7月連休以降も注意したいユーロ高
「「投資の学校」浅野敏郎
From 自宅の書斎より
7月に入ってユーロが強く推移しています。
ブログY号ではユーロドルの現状把握として
目先は戻り相場と捉え、
ユーロは強めに推移すると想定しました。
実際の相場は、当面の重要な水準とした
コロナショック時の乱高下で記録した
ユーロドル高値の1.1496水準を
7月22日に上抜けし、
ストップ狙いの後に見られるような
その後の急な調整もなく
1.15台を底堅く推移しています。
こうなってくると、
このユーロ高も戻り相場以上の可能性を
考える必要が出てきましたが、
今回は、
テクニカル的なアプローチはほどほどに、
基本的には私の苦手なファンダメンタルズ
を絡めて考察してみようと思います。
連休中の「読み物」として
お読みいただけると幸いです。
—————————————
おはようございます。
今週も早や金曜日がやって参りました。
本来であれば今日は、
東京オリンピックの開会式でした。
途中まで切に願った開催も1年延期され、
残念な結果になりましたが、
一方で、昨日から4連休が始まり、
Go To キャンペーンの是非について
マスコミがざわついていますね。
東京除外は意外な結果でしたが、
都民の不公平感は別として、
個人的には安堵しています。
ところで、
相場的には日本だけが長期休暇となる中、
いつものようにこうした時期における
意表を突くような一時的な相場変動には、
最大限の注意をしたいところです。
確かに、
目先の仕掛けなどでは動かしやすい状況ですが、
本格的に円をどうにかしたい向きにとっては逆に
円のマザーマーケットが休暇中は
基本的に動けないはずですから、
一時的な乱高下には惑わされない目線も必要です。
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さて、ここまでの7月相場は総じて、
ドルが全面安と言えると思います。
その要因として考えられるのが、
・再び米中の対立がクローズアップされている
・米金利の低下継続
・米国内のコロナ感染者数が高数値で推移
・米・大統領選が近づく中ドルのポジション調整
などが挙げられそうですが、
実際はどうなのかを判断するのに
ドルインデックスを確認するのが良いでしょう。
月足を確認すると、
意外にもドルは長期でドル高を維持している反面、
週足以下では7月相場を物語るように
ドル安時代に突入しており、
日足では
5月過ぎからその傾向が見て取れます。
特に
7月21日にギャップを伴って下落して以降は、
ドル安に拍車がかかったように見えます。
ところで、
ドルインデックスの算出方法は幾つかあるようですが、
大雑把に把握するには
6通貨で構成されているインデックスが一般的で、
TradingViewのドルインデックス(コード:DXY)も
その可能性が高そうです。
インデックスの構成比率は
ユーロ (EUR) 57.6%
日本円 (JPY) 13.6%
英ポンド (GBP) 11.9%
カナダドル (CAD) 9.1%
スウェーデンクローナ (SEK) 4.2%
スイスフラン (CHF) 3.6%
であることを見ても
ユーロの影響力は非常に強く、
ドルが安い傾向をユーロに当てはめると
ユーロ高ドル安になります。
実際、ユーロドルは7月に入って
上昇が顕著になっており
整合性に問題はないようです。
もちろん、
過半数を上回る影響力がユーロにある
ということは逆にユーロドル相場が
ドルインデックスを牽引している
事にもなり、
どちらが先か?については、
なかなか言い切ることは難しいでしょう。
そこで、ユーロドル相場を中心に考察すると、
ユーロ危機以降、イギリスのEU離脱を挟んで
ユーロは一貫して不安定な状態でした。
加えて、
ユーロ金利はゼロ金利政策が継続する中で、
ドル金利は一時利上げに踏み切るなど、
金利差から見ても
ドル高ユーロ安が自然な時代は長く、
ユーロドルのポジションはユーロのショート
が基本だったのは確かでした。
しかし、米中貿易摩擦が強まる中で
アメリカも利下げに踏み切って
ゼロ金利政策に近づくと、
ドルの強弱を長期金利で判断する手段を
失った状況になり、
ユーロドル相場に決定的なバイアスは
無くなりつつありました。
そんな矢先に
世界的なコロナ感染という事態を招き、
相場は乱高下しましたが、
結果的には、
決定的な方向性にならなかった事実は、
非常に意義があったのだと思います。
というのも、
それはCFTCの建玉を見ても分かるように、
【出典:外為ドットコムより】
コロナショックの乱高下で
投機筋のユーロのネット残高は
大幅なユーロショートが中立になったばかりか、
逆にロングに転じており、
その効果が5月以降のユーロ高となって
現れ始めたことです。
基本的に、大きなポジションの解消には
それなりの値動きが伴う上に、
ドテンするとなると、
そこから更に動くことになり、
結果的に底値や天井を掴みやすくなるのですが、
動乱に紛れてドテンまで達成したとなると、
ユーロロングのコストはかなり低いと
考えられます。
更に思いを膨らませると、
中国の一帯一路政策が本格化した際、
チャイナマネーの相当額がユーロに流入した
とされています。
しかし、その後の米中貿易摩擦や
ドルの利上げに伴い、
不本意でも背に腹は替えられない
チャイナマネーの一部が
米国へ逃避したと言われる中、
米大統領の選挙が近づく中で
目をそらすために再び米中対立が表面化し
更には今となっては金利差もほとんどない
コロナ対策は最悪
となれば、
ドルに逃避していたチャイナマネーが
ユーロに戻る流れは非常に自然であり、
EUが追加のコロナ対策で合意したという
先週末のニュースも華を添えたように思えます。
ドルインデックスでは目先にはまだ、
コロナパニック時の下値94.65が控えていますが、
ユーロドルはその際のレート1.1496を
既にクリアしてることから、
現状は
ユーロドルがインデックスをけん引しており、
インデックスの94.65割れが試されるのは、
「時間の問題」と考えた方が無難に見えます。
となるとインデックスから見た場合、
構成比率第2位の円に対しては本来、
ドル安円高として影響すべきでしょうが、
今のところはユーロ円の上昇に伴った円売りが
下値を支えている格好となっています。
しかし、インデックスが割れてくると、
本来のドル売り圧力が、
対円相場で急伸する可能性は充分あり、
ユーロ円につられて
ドル円のロングを単独で持つリスクは高まる
とも言えそうですので充分、ご注意ください。
(23日14:00記)
浅野敏郎
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久しぶりにコメントを書きます。ずっと拝読しています、有難うございます。
ただ、一目均衡表の説明について行けずドロップアウトしていました。
FXの説明、インデックスの読み方など、学ばせていただきたいと思います。
田中 忠夫様、
お久しぶりです。
均衡表の部分は少し飛ばし過ぎたかもしれません。
今日はドル円で注目すべき日になっています。
6月5日の高値A 6月23日安値B 7月1日戻り高値Cとした場合、
昨日の7月27日で最大の時間的対等AC=CDが達成されました。
3月24日の高値A 5月7日の安値B 6月5日の戻り高値Cとした時間の対等が残っていますが、
本日、27日の安値を割れなければ、Cからの下げも不十分ですので、
一旦のボトムになりそうです。
勿論、大勢は下落トレンドですから、どこかで上値を抑えられると、
再度下値を試す展開を想定していますが、
今後数日は少し難しい動きになる可能性が出ている、と考えます。
もしよろしければ、どの辺りから難解になっていたのか、
お聞かせ願えれば、復習を兼ねて再度、説明を試みたいと思います。
また、コメントをお待ちしております。
浅野 敏郎