやすいリスクを引き受けると、
相場は極めて安定した機能的なものになると言える。(おわり)

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